ルパン一族、末裔の悲劇
君はルパン4世と8世を知っているか?
こんにちは、ルパン三世のオープニングテーマ「ルパン・ザ・サード」の所を「ルパンルパーン」だと思っていた男、J君です。そんな男が恐れ多くも本日ルパンを語ろうとしています。ご存じルパン三世といえば、カルト的なファンが多いことで有名。たとえばルパンが着るジャケットの色一つ取っても、青ジャケットしかルパンとして認めないとか、いやいや、赤ジャケットの時代が一番よかっただとか、ファンの中で熱い論議が交わされていると聞きます。
そんな中、ルパンといえば白ジャケット派のJ君が今回お送りするのはルパン三世より後のルパンのお話。すなわち、フランスの名怪盗アルセーヌ・ルパン1世から脈々と続く、知られざるルパンの末裔達に焦点を当ててみようという企画です。具体的に言うと、「ルパン4世」と「ルパン8世」のことなんですけど。
ほんとにあった8世
そうなんです、驚いたことに、この世には「ルパン8世」というマンガが存在します。このマンガは、コロコロ、ボンボンに続く第三のジャリ向け月刊コミック誌として1982年頃に華々しくデビューするも、日の目を見る事なくひっそりと廃刊になった「100てんコミック」に掲載されていたものです。
このルパン8世、ルパン三世から数えても5世代経過しているわけで、設定はなんと22世紀のお話となっています。22世紀ということはつまり、大雑把にいってドラえもんと同期ということになります。
そんなわけで、ルパン8世は宇宙空間を舞台に活躍するわけなのです。主人公が住んでいるのは「ルパン星」という、隕石に気球が生えたような代物で、読者の一抹の不安感を誘います。
しかしながら三世のキャラ設定を踏襲しており、次元や五右衛門、銭形警部や峰不二子の子孫がしっかり登場します。それよりもむしろ問題なのはルパン8世の職業が
私立探偵になってる所なんですけど。
つまり、この作品のルパンは不二子ちゃんをはじめとする、盗人どもから財宝を守る側の立場となっているのです。22世紀は、ルパンが泥棒を廃業して探偵に。ものすごい根本的な部分で方向性が変わっています。ずいぶんと大胆な設定ですね。
また先ほど、次元や石川五右衛門などのおなじみキャラが出てくるとはいったものの、よくよく見ると、五右衛門が宇宙服姿で斬鉄剣を振り回していたり、次元が、レーザーガンを撃ってたりするなど、どうにも違和感ありまくりな感じは否めません。
ただし、ルパンが不二子ちゃんにメロメロな設定はそのままですので、不二子ちゃんがピンチに陥ったりすると、ルパンが必殺技を繰り出して助けたりするシーンもあったりします。
「見たかスクリューサーフボードアターック!」
・・・ルパンがまるで「とどろけ!一番」のようになってます。
そんな無茶苦茶な設定のせいか、この「ルパン8世」はたった6話で打ち切り。入手超困難な伝説のルパン作品としてその存在を封印されたのでした。栄華を誇ったルパン一族の末裔は打ち切りという悲劇的な最後を迎えたのです。
さて、すっかりしょんぼりしてしまったところで、さらに追い打ちをかけるように「ルパン四世」の話です。「ルパン四世」というには少々語弊があるかもしれません。正式には「ルパン小僧」というマンガが存在します。ルパン三世と峰不二子には隠し子が存在した!という設定。
しかしルパンと不二子が・・・。いやよいやよも好きのうちといいますか、不二子ちゃんもなかなかどうして、実はやることはやっていたという事実も不二子ちゃん寸止め説を信じていたファンにとってはショッキングだと思うのですが、隠し子という扱いもなんだかなあ、という感じです。
実際、作者のモンキーパンチ先生もあまりこの企画に乗り気ではなかったらしく、コミックスの巻末コメントでハッキリと「乗り気ではなかった」ことを告白されています。「ルパン小僧」という投げやりなタイトルもそんなテンションの低さを物語ってるような気がします。だって、小僧て。ねえ。
内容的には、ルパン小僧が父親のルパン三世が隠した財宝を探して旅に出るというもの。しかし、ルパン小僧の行く先々で邪魔をするのは実は変装したルパン三世自身だったりという展開なのですが、次元や石川五右衛門のような名脇役がいるわけでもなく、地味であまり話が盛り上がりません。そんなわけであまり寵愛を受けることのなかった悲しきルパンの隠し子。それが「ルパン小僧」です。
というわけで栄華を誇ったルパン一族も、ルパンは三世以降は結構悲惨なことになっていることがお分かりいただけたことと思います。ルパン一族の名誉のためにも、もうしばらくクリカンには頑張ってもらわなければならなそうです。
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出典) 「ルパン8世」 双葉社/モンキーパンチ/おりはるこん
「ルパン小僧」 中公文庫コミック版/モンキーパンチ