結局「日ペンの美子ちゃん」とは何者なのか?「あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度」でその謎に迫る!

結局「日ペンの美子ちゃん」とは何者なのか?「あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度」でその謎に迫る!






美しい文字は心のおしゃれ!
こんにちは、字が汚いねと言われ続けてはや数十年。進化しない男、J君です。皆さんは「日ペンの美子ちゃん」をご存知でしょうか?かつていろいろな雑誌の巻末広告として掲載されていたペン習字の広告マンガです。「おお、知ってるよ懐かしい!」と思う人も多いのではないでしょうか。しかし、美子ちゃんが現在五代目になっていることを知っている人は少ないかもしれません。

今回は誰もが知っていて、でも詳しいことは実は誰も知らない・・・そんな秘密のベールに包まれた「日ペンの美子ちゃん」を徹底分析した本、「あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度」をご紹介しつつ、日本一有名な広告マンガの魅力に迫ってみたいと思います。


冒頭で現在、美子ちゃんは五代目であるとご紹介しました。そう、実は「日ペンの美子ちゃん」は歌舞伎などの古典芸能と同じ襲名制となっているのです。つまり市川海老蔵などと同じ位置づけなのです。驚きですね。では早速、歴代の美子ちゃんをご紹介しましょう。


初代美子ちゃんはモテモテ

初代 美子ちゃん・・・画:矢吹れい子(中山星香)先生、 原案:飯塚よし照先生 1972年~1984年の間活躍


幻の美子ちゃんとよばれる2代目

二代目 美子ちゃん・・・画:森里真美(聖原玲音)先生、 原案:飯塚よし照先生 1984年のみ登場


アニメ風に変貌した3代目

三代目 美子ちゃん・・・画:まつもとみな(佐藤元)先生 1984年~1987年の間活躍


美少女路線へ回帰の4代目

四代目 美子ちゃん・・・画:ひろかずみ先生 1988年~1999年の間活躍


5代目はWEBで活躍

五代目 美子ちゃん・・・画:梅村ひろみ先生 2006年~現在 雑誌広告はなく主にWEB上で登場

というわけで三代目 J Soul Brothersよりもはるかに歴史が長い日ペンの美子ちゃんの各世代をご紹介してみました。ちなみに「あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度」は2004年に刊行された書籍のため、四代目美子ちゃんまでが紹介されています。実際のところ、ほとんどの方がご存知の美子ちゃんも初代~四代目までのどれかではないでしょうか?

ちなみにJ君はどの雑誌で見たのか記憶は曖昧ですが、おそらく初代、三代目、四代目のマンガを読んだ記憶があります。三代目美子ちゃんをはじめて見た時は、以前に見たことある美子ちゃんからのあまりの変貌ぶりに驚嘆し「美子ちゃん・・・何があったんだ。整形のしすぎはヤバイぞ・・・」と全くの他人事ながら心配したものですが、そもそも別人だったというわけですね。長年の謎がようやっと解けました。


伝統の美子ちゃんフォーマット

上記は初代美子ちゃんですが、どの代でも共通でこのような9コマに割られた独特の美子ちゃんフォーマットになっています。そして、いかなるストーリー展開であろうとも必ず、「45年の歴史を持つ日ペン」 「先生方が超一流」 「テキストがバインダー式」 「1級合格者の4割が日ペン出身者」などといった強引な営業トークをねじ込んでくるところが美子ちゃんシリーズの広告マンガたる所以です。さすがは伝統芸能ですね。


初代


三代目


四代目

ちなみに三代目からは「テキストがバインダー式」に加えて「実用新案の練習器」なるものが登場しますが、マンガを読む限りその練習器の詳細が全くわからないという謎アイテムっぷりも代々受け継がれています。

初代美子ちゃんは少女マンガ誌を中心に12年近く活躍していただけあり、一番有名なのではないかと思いますが、「字がキレイ→ボーイフレンド達に手紙を送りまくり→モテモテ」という、字がキレイだとモテるわよ!的論理がまかり通っております。その結果・・・


脅威のモテっぷり

どうですか、この初代美子ちゃんの男性交友関係のすごさ!!こんなにモテるならペン字の1つや2つ習ってみようと思う女子もいるのではないでしょうか。さらに字のキレイさが恋愛に有効であるということを象徴する下記のエピソードに注目です。


ペン字は恋愛に効く!

