「ガバメントを持った少年」マンガはついに前衛芸術の域へ・・・驚愕コマ割りアートの世界

マンガはついに前衛芸術の域へ・・・驚愕コマ割りアートの世界 「ガバメントを持った少年」レビュー






考えるんじゃない!感じるんだ!!
あけましておめでとうございます。J君です。相変わらず始動の遅い当サイトですが今年もよろしくお願い申し上げます。一年の中で最も数の子を食べまくるイベント「SHOGATSU」も無事滞り無く終わりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?数の子だけじゃなく黒豆やチョロギを食べた人も多いと思いますが、チョロギってあれなんなんですかね?あんなに立派にトグロを巻いてるブツって巷ではチョロギかウ●コぐらいだと思うんですけど・・・まあ美味いからいいんですけど。

と、新年早々どうでもいいチョロギトークはこれぐらいにしまして、新年一発目のレビューはインパクト重視!マンガでありながらマンガの枠を完全に飛び越え、アートの領域に入ってしまっている凄まじい作品をご紹介します。その名も「ガバメントを持った少年」です。


「ガバメントを持った少年」風忍先生の短編集になります。当サイトでは過去に風忍先生の代表作「地上最強の男 竜」や赤ちゃんがドヤ顔で「おれの前世はゴジラだ!」と衝撃告白する問題作「Gからの警告」をご紹介しております。


Gからの警告

特に風忍先生の代表作でもある「地上最強の男 竜」についてはそのブッ飛んだストーリーのみならず、斬新すぎる表現技法がもはや神の領域に到達していると言われており、その筋のマニアの皆様に広く知れ渡っています。また、その日本国内にとどまらないスケール感から海外のマンガファンの間でも話題になっているようです。

そんな天才・風忍先生による「竜」をも超える狂気を感じさせる作品集がこの「ガバメントを持った少年」であります。多分ここまで説明しても一体どんな作品かさっぱり伝わっていないと思いますので早速紹介してまいりましょう。

短編集の第一話目は「男は度胸」というタイトルの作品です。


色使いがド派手

この通り任侠者を思わせる扉絵、なるほどこれはヤクザがテーマのマンガなんだな、と誰しもが思うことでしょう。ヤクザマンガにしては色使いがカラフルすぎる気がしますがまあ許容範囲でしょう。そして下段にこのセリフ。


そうですか・・・

「俺はヤクザだ、おれはだれにもまけない強い男だ」
うん、間違いなくヤクザ者のマンガです。セリフがいささか小並感ただよう感じですけどこれも理解できるレベルです。では、この次のページはどうでしょうか?


だんだん良くわからない世界に

ヤクザのおっさんの後ろになんかメカメカしいものが登場しています。しかもメカなのにどことなく仏像っぽいデザインでなぜか炎がファイヤーしてます。しかもよく見ると下の方でとんでもないセリフを言っています。


セリフも意味不明

「この宇宙時代を生きていくには、この刀一本ではだめだ。そしておれはコンピューターやあらゆる武器を手に入れた。やがておれは世界を統一したのだ。おれは世界一強い男になった。」

「この世に不安を消す最高武器があるという、そしてそれをさがしにギター片手にさすらいのたびに出たのだ。」

・・・ええと、つまり要約すると、コンピュータやあらゆる武器を手に入れた世界最強のヤクザがギター片手にさすらいの旅に出た話、ということです。

でもなぜにギター!?
それはヤクザじゃなくて流しのミュージシャンだろっていう・・・。いや、それ以前に宇宙時代とかコンピューターとか世界統一とか、あらゆる武器とか最高武器ってなんだよもっと具体的に書けよとか突っ込みどころは色いろあるんですけどとにかく画・ストーリー共に常人が及びもつかない領域に入ってしまっているのがお分かりでしょうか?そしてその先のページを開くと・・・

日本のアンディ・ウォーホルか

イッツ・サイケデリック!
これは・・・もはやマンガというかアンディー・ウォーホルか横尾忠則の作品に近い感じになってます。一応確認しておきますがこれヤクザマンガですよ!?で、次のページが・・・


突然女神が登場

なんか女神みたいなのが出た!そしてあらぬ方向にマシンガンみたいなのぶっ放してます。これか?これが最高武器なのか?だとしたらバックの花札は何なのか?


ザ・たっちのネタではありません

次のページでは珍しいヤクザの幽体離脱シーンがとってもカラフルな感じで表現されてます。


抽象画っぽすぎて分からん

その次のページは・・・ごめんもう俺、レビュー無理だわ。


注:ヤクザマンガです

はい、これがラストシーンです。とにかく素晴らしいヤクザマンガでしたね。え、よく意味がわからないって?よく見てください下の方にセリフが書いてありますね。


ああっ女神さまっ!

