『BOYS BE…』全254話! 甘酸っぱい青春が去来する、中高生ラブコメマンガのバイブル

全254話! 甘酸っぱい青春が去来する、中高生ラブコメマンガのバイブル『BOYS BE…』(ボーイズビー)(2018/12/20日刊サイゾー掲載)

 突然ですが、皆さんは大志を抱いてますか? 「Boys, be ambitious(少年よ大志を抱け)」というクラーク博士の有名な言葉がありますが、僕はせいぜい年末ジャンボを買うぐらいで、そんなに大志なんて抱けてないですが。

今回ご紹介するのは、その「Boys, be ambitious」にインスパイアされたマンガ『BOYS BE…』(ボーイズビー)です。ただし、「少年よ、大志とかどうでもいいから、彼女ぐらい作っとけ」って感じで、ラブに始まりコメに終わる、オールアバウトラブコメな内容となっています。

本作は原作・イタバシマサヒロ先生、作画・玉越博幸先生で、1991~96年まで、「週刊少年マガジン」(講談社)に連載されていました。単行本にして32巻分、全254話。ほぼ毎回1話完結オムニバス形式のラブコメになっているため、登場人物も設定も全然違うラブストーリーが5年間、毎週掲載されていたことになります。どんだけラブの引き出し多いんだよ!

しかも、『BOYS BE…』が終わったと思ったら、ほぼそのままのコンセプトで『BOYS BE… 2nd Season』全20巻へと続くという無限プチプチならぬ無限ラブコメっぷり。もはや、いくらでもラブコメを量産できるラブコメ工場といっても過言ではないでしょう。

 


無限ラブコメ

そんな本作ですが、基本的に中高生の恋愛に特化しています。大抵はちょっとさえない男子が、学校で人気の女の子に告白しようか、でもオレなんか……なんてウジウジしながら、最終的に思い切って告白してみたらOKでした! みたいな話とか、幼なじみで全然女子として意識してなかったアイツをある日突然意識し始めて……みたいな話とか、付き合いたてのうぶカップルが、まだキスもしてないけど今日は家に親もいないし、思い切って……みたいな話です。どこかで聞いたことありますよね?

 


ウジウジしてこそ青春!

そんなありきたりなパターンばかりで、254話も作れるのかよ? と思わずツッコみたくなるかもしれませんが、作れるんです!そう、『BOYS BE…』ならね!

 

■中高生にありがちな甘酸っぱいシチュエーションを、余すところなく網羅

本作は中高生向けのラブコメですから、とにかく甘酸っぱいのが大前提。弘兼憲史先生の『黄昏流星群』みたいな熟れた恋愛は絶対NGです。そのため、なんでもありというわけではなく、甘酸っぱい恋愛シチュエーションに特化しています。

いつもケンカしている幼なじみに彼氏ができて、ヤキモチ焼いちゃったり。

誕生日に手編みのマフラーをプレゼントされちゃったり。

教育実習に来た先生を好きになっちゃったり。

自転車のチェーンが外れて困っていた女の子と急接近したり。

イヤホン左右半分ずつで聴くカップルが出てきたり。

 


いわゆるフラグ発生

 


今だとワイヤレスなのでこういう風情がない

……全部、恋愛マンガあるあるじゃないですか? いや、実際はナシナシですけど。そんなに都合よく自転車のチェーン外れている女子なんか見たことないですし、イヤホン左右に分けて聴いてるカップルもリアルでは見たことありません。もし現実にいたら、ハサミで一刀両断したくなりますしね!(ならないか)

 

■後半はマンネリ防止策で、マニアックなテーマも登場

とはいえ、これだけ大量の話数ですから、中には“なんだこりゃ!?”というマニアックなストーリーも突発的に出てきます。これがまたいい意味でアクセントになっており、読者を飽きさせずに楽しませてくれるのです。

・自宅で手錠を掛け合って遊んでいたら両手が使えない状態で鍵が開かなくなってしまって、おまけに鍵がシャツの中に入ってしまい、意図せず手錠プレイに発展。

・学園祭の出し物で、ジャイアント馬場の着ぐるみを使って二人羽織をしていた男女が、転んで着ぐるみの中で急接近。

・好きな女の子に貸した帽子にいい匂いが残ってて、ずっと嗅いでいるうちに、学校中の女の子の臭いが気になりだして、嗅いで回るようになる。

・Eカップの彼女の乳輪の大きさが気になって、思い切って聞いたら怒られる。

・エッチする前にマムシドリンクを飲んだのがバレて、女の子に怒られる。

 


マムシドリンクて・・・昭和か!

だいぶマニアックですよね。しかし、たとえジャイアント馬場の着ぐるみが出てこようとも、マムシドリンクが出てこようとも、最終的には甘酸っぱいラブコメとして着地するのが『BOYS BE…』のすごいところなのです。

 

■ラブコメを科学することで、バッドエンドのない世界へ到達
『BOYS BE…』32巻の最終話では、全254話の統計データが公開されています。

 


恋愛ビッグデータ解析

実は本作ではフラれて終了するバットエンドのパターンはたった3回しかなく、ほとんどの回がハッピーエンド。これは、バッドエンドだった時の読者のアンケートの評価が低かったことから、そのような方針になったのだそうです。まさに科学するラブコメ。緻密な計算に裏打ちされたストーリーだからこそ、これほどの長期連載になったのだといえます。

 


パンチラ多すぎィ

そのほか、さわやか中高生ラブコメのイメージがある本作ですが、少年誌のニーズに応えるためか、意外とエッチなシーンも出てきます。統計データによると、パンチラシーンが254話中60回もあるそうです。パンチラ率23.6%。これを多いと見るか少ないと見るかは、人によって意見が分かれるところですね。

 

■ラブコメが止まらない、今も続く『BOYS BE…』ワールド

本作はあくまで古き良き時代のラブコメ作品なのかと思いきや、実は『BOYS BE…』ワールドは今もなお続いているのです。

『BOYS BE… 2nd Season』以降も、

『BOYS BE… L CO-OP』6巻

『BOYS BE… pre-season』1巻

『BOYS BE… next season』6巻

などが出ており、現在は「イブニング」で『BOYS BE… adult season』が不定期連載中と、まるで『島耕作』シリーズ並みの息の長さを感じさせます。最終的には『BOYS BE… silver season』まで行ってしまうかもしれません。

そんなわけで、もはや中高生恋愛のありとあらゆるケースを網羅したラブコメ巨大データベースともいえる『BOYS BE…』をご紹介しました。あらためて読み返してみると、おっさんでも年甲斐もなくキュンキュンできて、若返る気がします。もしかしたら『BOYS BE…』には、思わぬアンチエイジング効果があるのかもしれません。

 


どういう状況?

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引用)
『BOYS BE…』
イタバシマサヒロ / 玉越博幸 / 講談社

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