完全読者置き去りサッカーマンガ 「スターダスト11」 前編

完全読者置き去りサッカーマンガ 「スターダスト11」 前編

ストライカーカーニバルじゃ!

こんにちは、J君です。本日はサッカーマンガをご紹介したいのですが、前回のゴルフマンガに続き新年早々スポーツマンガのレビューが続きます。年末の更新内容があまりに酷かったので、反省して今年は健全路線へ変更しようかと思って・・・そう、これが「Change」ってやつです。Yes We Can!Yes 高須クリニック!

というのは嘘でして・・・スポーツマンガが連続するのは単なる偶然なんですが、今回ご紹介するサッカーマンガ「スターダスト11(イレブン)」は、ズバリ読者置き去り型サッカーマンガともいうべき作品です。果たして、どんな風に置き去りなんでしょうか?

サッカーマンガといえば皆さんもご存知なのは「キャプテン翼」です。多くのJリーガー達にも影響を与えたともいわれている文字通りサッカーマンガ界の金字塔ですね。

そんなキャプテン翼は個性の強いキャラ達がミラクルシュートを打ったり、キーパーがスーパーキャッチをしたりという、ぶっ飛んだサッカーマンガのイメージが強いのですが、実は友情、努力、チームワーク、そして各キャラのエピソードなど、読者を感情移入させるための要素がしっかりと描かれていたからこそ、サッカーマンガ不朽の名作となり得たといえます。例えば、サッカーの天才なのに心臓病持ちとか。そういったちょっとしたエピソードがグッと来るわけです。

かつて当サイトでは、連載になる前の幻の「読みきり版キャプテン翼」をご紹介したことがあります。読みきり版では主人公の翼くんの名前が大空翼ではなく翼太郎という名前だったりして、読み切りから連載までの間に翼くんの身に一体何があったのか!?という感じなのですが、それはともかくそこで描かれていたのは必殺シュートなどの要素が一切なく男同士の友情や、ほんのり切ない恋物語でした。そう、キャプテン翼の根底にあったのはサッカーマンガである前にヒューマンドラマだったのです。

しかし、本日ご紹介する「スターダスト11」はそんなサッカーマンガにおける風情ともいえる部分を一切カットしてしまった、ただただ人間離れした必殺シュート、ミラクルキャッチが横行する異次元系サッカーマンガなのです。ちょっとオーシャンズ11と名前が似ていますが、もちろん関係ありません。(似てないか)

また同種の異次元系サッカーマンガとしては現在古本市場でえらいプレミアがついている「コスモスストライカー」という作品があります。こちらは通称「サッカー版アストロ球団」といわれているくらいですので内容は言わずもがなですよね。

さて、「スターダスト11」は、主人公の吉川一三六(いさむ)とそのアシストパートナーである菊市文字が活躍するマンガです。吉川だからあだ名は「キッカー」で菊市だからあだ名が「キック」という・・・、二人ともまさに都合がいいぐらいにサッカーの申し子的名前というか、ある意味では奇面組的なネーミングセンスともいえます。

普通のサッカーマンガのようだが・・・

この主人公の吉川(キッカー)が、登場シーンこそ普通のサッカー青年風なのですが、それは3ページ目までの話。作品がはじまるやいなや、主人公についてのプロフィール的な紹介が一切なく、わずか開始4ページにしてこの状態。

ナイアガラドライブショット!!


超ドライブシュート

超人レベルの威力

いきなり異次元サッカー!


なんというか、読者が作品に感情移入するスキを一切与えないような展開です。

あの翼君ですら連載当初の必殺技はオーバーヘッドキック。そして、数年を経て苦労の上にようやっとドライブシュートを会得といった感じでした。だから読者がついてこれるというのにこれでは・・・。

要するに何が言いたいかというと、女性が徐々に服を脱いでいくと興奮しますが、はじめっから全裸だと逆にドン引きしてしまうのと同じです!(違うか)

一応ショットの解説です

そんな感じで、最初に設定しているハードルがメチャクチャ高いため、必然的にこの先にでてくるライバル達の必殺技もそれはもう大変なことになってきます。最初にでてくるのは地区大会のライバル神台学園高校です。

なんでマント・・・

怪しいヤツらです・・・


マネージャーの隠し撮りビデオでこの神台学園の謎の2人組の必殺ショットを研究しようとすると、そこには衝撃の映像が!(やっぱり)

光った瞬間

破壊されまくりです

何が起こったんでしょうね・・・


そんな感じで肝心のところが全然映ってないので役に立たない隠し撮りビデオを眺めつつ迎えた神台学園高校との試合。ついにその必殺技のベールが明らかになります。

ボールを挟んだままジャンプ

メッチャ挟んでます


後ろからもう一人が・・・

ラディカルショットガン!!