「さすらいの旅はおわった。ああっ!おれのもとめていたものがこんな近くにあったとは・・・」
男は度胸 終

つまり何が言いたいかというと・・・って分かるかこんなもん!!「男は度胸」ってタイトルだけど度胸っていうか幽体離脱しただけだったし、ストーリー的にヤクザの必然性も全くないし。でもなんか・・・アーティスティックだから許せちゃう///

というわけで一話目からしてこんな風にチャクラが全開な感じです。しかも全編にわたってこんな感じです。二話目「HEART AND STEEL」もこんな感じ。


微妙に和テイスト

とても和の心を感じさせますね!
というわけでこの短篇集「ガバメントを持った少年」ですが、素人の方にはストーリーが難解すぎるのでこの独自のアートな世界観を、つまりマンガというよりは芸術作品として楽しむのがお勧めです。

ただし、最初の数話こそこのようにサイケデリックでカラフルな総天然色作品となってるのですが、やはりコスト的な大人の事情があるのでしょう。途中から普通のモノクロページになります。モノクロページでは魅力半減ではないのか?と思うところですが決してそんなことはありません。色が使えない代わりに、ストーリーそっちのけの斬新なコマ割りアートをお楽しみいただけます。

■ 風忍先生のコマ割りアートギャラリー

ひし形中心のコマ割り

顔が振り返るコマが斬新

真円コマもよく使われます

拳銃のマガジン風コマ割り

ここで唐突に本作品でJ君が一番グッと来たキャラクターをご紹介しておきましょう。


ジャギっぽい名乗り口上

「き、貴様!おれのあだ名を知っているか俺の名は・・・」


ヘホかよ・・・

「音速のヘホというんだーーーー」
ヘホですよ。ヘホ。わざわざ名乗り口上しておいてこの脱力感あふれる名前。この風船の空気が抜けたようなネーミングセンス大好きです。


略してガバ少です

さていくら難解とはいえコマ割りと変なキャラ名ばっかり紹介しているのもマンガレビューとしてなにかアレですので、本作品集の中で最もストーリーが理解しやすいと思われる初心者向けの作品で本作品集のタイトルにもなっている「ガバメント(軍用拳銃)を持った少年」をご紹介しましょう。


DQNネーム中学校

主人公は空離巣(そらりす)中学校という絶対にパソコンで漢字変換ができないネーミングの中学校に転校してきた少年、大島光一


ひ弱な少年が主人公

このようにドジっ子で気弱で体中に出るじんましんで悩まされている少年です。じんましんに苦しむシーンを斬新なコマ割りアートで表現しておりますのでご覧ください。


斬新なコマ割りでじんましんを表現

これはかゆそうだ!
空離巣中学校 は、姿の見えない悪意の存在により次々と先生や生徒が謎の死を遂げるという恐るべき状況に陥っていました。そこで生徒会長の白石静香によりこの状況を救う救世主として大島少年に白羽の矢が立てられたのです。


これは断れない

押しが強すぎ!!
ただでさえ気弱な少年がこんなド迫力で、しかもすごいコマ割りアートで頼まれたら絶対断れないですよね。え、どんなコマ割りかって?


すごいコマ割りでご指名

ちょっとSuperflyっぽいですね。
しかし生徒会長はなぜこの気弱な大島少年が救世主になるという確信を得たのでしょうか、なぜならそれは大島少年が・・・「モデルガンが趣味 = 銃を撃つのが得意そう」というトンデモ理論からです。


市中引き回しか

謎の敵を倒すために本物の拳銃を手渡された大島少年は転校早々強制的に救世主にさせられます。どう見ても完全にめちゃくちゃ嫌がってますね。しかし一度銃を持つと・・・


覚醒します

こんな感じのすごいコマ割りでやればできる子の表情に一変。


奇想天外なコマ割り

すごいコマ割りで銃を撃ちまくればこのように・・・


ぶっ放しまくり


「じんましんは消えていた」

「じんましんは消えていた」
いや、じんましんが消えたから何なんだっていう話ではありますけど。
そしてついにラスボスとの対決ですこの中学で殺戮を繰り返す悪意の正体はなんと・・・


お前かよ!

もう一人の白石静香!なんと生徒会長の白石は自分の悪の部分を別人格として切り離してしまったために善の白石静香と悪の白石静香に二人に分裂してしまったのです。なんというハタ迷惑な・・・どういう仕組みだかよくわからんがとにかく酷い話だということは分かりますね。

で、大島少年はこの悪の白石静香に倒されたあと、善の白石静香に魂が乗り移り、最終的には善の白石静香と悪の白石静香の一騎打ちとなります。J君も自分で言っていてよく意味がわからないカオスなシーンをカオスな見開きコマ割りアートで御覧ください。


魂が乗り移りつつ射撃!

J君はこのシーンを見てブルース・リーの遺したある名言を思い出しましたよ。「考えるんじゃない!感じるんだ!」ってやつです。そう、この作品は考えたら負けなのです。


レリクスっぽい感じ

で、結局悪の白石静香は倒されたのですが、自分の体が白石静香の体になってしまったので絶望する大島少年。


撃っても何も解決しません

「ぼくは・・・女なんか 女なんかいやだー!」


何このオチ・・・

「いやだー!!」
大事なことなので2回言ったんでしょうかね。みのさんみたいに。

「女なんか嫌だ!」・・・この作品を通して一番言いたかったことがこのセリフだと思うとなんというか作品を読みながらモヤッとしていた気持ちが一切晴れることなく、さらにモヤモヤしてきますね。

というわけで、風忍先生の世にでるのが100年早すぎた天才ぶりを存分に感じていただける作品「ガバメントを持った少年」通称「ガバ少」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?

この他にも今回紹介しきれませんでしたが「超高速の香織」という作品は本当に超高速で動く女、香織があまりに動きが早すぎて、着ている服が破けて下着姿になるというツッコミしないほうが難しい作品だったりと、攻守最強のハイクオリティ作品が9話も収録されておりますので「やっぱりマンガはアートだったのか、俺もそう思ってた!」って人は是非とも読んでみてくださいね。


超高速の香織



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出典) 
「ガバメントを持った少年」 風忍/太田出版 

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