「セブンティウイザン」70歳の妊娠を描く驚愕の出産ファンタジー

70歳の妊娠を描く驚愕の出産ファンタジー「セブンティウイザン」

あたし、おかあさん(70歳)だから・・・
「あたし、おかあさんだから」という歌の歌詞が話題になりましたね。母親の自己犠牲の歌だとか呪いの歌だとか言われています。たしかにイクメンをはじめとした子育てスタイルの多様化で「みんなちがってみんないい」という風潮の中、母親だけがひたすら我慢するというのは、いささか古い価値観であるかのようにも思います。この歌が流行ってしまうことで、社会の風潮が古い価値観に逆行してしまうのではという危機感をもった人達が多かったのかもしれません。

しかし今回はそういった子育て議論を吹き飛ばしてしまうかのようなインパクトのある作品をご紹介したいと思います。その名も「セブンティウイザン」という作品。なんと・・・齢70歳にしてはじめて妊娠した女性が子供を生むという驚愕のマンガです。


出産マンガ、育児マンガというのはともすればデリケートな部分をはらんでいるジャンルです。例えば、母親が40代とか50代ぐらいの設定だと、高齢出産によるリスクが~といったセンシティブな議論に発展する作品になりがちです。しかし、これが本作品のように70歳となってしまうともはやそこにリアリティはなく、ファンタジーの世界に昇華されてしまうのですね。こういうマンガをJ君は勝手に「出産ファンタジーマンガ」と分類しています。

ちなみに「出産ファンタジーマンガ」は、他には以前ご紹介した男が妊娠するマンガ「ヒヤマケンタロウの妊娠」なんかもそうです。というか、今のところこの2つ以外に思いつかないんですが。

「セブンティウイザン」のストーリーをご紹介しましょう。これといった出世もせず・・・何事もなく定年退職をした夫、江月朝一(65)。会社からの帰り道に連れ添ってくれた妻への感謝を込めて温泉旅行にでも・・・なんてことを考えていました。しかし、家に帰ると妻の夕子(70)による衝撃の告白が待っていたのです。

エイプリルフール!?

「妊娠しました」
なんと、70歳の妻が妊娠!当然ながら朝一は信じることができません。

妻の意思は固い

きっと何かの病気だと思いたしなめる朝一、しかし妻の夕子は間違いなく妊娠している、そして生むつもりだと頑なに主張。い、一体何が起こっているのか・・・。

お盛んですな

「お、俺の子か?」 「あなた以外に誰とするのよ!」
こんな、ドラマに出てきそうな修羅場トークも65歳と70歳の老夫婦の会話だと思うと、別の意味ですごい緊迫感につつまれます。っていうかこのお歳でも、なさることはなさってるんですね。それはまあそれで素晴らしいことですが。

どっちでも一大事

エコーの写真を見せられても「癌?」などというリアクションで、どうしても信じられない朝一ですが、ついに決定的なものを見せつけられます。

すごい回転

妻の夕子が投げた、ハンドスピナー並の勢いで回転する物体。それは・・・妊娠検査薬。そう、やはり妻は妊娠していたのです。もはや疑う余地はありません。

そんな感じでスタートした「セブンティウイザン」。やはり、世に出回っている普通の出産・育児マンガと圧倒的に違っているのは、その年齢設定。その夫婦を取り巻くリアクションがいちいち普通じゃありません。

たとえば、妊娠している妻が頭痛と吐き気で苦しんでいると・・・常識的に考えて「つわり」だと思いますよね。

見分けが困難

「脳梗塞!?」
やはり分かっていてもどうしても信じられない夫・朝一です。

似てますがぜんぜん違う

「胎児の発育には葉酸が必要なんです」 「ほう・・・尿酸?
・・・まあ、年齢的にそっちを心配するほうが自然ですよね。

シルバー的な意味で

電車で席を譲られても、どっちの理由で譲られたか分かりませんし、妊婦健診に行こうものなら医療関係者から注目の的です。

安心できない微笑み

「ご安心くださいツイッターとかでつぶやきませんので」
そりゃそうでしょ!だけど・・・つぶやきたい気持ちも痛いほどわかります。マスコミが放っておかない案件ですよね。これは。
そして、安定期に入り、両親学級に参加することになると、お約束のアレが。

やはり若さが必要か・・・

そう、妊婦体験ジャケット!
しかし、65歳の父親には文字通り荷が重すぎたか・・・負けるな朝一!腰は大事に!!

ついに出産

そんなこんなで、ついに激動の日々を乗り越えて出産へ!名前は「みらい」ちゃんです。しかし、老夫婦にとって本当の試練はここからだったのです。

そんな疑わなくても

出生届を出しに行ったら代理人と勘違いされたり・・・

遠回しなレコメンド

おむつを買いに行ったら大人用おむつを勧められたり・・・

ですよねえ

「私達の子なんです」って言ってもジョークだと思われたり・・・
そして、老夫婦にとっての育児とは常に生と死が隣り合わせでもあるのです。

まあ心配だよね

育児に疲れて寝ている妻の脈をさり気なく測ったり

さりげなくてもバレバレ

育児に疲れて寝ている妻の脈を流れるような仕草で測ったり

検視官か!

育児に疲れて寝ている妻がちゃんと息しているかを確認したり・・・
ていうか、朝一しつこいな!!

どこまで育てられるか・・・

というわけで、驚愕の70歳での出産、そして育児を描く「セブンティウイザン」をご紹介しました。あまりのぶっ飛び設定に、男が妊娠するマンガ以来、久々の衝撃を受けましたが、実はインドには70歳で出産したという事例が実在するんですね。奇跡というのは本当にあるもんなんですなあ。

そしてこの「セブンティウイザン」現在も連載中でして、いよいよみらいちゃんが保育園に入園するという段階まで成長しています。この老夫婦がはたしていつまで育児を続けることができるのか、別の意味でハラハラドキドキする今後の展開に要注目です!

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出典)「セブンティウイザン」 タイム 涼介/新潮社

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