「オバハンSOUL」 大阪のおばちゃん最強伝説

大阪のおばちゃん最強伝説 「オバハンSOUL」レビュー

薄々気がついてたけど、やはり最強だったか・・・
こんにちはJ君です。いわゆる「大阪のおばちゃん」っていますよね。イメージとしては、ヒョウ柄のアニマルプリントで身を包み、おしゃべり好き、頭はきっついパーマがかかり、買物ではえげつなく値切り倒し、バッグに忍ばせた飴ちゃんをばらまく・・・そんな部族イメージが先行しますが、全体に共通するのがとにかく折れない、ブレない、気にしない、鋼鉄のように強いメンタルです。

そんな大阪のおばちゃんの強さの秘密に迫ったマンガ「オバハンSOUL」を本日はご紹介します。一見たんなる荒唐無稽ババアのマンガであるかのように思われる本作品ですが、そこにはおばちゃんなりの正義感と義理人情、そして感動のストーリーがあったのです。


「オバハンSOUL」のヒロインは、渡辺直美という大阪の長屋に住むオカンです。アニマルプリントにパンチパーマ・・・まさに我々の思い描く大阪のおばちゃん像を具現化したようなキャラクターです。


女性とは思えないビジュアル

オバハンの武器は「布団叩き」。筋の通らん奴はこれでシバキ倒します。このオバハン、単なるうるさくてドケチなだけのオバハンではありません。人一倍正義感が強くて人情家、そして超の付くほどのお節介焼きです。


布団叩き=シャラポワのラケット

一話目はこんな話です。個人経営運送屋を営むオバハンの旦那は、借金をしこたまこさえている上に、腰を痛めてしまい働けません。そこで一念発起したオバハンは、自らトラッカーとして運送の仕事をして家計を支え、家事もこなし、旦那の看病までしています。


このポジティブさ、惚れます

「借金なんかどないかなる思て踏んばっとったらどないかなんねん!」
この根拠のないポジティブさこそオバハンの持つ強さですね。そんな中、高校生の一人息子、健太の様子が変です。参考書を買うといって金を貰ったのに買ってなかったり、親の財布からこっそり金を抜いたり・・・反抗期なのかと思いきや、実は不良たちに恐喝されていたのでした。


ガラの悪い諭吉ファン

ここでなんと腰をやってるはずのお父ちゃんが助けに来てくれます。なんという家族の絆。しかし、しょせん手負いです。若者達にボコボコにされてしまい、親子揃ってピンチに。


頼りない父ちゃん登場

そこで本命、布団叩きをもった武闘派すぎるお母ちゃんがトラックで乗り付けて参戦。


靴までヒョウ柄


布団叩きハンパない

「このクソガキどもがぁーッ!!」
さすがです。こういうときはヒョウ柄だと迫力が違いますね。


息子に熱いゲキを飛ばすオカン

「お前男やろ!!チンポついとんやろがっ!!」
これでビビっていた息子も奮起し、不良たちと戦います。家族の結束により、見事に息子へのカツアゲはなくなったのでした。めでたしめでたし。

別の話でもオバハンは男前です。老人を襲う卑劣なひったくり犯にはトラックで追いかけて体当たりをかまします。


ハリウッド映画並み

そして、こけた犯人を布団叩きで徹底的に成敗します。これぞまさに大阪の世直しヒーローです(女だけど)。


布団叩き高性能すぎ

その他そこかしこでオバハンのお節介な正義が炸裂。長屋の隣に引っ越してきた若い夫婦の部屋から、夜な夜な小さい息子の悲鳴が聞こえてきます。これはもしかしたら児童虐待か?いやいや、ただの躾かもしれんし・・・などと考える間もありません。思い立ったら即行動するオバハン。隣の家に乱入します。