無茶苦茶な威力

ディフェンダーもキーパーも全員吹っ飛ばしてゴール!!


一応解説

一応、この必殺技の解説もありますので、やってみたい方は参考にして下さい(無理か)。

このラディカルショットガンのすさまじい威力により、吉川率いる星成(せいじょう)高校のメンバーはほぼ壊滅状態になってしまいます。

ほぼ全滅です

なんというか・・・衛生兵を呼んだほうがいいレベルですね。

そして神台学園に立ち向かえるのは吉川と菊市の二人だけとなってしまいました。つまり2対11での試合です。サッカーの試合として普通に狂っております。

しかし、さすがはこのマンガのメインの二人。普通のサッカーではありえない発想でラディカルショットガンを破ります。

プロレスではありません

「足がダメでも頭があるぜいーっ!」


なんと菊市が、吉川の足を持って豪快にスイング。ラディカルショットガンの弾道をヘッディングで返しました。そして、ヘディングされたボールは神台学園の選手達をぶっ飛ばし、ゴールを突き破ります


お約束のゴールネット破り

・・・必殺シュートでゴールネットを突き破るのは昔からサッカーマンガのお約束となっていますが、意外と値段が高いので、自重するべきだと思います。

そんな感じで地区大会を勝ち抜き、関東大会へ進んだ星成高校。しかし、関東大会で戦うにはキーパーが力不足という話になりました。そんな中・・・謎のキーパーが星成高校に現れ、いきなり吉川にケンカを売ってきます。その男の名は、流浪(さすらい)のキーパー「トシ土方」


口には羽根をくわえてます

なんか忍者みたいなカッコしてますけど。凄いメッシュの入った服です。いや・・・もしかしたら今流行のヒートテックかもしれませんね。

それにしても高校サッカーで流浪のキーパーってジャンルがあるとは知りませんでした。とすると、転校しまくりのような気がするんですが、その辺は余計な心配なんでしょうか。

タイマンバトル開始

この流浪のキーパー、トシ土方が、吉川のナイアガラドライブショットを破ると宣言。早速PK対決が開始されるのですが、いつもトスをあげる菊市が不在のため、100%の威力がありません。そこへ・・・

なんかわからんが凄い

スカイホーク・ハリケーン!!


やっぱりこのキーパーも必殺技持ちでした。ナイアガラドライブショットをパンチングで見事に破ります。


なぜか羽根を吹きます

ハンパないパンチング

しかもそのパンチングの威力がまたハンパない

血しぶき・・・

背中に突き刺さるボール!


おまけにさっきまで口にくわえていた羽根がさらにボールの威力に追い打ちです。

羽根の威力すげえ

なにやら背骨が折れてるようなグロい音が鳴ってます。

というわけで、最強かと思われたナイアガラドライブショットが破られてしまったのですが、そこに菊市が現れます。さっきのは100%のナイアガラドライブショットではないということで、再び再戦。今度は・・・

本気のナイアガラドライブショット

聖闘士星矢みたい

トシ土方の方がブッ飛ばされます

というわけで、負けを認めたトシ土方が(都合良く)仲間入り。最強のキーパーが加わり関東大会へ準備万端となったのです。

仲間になりました

それにしても・・・やっぱりそれにあわせて転校手続きとかするんでしょうかね。放蕩息子にもほどがあります

さて、ここで海賊の船長みたいなルックスの監督がどーんと登場。この監督も男塾出身みたいなただ事ならない面構えですが例によってプロフィール等は一切紹介されていません。そして監督から重大発表。なんと高校サッカーの関東大会は今年から大会名を改めるそうです。その名も・・・

ムダに濃い顔です

「ストライカーカーニバル」じゃ!


・・・なんとなくカッコいいような大会名ですが、ディフェンダーやキーパーの立場の人のことは全く考えてないような大会名ですね。これだとストライカー以外は逆にモチベーション下がってしまわないか心配です。

あと、全国大会ならまだしも関東大会だけ名前をカッコよく改名する意図も良く分かりません。これだとまるでM1グランプリの予選だけが勝手に「つっこみフェスティバル」に改名するような感じです。まあ実際は、全国大会に行く前に打ち切りになるのでそんな心配は必要ないのですが(ネタバレ)。

というわけで、あまりの非現実感に、最初から最後まで読者が引きっぱなしの読者置き去り型サッカーマンガ「スターダスト11」。皆さんもうすでにお腹いっぱいだと思いますが、残念ながらまだまだネタを紹介しきれないので、「ストライカーカーニバル」な後編に続きます。後編のさわりをちょっとだけご紹介しましょう。

注)サッカーマンガです。


では後編にご期待くださいませ。

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出典) スターダスト11(イレブン)  こうのたけし/集英社

参考) Amazon → 

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