対決!妖術使い VS 板前 「包丁無宿」&「新・包丁無宿」 前編

対決!妖術使い VS 板前 「包丁無宿」&「新・包丁無宿」 前編

モミアゲでオッパイを揉み上げている!

こんにちはJ君です。トークイベント後、燃えつき症候群に陥っていたため久しぶりの更新です。前回のおにぎり師特集に引き続き、またグルメマンガネタが続きますが、テーマは板前です。おにぎり師よりは現実的な職業ですね。

今回ご紹介するのは「包丁無宿」そしてその続編の「新・包丁無宿」という作品です。板前マンガというとちょっと地味な画を思い浮かべざるを得ないと思いますが、内容はというと、単なる板前マンガの枠を超えたファンタジーゾーンが広がっているのでした。


「包丁無宿」は故・たがわ靖之先生の代表作で、「週刊漫画ゴラク」に連載されていました。全45巻になるロングヒット作品です。そして、その続編にあたるのが「新・包丁無宿」です。こちらは全5巻。ヒット作の後に「新~」とか「続~」みたいな感じで続編を出すと大抵は微妙な感じになりますよね。なんとなくうまいこと行ってるのもありますけど前作を超えられたケースというのは殆ど無い気がします。

ちなみにたがわ靖之先生の作品は当サイトでは過去に、必殺仕事人のグルメバージョンともいえる「夜の料理人」史上初のガーデニングバトルを描くマンガ「庭師一代」をご紹介しております。どちらも世間様の常識の遥か斜め上を行く非常に完成度の高い劇画となっております。

さて、まず「包丁無宿」の方ですが、タイトルからも推測できますとおり、流れの板前・・・いわゆる流れ板暮流助(くれ・りゅうすけ)が主人公です。流助っていう名前がまた、いかにも流れそうな名前ではあります。それにしても流しのギターとかはよく聞きますが、流れ板っていうのもあるんですね。今風に言うとフリーランス板前とか契約社員板前とかそんな感じなんでしょうか。どっちにしても確定申告が大変そうな感じです。

暮流助は元々、東京築地にある名料亭「桐の家」の花板として将来を切望される存在だったのですが、悪どい料理組織・大日本料理会の陰謀にハマり殺傷事件を起こしたことにされて桐の家を追放、流れの板前になることを余儀なくされてしまうのです。その後は行く先々で板前修業したり、料理対決をしたり、時には人情物だったりと、料理マンガの中でも板前物らしく比較的ストイックな部類なのですが、長く連載されているだけあって、いわゆる神回とでも言えばいいのでしょうか、突然変異的にブッ飛んだストーリーが登場する時があります。


ペリー来航かよ

例えば流助に異様な敵意を燃やす、狂気の料理人集団「黒包丁」というのが登場するのですが、登場シーンからしてまずヤバイ。黒船来航みたいな感じで現れます。


料理界の死神集団 黒包丁

船から降りてくる黒包丁の面々。目つきがヤバ過ぎですよね。もっと睡眠時間をとった方がいいと思います。そして流助、宿敵・大日本料理界の刺客と黒包丁の料理人の三つ巴で行われる雑煮対決!その舞台は・・・


足場悪すぎだろ・・・

なんと海の上。

料理を作るのにモタついて満潮になると足場がなくなり即失格という壮絶な対決です。

また、悪の料理組織・大日本料理会が主催する「料理島」という島が登場します。板前が離島に監禁され、奴隷のようにこき使われるというものすごい板前虐待の世界が繰り広げられていました。


料理の徹人養成マシーン

これは名づけて「料理の徹人 養成マシーン」。このマシーンに縛り付けられた板前は、途中で寝てしまわないよう、ひたすら歩きながら料理を作らされるという過酷な業をやらされます。ちなみに彼らは徹夜四日目です。徹夜で料理を作り続けさせることに一体何の意味があるんでしょうか・・・。


なぜこんなに酷い目に

そして、大日本料理会に逆らう板前たちはこの通り、牢屋に監禁され、やはり料理を作り続けさせられるという・・・。なんなのこの板前いじめ・・・。板前ってこんなに超絶ブラックなお仕事なんでしょうか。

もう一つネタとして秀逸なのが、プロレス料亭の話があります。流助が流れ板として雇われた料亭「新間亭」。そこでは料亭の主人・井軒(いのき)親方が超スパルタで若手達をしごいてました。


プロレスでよくみるシーン

主人の猪木もとい、井軒親方が「ダー!」とやると弟子たちもみんな「ダー!」

なんか・・・どっかで見たことがあるシーンですね。

この井軒親方のあまりの若手シゴキっぷりに流助が対立し、料理勝負をすることになるのですが、なんとそれが「異種格闘料理勝負」と銘打たれることになります。次々と繰り出される井軒親方の必殺技!


ただ切ってるだけじゃん

まずは延髄斬り!これは大ダメージだ!(魚が)

とどめは・・・


背中越しに盛りつけてるだけ

バックドロップ盛り!

そして完成したのが・・・


すごい無理矢理感

「決まった!卍固め盛り!!」

対する流助も負けていません。なんとこれに対抗して・・・


確かに四の字になってる

「四の字固め盛り!!」

一体なんなんだこの対決は・・・


馬場もとい葉場親方

ちなみに井軒親方の往年のライバルで庄平亭の葉場親方というのが出てきますけど、これはたぶんいわゆるアノお方ですよね。そんな感じでプロレスに興味がない人は完全に置いてけぼりな内容です。フリーダムすぎるだろ、この板前マンガ。この辺のブッ飛びエピソードは主に「包丁無宿41巻」に収録されています。

さて、ここまでは「包丁無宿」のシーンなのですが続編となる「新・包丁無宿」は「新」とつくだけあってもっとブッ飛んでおりまして、特に単行本4巻は神回のオンパレードです。なんとインターネット上でも一部で話題になっていた妖術料理人が登場します。妖術料理人て・・・やっぱり「僕と契約して妖術料理人になってよ!」的なやりとりがあったんでしょうかね。


ウゼえ・・・

流助との対決前に妖術パフォーマンスをみせる妖術料理人。こんなにウザい料理人はなかなかお目にかかれない感じです。さらに驚愕の妖術パフォーマンス。


妖術が炸裂!

女性客の背後からモミアゲを忍び込ませ・・・


モミアゲです

これは・・・つまりどういう状況かといいますと、ギャラリーの皆さんが一言で解説します。


渾身のダジャレ

「モミアゲでオッパイを揉み上げているっ!!」

っていう・・・ダジャレかよ!!


妖術第二弾

さらに妖術で包丁を手を使わずに動かすという技も披露します。こんな奴と絶対料理対決したくない・・・っていうかコイツの作っている料理を食べたくない気すらするのですが。ちなみに妖術料理人の実際の料理風景はというと・・・


般若心経かなんかでしょうか?

やたらとうるさいですが実は割と普通ですね。

しかも最後は流助に妖術のトリックをまんまと見破られて敗北します。


インチキでした

なんと女がグルでピアノ線を引っ張っていたんですね。どうやら妖術料理人はこのパフォーマンスにより対戦相手をビビらせて勝ってきたようです。もっと正々堂々とやれよ・・・。

そんな感じでストイックと見せかけて、とんでもないシーンが盛りだくさんの板前マンガ「包丁無宿」なのですが、実はこれはほんの序の口。まだまだご紹介しきれない究極の板前バトルを後編でご紹介致します。乞うご期待!

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出典) 「包丁無宿」 「新・包丁無宿」 たがわ靖之/日本文芸社
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