ややブサイクな美子ちゃんの女友達。「ギャグマンガみたいな顔」と男子にボロクソ言われて泣き出しています。可愛そうですね。しかし美子ちゃんに「人間は顔じゃなくて心よ!」 「日ペンでボールペン字を習うといいわ。心がおちつくわよ。」と弱った心のスキマに入り込む鮮やかな営業トークを繰り出され入会。見事お友達もイケメン彼氏と結婚してハッピーに!という展開に。皆さん、ペン字はガチでモテますよ!間違いないです。

ちなみに12年もやってるせいか、割と狂っているエピソードもちらほらとあります。


電波でも営業トークは忘れない

「やあ美子ちゃん、宇宙人に電波を送ってるんだよ」 「おもしろそう!あたしも宇宙人と交信しよう」
という文字通り電波な展開のマンガや・・・


ベシってなんだよ

「日ペンへ入会してボールペン字を習うのだベシ!」
「日ペ連」なる組織を結成し、まるで左翼活動家のようにペン字の普及に勤しむ美子ちゃんの姿も。これほんとに少女マンガの雑誌広告だったんでしょうか・・・すごいですね。

二代目の美子ちゃんは就任期間が1984年のみという短期間のため通称「幻の美子ちゃん」と呼ばれているようです。


幻の二代目

初代美子ちゃんを「おねえさま」と慕うシーンが微笑ましいおしとやか系女子です。

そして歴代美子ちゃんの中でも最もインパクトがある三代目の美子ちゃん


ペットまでサイバーな雰囲気に

初代・二代目と受け継がれた少女マンガ風から突如アニメ風へと変貌を遂げ、さらにキャラクター自体もモテ系から恋愛色を廃したドジっ子設定に変更になっています。その上、ライバルキャラクターの登場でバトルするという新境地に。


ペン字にとってワープロは敵!

ライバルキャラ1 : ワープロのマイコ
「あなたの手紙には愛も心も入ってないわ!」と、異常なまでにワープロに敵意を燃やす三代目美子ちゃんの熱き闘志をご覧ください。


荒ぶる三代目

ライバルキャラ2 : マンガ字のマコ
美しい字をハナから否定するマンガ字(丸文字)も当然、ペン字の宿敵。美子ちゃんは徹底抗戦の構えです。まあ当時の男子から見てもマンガ字とか丸文字ってイラッとする存在以外のなにものでもなかったのですが、今でも使われてるんでしょうか?今だったら逆に新鮮かもしれませんね。

四代目美子ちゃんは初代・二代目の方向性を受け継ぐ少女マンガ風でありながら、きっちりと現代風の美少女に仕上がっています。


少し初代の雰囲気に戻った四代目

実は四代目美子ちゃんも10年近くのキャリアがありますので、比較的最近美子ちゃんを見かけた覚えがあるという人は、実は四代目美子ちゃんを見たのかもしれません。


まさかのペン習字ダイエット

四代目のキャラクターもなかなかキレていて、ダイエットに悩んでいる友達に「実はペン習字が運動になる」といった強引すぎるセールストークを繰り出したりして、さすが歴代の美子ちゃんに恥じない押しの強さを見せます。やはりただ可愛いだけじゃ美子ちゃんの名は襲名できないようです。

今あらためて思ったのですが、他のマンガと違って広告マンガだからなのか、日ペンの美子ちゃんを読んでいる時は今何代目かとか、絵柄が昔と比べてどうだとか・・その辺を全然意識してないんですよね。いつも巻末にいて当たり前の、まるで空気のような存在のマンガ、それが日ペンの美子ちゃんなのかもしれません。

というわけで日本唯一の「日ペンの美子ちゃん」研究本、「あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?実際の本では美子ちゃんのマンガも豊富に収録されていますし、ボーイフレンドのひろみ君や、代ごとに変わるネコやウサギなど美子ちゃんペットの分析、相川七瀬さんや中村うさぎさんの美子ちゃんコラムなど充実の内容となっています。

とりあえず心が薄汚れたJ君は、初代美子ちゃんの名言「美しい文字は心のおしゃれ」の言葉を胸に刻み、これからは字を綺麗にしようと思いました。とりあえず実用新案の練習器を手に入れるところからはじめたいと思います!



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出典) 「あの素晴らしい日ペンの美子ちゃんをもう一度」 岡崎いずみ/第三文明社
がくぶん/飯塚よし照/矢吹れい子/森里真美/まつもとみな/ひろかずみ/梅村ひろみ

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