本当は怖い世にも奇妙なパソコンの怪談 前編
私のパソコンの前で泣かないでください。
そこに私はいません。Winnyなんかしません。
こんにちはJ君です。本日はJ君作詞作曲のオリジナルソング「千のバグになって」をお送りしてみましたがいかがだったでしょうか?はい、最悪でしたね。言われなくても自分が一番良く分かっています。
ところで、皆さんパソコン使ってますか?というか、パソコン使えないとこのサイト見れないですね。携帯電話で見ているという可能性は全く考慮しないで話を先に進めますが、本日はそんな身近なアイテム、パソコンにまつわるちょっと怖いマンガをご紹介しましょう。記事のタイトルがいろいろとパクリっぽいのはあまり気にしない方向で。
本日ご紹介するマンガは「パソコンワールド」。当サイトではすっかりおなじみとなった巨匠ビッグ錠先生が、インターネットはおろかウインドウズもない時代に描いたパソコンを題材としたミステリー短編集です。しかし、ビッグ錠先生の描くマンガジャンルのボーダレスっぷりには恐れ入りますね。当サイトではグルメマンガはもちろん、ラブホテル経営マンガとか陶芸師マンガなんてのもご紹介しているのですが、キャバレー王物語なんてのもあるみたいです。先生の手掛けるジャンルに限界はないのでしょうか。
「パソコンワールド」はパソコンをテーマに描かれたちょっと怖いミステリー短編集。1980年代に描かれた作品でありながら、今、巷で起こっている個人情報漏洩やクラッキング、P2P問題、ネット犯罪等々、ありとあらゆるコンピューターの脅威をまるで予知していたかのように描いています。ウインドウズ95が発売されたのは1995年。インターネットの本格的な普及はさらにその後ですから、ビッグ錠先生がいかにコンピュータに関して先進的な知識をもっていたかを裏付けます。すごいですね。グルメ漫画の方も別の意味で先進的でしたけど。
というわけで、短編集ということで作品をピックアップしてご紹介します。
すごいタイトルですね
ご紹介するのは「ネットワーク泥棒」という作品。
パソコンゲームに夢中だけど勉強はサッパリな主人公、五月創くん。学校ではテストのたびに塾に通っている成績優秀な生徒達にバカにされています。
勉強はサッパリ
しかし五月くんのパソコンオタクっぷりは半端じゃありません。いつも最新のパソコンゲームを手に入れている五月くん。でもお金を持っているわけではありません。実は・・・
それは犯罪では?
通信回線を使って他人のコンピュータに侵入し、他人様のゲームをパクッているのでした。何、このスーパーハカー。イマドキWinnyつこうてる奴らよりも遥かにタチの悪い少年です。今だったら確実にお縄頂戴となる人材ですね。
ちなみに当時は、インターネットなどなくADSLや光回線ももちろん無い時代です。パソコン通信をするには、音響カプラという電話の受話器をグイグイ押し付けて、受話器から発する音を利用して通信するというものすごくワイルドな機器を使っていました。今でいうモデムの原型ですね。こんな感じのシステムです。
音響カプラ
ただ、ツッコミを入れるとするならばブロードバンドはもちろんテレホーダイもないこの時代にパソコン通信をやりまくるということは、NTTからの電話料金の請求が天文学的数字になることを意味します。昔、パソコン通信にハマった友人が、自宅に数十万円の電話代の請求が来て親子の縁を切られそうになっていました。笑えない実話です。
そんなスーパーハカーな五月くんですが、どうやら彼をバカにするエリートどもは、特学塾なる、コンピューターを使った塾で勉強しているという情報をつかみます。その特学塾との勉強風景はこんな感じ。
鍵十字っぽいアレが
怪しすぎます。なぜかナ○スドイツのテイストあふれるセンスの塾。かなりイカし(れ)ています。そして塾長のセンスも期待を裏切りません。
ネクタイがヤバイ
へなちょこヒッ○ラー参上!
やはり、ビッグ錠ワールドはこのマンガでも炸裂していました・・・。
実はこの特学塾の塾長は、綿密に計算された塾のプログラムで知らず知らずのうちに洗脳された生徒を輩出し、生徒達が将来政界や財界に進出し、日本のエリートとなったころを見計らって、マインドコントロールで日本を征服しようという野望を持っていたのです。恐ろしいほど手間のかかる野望ですね。やはりナチ○の考えることはスケールが違います。
やたら手間のかかる野望
一方、主人公の五月くんは、そんな特学塾の野望を知るわけもなく、ただ単純に自分をバカにするやつらに嫌がらせするためだけに特学塾のメインコンピュータにハッキングを開始。塾生たちは知らず知らずのうちに間違った解答を覚えてしまい、学校の成績は急降下してしまうのでした。パソコンを自分を向上させるのではなく、周りを引きずりおろすのに使うとは、この男・・・なんという才能の無駄遣い。ネガティブな方向にものすごい才能を発揮しています。
才能の無駄遣い
しかし、塾生たちが次々と成績を落としていく異変に塾が気づかないはずはありませんでした。コンピューターへの不法侵入に気づいた塾長は、今の法律ではハッカーを裁けないと考え、警察に通報せずにとんでもなくブラックな方法で復讐することを考え付いたのでした。
ドクロマークのカセット
その方法とは、なんとメインコンピューターに見るだけで自殺したくなる催眠プログラムを仕込んでおき、主人公が塾のコンピュータに侵入した時に起動、催眠術がかかるようにしておいたのです。
ベタな催眠術ですね
な、なんだってー!!そ、そんなバカなことが・・・
車道に飛び出す主人公
・・・できるみたいです。すごいな○チスのITテクノロジーは。ウイルスとかいうレベルじゃねーぞ。
しかし、なんとか一命を取り留める主人公。そして危険な催眠プログラムを仕込んだということで警察にタレこみます。その結果、塾長はタイーホ。ナ○ス塾の日本征服の悪の野望は未然に防がれたのでした。めでたしめでたし。・・・って、なんだこのオチ。主人公の方がよっぽど悪質なことをしてたような気がするんですが・・・。
とにかく、これが20年以上前に描かれたマンガだったというのが驚きですね。実はビック錠先生自身がスーパーハカーだったりして・・・。っていうか今回は全然怪談ぽくなかったので、後編ではもっと本当に怖いコンピューターのお話をご紹介します。いや、そんなに怖くないかも、どっちなんだ?自分でもよく分からなくなってきた・・・。
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出典) 「パソコンワールド」 集英社/ビッグ錠
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