アフリカが生んだ狂気 コイサンマン VS キョンシー
アフリカの中心でアチョーと叫ぶ。
皆さんは「コイサンマン」をご存知でしょうか?1980年頃に大ブームとなった映画で、飛行機から投げ捨てられたコーラのビンをアフリカの原住民コイサン族のニカウさんが拾い、はじめて見るビンをめぐって一族が大騒動になるという異文化交流(by森本レオ)コメディです。当時は「ブッシュマン」という名前だったのですが、大人の事情によりいつのまにかタイトルが変更になっていました。
この「コイサンマン」シリーズは根強い人気があり、「2」「3」そして「コロッケ吹き替え版」なども存在したようです(コロッケて)。しかしシリーズ中で日本では遂に商品化することがなかった幻の珍品が存在します。その名も「コイサンマン キョンシーアフリカへ行く」というタイトルの作品。タイトルがいきなり壮絶に意味不明なんですが一体どういうことなんでしょうか?
本作品はそのタイトル通り、コーラのビンが落ちてきただけで驚いたコイサン族の前に今度はキョンシーが落ちてきた!という、とんでもなくテキトーなコンセプト。もともとキョンシーは中国を代表する化け物として少林寺拳法やくノ一などとコラボってきましたが、今度はまさかのアフリカ原住民とのカラミだというのだからもはや人知を超えてます。
原題は非洲和尚
さらにこの映画のすごいところは、アフリカ映画界きってのスター、ニカウさんと元祖霊幻道士のラム・チェンインそして、かのブルース・リーまでもが競演しているところです。そのすごさはプロレスでいえば、猪木と馬場の対決にカール・ゴッチが乱入してくるようなものだといえば分かりやすいでしょうか?(全然分かりにくい)。
魔のコラボレーション
とにかくその辺のパチモンを合体させただけのニコイチ香港映画とはわけが違うという話です。アフリカと香港の究極コラボレーションに全米が泣いた!(かどうかは知らない)
さて、この時点で興味の無い人はとっくにブラウザのバックボタンを押していると思いますが、そろそろストーリーをご紹介しましょう。キョンシーになったご先祖様をオークションで競り落とした中国人が、霊幻道士を引き連れてアフリカ上空を飛行機でキョンシーを輸送中、その飛行機が墜落してしまいます。そして、パラシュートで脱出したキョンシー達がニカウさんたちコイサン族と遭遇してしまうというもの。なんとも嫌な異文化交流ですね。
違和感バリバリ
もう、アフリカの部族とキョンシーと霊幻道士というスリーショットだけでも異様なのですが、はじめは凶暴だったキョンシーがいつのまにかニカウさんたちと心が通じ合い、村仕事を手伝い始めたりするほほえましいシーンなどもあります。
お手伝いキョンシー
キョンシーも使いようですね。
子供に大人気
さらに、コイサン族の子供と戯れるキョンシー。一応、キョンシーって死体なんですけど・・・。
まさに鬼畜
そんな中、のんびりマイペースで暮らしているニカウさんたちの前に悪い白人達が登場。悪そうなカッコの他部族を従えて危害を加えにやってきます。目的はよく分かりませんが、悪い白人がコイサン族の子供達を奴隷にしようとしているようです。人さらい=悪党の定番ですね。こいつらには地獄すら生ぬるい。
主力武器は弓矢
悪い白人達から部族を守らなければいけなくなったニカウさん。しかし、銃を持っている白人に対し、コイサン族の武器は弓矢と圧倒的に不利。これではB29を竹槍で攻撃するようなものです。
そこで、活躍するのがすっかりアフリカに馴染んだキョンシーです。キョンシーは霊幻道士の作ったお札を貼る事で飼いならすことが出来ますが、一度お札を外すと、再び凶暴な怪物に戻ります。
キョンシーパワー
キョンシーのスーパーパワーであっという間に悪党どもは壊滅寸前。
巨大ゾンビ
しかし、白人側もすごい隠し玉を持っていました。首狩族の酋長みたいなのが現れ、巨大ゾンビを呼び起こします。
アフリカとは思えない光景
キョンシーVS巨大ゾンビ
・・・なんだろうこの対決。アフリカの風景とはとても思えません。
助けてキョンシー!
はじめはビビッていたキョンシーですが、子供達に励まされキョンシーが奮闘。火事場のクソ力を発揮して巨大ゾンビを倒します。子供達の心がキョンシーに伝わった!(死体だけど)
ニカウさんピンチ!
しかし、一方でニカウさんのほうは悪党共に追い掛け回されて大ピンチ。そこで、霊幻道士が取り出したるブルース・リーのブロマイドに向かって謎の降霊術を開始。
降霊開始
なぜか唐突にスクリーン上に現れる在りし日のブルース・リー(ただしドラゴン危機一髪とかの映像を丸パクリしただけ)
アチャ~!!
ま、まさか・・・!
奇跡の合体!
ニカウさんの体にブルース・リーの霊が憑依します。アンビリーバブル!恐山のイタコもビックリ!
ブルース・リーの霊が乗り移ったとたんキレのいいカンフーを繰り出すニカウさん。ブルース・リーの構えがいちいち完璧に再現です。
まさにアフリカのドラゴン!!
ブルース・リーお得意の踏みつけフィニッシュも完全再現!
・・・あまりに意味不明な展開でめまいがしてきました。そんなこんなで、ブルース・リーの化身となったニカウさんは、見事本格的なカンフーで悪い白人一味を撃破。
「ホア~!!」
まだやってるよ。
引き継ぎました
最後は、衣装を引き継いだニカウさんがアフリカの霊幻道士となるのでした。(全く意味不明なオチ)
その他にも、野生サルとのガチンコバトルや、超巨大ニシキヘビに左足を丸飲みにされるシーン等、どうやって撮影したのか想像もつかないような豪快なシーンも盛りだくさんです。アフリカならではの未知の映画技術が駆使されています。特に圧巻なのは、この霊幻道士がダチョウの首根っこをつかんでアフリカの原野を疾走するシーン。
ダチョウが可哀相
これは、動物愛護団体が黙ってないぞ!
というわけで故ニカウさん、故ラム・チェンイン、故ブルース・リーという映画界の三大偉人のコラボレーションが実現した幻のカルトムービー「コイサンマン キョンシーアフリカへ行く」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?日本では数回テレビで放映されたものの結局ビデオ化、DVD化には至らず幻となってしまった本作品。いつか正式に国内リリースされることがあるのでしょうか?その行方はきっと恐山のイタコでも分からないことでしょう。
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出典) 原題 「非洲和尚/Crazy Safari」
参考)Amazon → ■ レビュー → ■ ■ ■