「恐怖びっくり本」「恐怖びっくり毒本」 昭和の特級呪物!?スベりすぎて背筋が寒くなるネタ本

昭和の特級呪物!?スベりすぎて背筋が寒くなるネタ本「恐怖びっくり本」「恐怖びっくり毒本」

 

 

本日ご紹介するのは、もはやネット上に知っている人がいるかどうかすら分かりませんが、幼少期のJ君にとって、とんでもなくトラウマになっている、言わば昭和の特級呪物とも言える本をご紹介したいと思います。その名も「恐怖びっくり本」シリーズ。

これは、漫画ではなく、いわゆるネタ本です。表紙だけ見ると怪談話のネタ本のように見えますが、怪談本の体をしたギャグのネタ帳です。しかも恐ろしくくっだらないダジャレ、オヤジギャグ、そして下ネタのオンパレード。終始スベってるのですが、くだらないほど小学生にはバカウケする、そんな現象ってありますよね。とにかくくだらないネタが大量に載っているので、読んでいるうちに脳が麻痺してきて、気がついたら面白くなっている、そんな本なのです。

  
スマイルズJr.という作者も謎

 

J君が初めて読んだのは小学4年生ぐらいの頃。友人の家で遊んでいる時にたまたま目にしたのが「続・恐怖びっくり本」でした。このあまりにおどろおどろしい、インパクトの有りすぎる表紙、どんな恐ろしいことが書いてあるのかと読んでみたら、くっだらないダジャレと下ネタしか載っていないというギャップ。しかもそれがとめどなく、川の流れのように延々続くのです。だがそれがいい。ウ◯コチ◯コ大好きなおバカなジャリガキだったJ君は、友達の家にあったこの本がどうしても欲しくなり、地元の書店で小遣いはたいて購入した記憶があります。

  
続じゃない方は超稀少本

  
なんで色が変わったのかも謎

 

J君が当時読んでいたのはおそらく「続・恐怖びっくり本(怪談パロディ版)」(昭和56年)なのですが、その前作となる「恐怖びっくり本 (だじゃれパロディ版)」(昭和54年)と、おそらく上記2つが再編集されてオレンジの表紙になった再販版「恐怖びっくり本」(昭和62年)があるようです。

再販されるぐらいなのでそこそこ売れていたのだと思われますが、内容的にはほとんど一緒なのでその辺をあまり意識せずご紹介します。

まずはメインコンテンツとなる「パロディ怪談集」のネタですがこんな感じです。

  
ルビがないとしんどい
一軒家の老婆 → 一見やな老婆
人肉料理 → ニンニク料理

  
老婆とか魔女の比率高し
魔女の口 → まー序の口
鬼婆の血 → ほおんにババッチー

  
子供の心で見てください
悪の十字架 → あくの十時か
指を切ってくれと頼む男 → 郵便切手ください

その他にも
恐怖のミソ汁 → 今日、麩の味噌汁
悪の葬式 → 悪の組織
中央線の怪 → チューをせんのかい
怪談お岩 → 階段多いわ
初七日 → 書なのか
悪魔の足跡 → アッ!熊の足跡
呪いの墓場 → ノロいのはカバ

などなど、なんていうか…駆け出し芸人のネタ帳みたいなレベルのダジャレが延々と書いてあります。怪談風のおどろおどろしいタイトルで、オチはただのダジャレ。しかもルビを振ってわざわざ説明してくれるという痛々しさも内包しています。すごくくだらないですよね、でもJ君のような昭和キッズ脳にはジャストミートでした。

その次のコンテンツはやや長文の怪談ネタ「恐怖のミステリーギャグ」です。

  
白い着物の女
すぐ下ネタに走る

  
奥様は魔女
オチが雑なのがいい

こちらはダジャレとともにふんだんに下ネタが使われています。あとスベってるのを誤魔化すためか「アチョー」とか「ムヒョー」とかで安易に落とす傾向があります。いや、大人になってから改めて見るとこれはキツイな。子供の頃はこれ読んでゲラゲラ笑ってたんだけど…。

怪談ネタばかりだとワンパターンだからなのか、「日本びっくり昔話」「世界びっくり童話」というシリーズもあります。要するに昔話のパロディですね。いかにも小学生が食いつきそうなネタです。

  
桃太郎
滑り倒してる

  
マッチ売りの少女
下ネタが酷い

全般的に意味不明なオチですが、勢いでつい笑っちゃいます。あと困ったときはやはり下ネタですね。その下ネタのレベルがまたひどいな。目を覆わんばかりです。

あとこの「恐怖びっくり本」シリーズの巻末になぜか必ず入っているのが、実在のタレントに対して毒づくという、今だったら名誉毀損スレスレのネタ。こんな感じです…

  
名誉毀損レベルの誹謗中傷

  
昭和の本だけに故人も出てきます

 

なんの根拠もないただの罵詈雑言!今だったらSNSに取り上げられて即炎上しそうですけど、当時はブラックジョークということで大目に見られていました。おおらかな時代だったんだな。

とにかくこういう低俗な本だったんですよ。この本のお陰で子供の頃のJ君はワニのマークがついた「KKベストセラーズ」ってやべー本ばっかりだしてる出版社っていう先入観をずっと持ってましたからね。なんとも業が深い作品です。あと作者として名前が載っている「スマイルズJr.」も全く謎の存在で、ネット上にもほとんど情報がありません。一応、構成作家兼売れっ子ライターみたいなプロフィールが書いてあるのですがなんか嘘くさい。実在したんだろうか…。

  

■ゴーストライターの匂いがプンプンするビートたけし著「恐怖びっくり毒本(いたずらテキスト版)」(昭和58年)

  
北野武の黒歴史か?

 

「恐怖びっくり本」シリーズの謎が更に深まるのが、同じ出版社から出ていた「恐怖びっくり毒本」という類似本。本のタイトルも似ているけど、中に載っているネタも「恐怖びっくり本」の焼き直しが大半を占めていました。しかし大きな違いは、「ビートたけし 編著」となっていることでした。もちろん、皆さんご存知の世界のキタノのことですよ。

  
使い回しのネタ多すぎ

 

この「恐怖びっくり毒本」と「恐怖びっくり本」の関係性は全くの謎ですが、掲載ネタがそっくりなことから、ビートたけしは多分ほとんど絡んでないんだろうな、名義貸しみたいなもんかな…とひそかに思っていました。

  
毒がエグいことになってる

 

一応「恐怖びっくり本」とは違うコンテンツもあるにはあります。「毒本」用に書き下ろされたのかもしれません、ビートたけしの名を冠しているためか、毒も強めになっている気がします。

というわけで、J君の長年のトラウマ本だった「恐怖びっくり本」 「恐怖びっくり毒本」をご紹介してみました。もし万が一、この本を知っている人がいたら、きっと同じ時代を生きてきたソウルメイトですね。そして残念ながらダジャレのセンスも下ネタのレベルもきっとJ君と同レベに違いありません。

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出典) 
「恐怖びっくり本」 「続・恐怖びっくり本」 スマイルズJr/ベストセラーズ
「恐怖びっくり毒本」 ビートたけし/ベストセラーズ

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