児童虐待DQN親


オバハンの怒りマックス

オバハンの予感は的中しました。息子の体を煙草で根性焼きするDVなDQN親。当然オバハンの怒りはマッドマックス、一触即発ムードに。


これまた明言

「介入しまくるっちゅうねん!!ウチらはお節介やいてナンボやさかいな!」
これですよこれ。本人の意思に関係なくガンガンお節介する感じ。こういう世話焼きっぽい人情が今の日本になくなってきてるのかもしれません。


キスおばちゃんみたいなのがいる・・・

一触即発ムードですが相手はDQNです。オバハンが勝てるのか・・・と思いきや、長屋のおばちゃん同盟が武装して、外に待ち構えているのでした。児童虐待絶対許すまじ。こういうご近所の連携って素敵ですよね。なんか、明らかにTVで見かけたことのある風貌のオバちゃんがチラホラいる気もしますが。

話を聞いてみると、このDQN夫婦、派遣切りにあい、住むところもなくなり、借金もかさみ、ついつい子供に八つ当たりをしてしまう毎日になってしまったそうで・・・まあ荒んだ生活が生んだ悲劇といったところでしょうか。しかしそこは百戦錬磨のオバハン達。こういう時は頼りになります。


また名言いただきました

「人生に解決でけへん問題なんか無いんや」
これまた力強い・・・オバハンに言われると本当にそんな気がしてきます。なんていうか包容力がハンパないです。しかも、口だけではありません。ちゃんとおばちゃんネットワークを駆使して助けてくれます。


テレビにでてるやろ!

ええと・・・すごく素敵な話だと思うのですが、登場キャラクターがあまりにワハハ本舗すぎてセリフが頭に入ってきません。とにかく困ってる人がいたらご近所ぐるみでマルっと面倒を見る、このあったかさが大阪のよさなのかもしれません。

その他にも、自殺しそうな男を思いとどまらせたり、破水してしまった妊婦さんを助けたり、ゴミの不法投棄をやめさせたり、振り込め詐欺を成敗したり・・・さらには潰れそうなラーメン屋を立ち直らせたりと世直ししまくり。ヘタな政治家よりよっぽど社会貢献してます。オバハンすごい。


テレビ番組で見たことあるやつだ


すっごいスパルタ

ここまでオバハンの素晴らしい部分を紹介してきましたが、当然ながらコッテコテの大阪テイストもたっぷりと味わえる作品です。例えばオバハンの繰り出すえげつない値切り交渉とか・・・


ほとんど脅迫

値切る時はラオウのように巨大化までします。ヘタに理屈が通ってるからさらにタチが悪いですね。

また、特筆すべきはファッションセンス、オバハンのヒョウ柄コーデが水着から浴衣まで徹底しすぎていて実にファッショナブル。


森高の替え歌

私がオバハンになっても・・・ってもうなっとるやんけ!!
ついでに言うと、オバハンのフォトジェニックぶりも見逃せません。えげつないオバハンのセクシーシーンを否応なしに読者に晒してくれます。いわゆるサービスショットというやつでしょうか・・・。


これおっさんがやるやつだろ・・・


ダダーンて懐かしいな

・・・いやあ、実にセクシーです(棒)。
もちろん関西らしいボケ・ツッコミもふんだんに盛り込まれています。まるで吉本新喜劇のような軽快なやり取り。例えば、息子が「穴があったら入りたい」と言ったら・・・


戻りたくない・・・

これが大阪のおばちゃんの切り返しですよ。素晴らしい。こんな下品なの絶対思いつかないわ。

そんなわけで大阪のおばちゃんの生態が全部入りで分かるマンガ「オバハンSOUL」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?名言ありギャグあり涙ありの素晴らしい完成度。これは隠れた名作と言っていいんじゃないでしょうか。

自分は大阪に住んでないのでわかりませんが、最近は我々がイメージするコッテコテな大阪のおばちゃんは、大阪でもあまり見かけなくなり、絶滅危惧種とも天然記念物ともいわれています。それが本当なら絶滅する前に是非とも保護したいですね。

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出典)
「オバハンSOUL」 もりやまつる/日本文芸社

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