孤独の品格・・・「孤独のグルメ」特別編

孤独の品格・・・「孤独のグルメ」特別編











十数年の時を経て「いい体」のまま復活

こんにちは、J君です。週刊SPA1/15号に「孤独のグルメ」の特別編が掲載されましたね。実に10年の歳月を超えての復活です。待ち望んでいたファンもきっと多いことでしょう。そして、その特別編はまるでその10年という月日が止まったかのような、全く違和感のない作品でした。何もかもが懐かしい ・・・。



「孤独のグルメ」の世帯普及率100%を目論む「こどグル原理主義者」のJ君といたしましては特別編の素晴らしさも是非皆様にお伝えしたい次第。というわけで、今回は「孤独のグルメ」特別編レビューです。


さて、念のため「孤独のグルメ」をご存じない方のために簡単に作品をご説明しておきますと、独身貴族のゴローちゃんこと、井之頭五郎が、一応社長などというエグゼクティブな立場であるにもかかわらず、焼肉屋で「焼肉といったら白い飯だろうが」などと軽くキレたりするという作品。全然説明になってない気がするので、詳しくはこちらこちらをお読みください。






ゴロー病人バージョン


というわけで特別編では、いきなり予想外の悩ましげなゴローちゃんの寝顔からスタート。マニアにはたまらない構図なわけですが、よくよく見てみると、いろいろと状況がおかしいです。心なしかこけた頬に無精髭、隣にあるナースコールっぽいボタンとか。



そう、どうやらゴローちゃんは病院に入院している模様。満を持して10年ぶりに復活したのに、主人公が入院中というあまりにシュールな展開。さすが「孤独のグルメ」としかいいようがありません。咳をしてもひとり、入院しても独り。どこまで孤独な男なんでしょうか、井之頭五郎。



必然的にテーマは病院食となるわけですが、メニューはこんな感じになっております。




ゴローVS病院食




一般的に病院食は「味が薄い」とか「量が少ない」とか要するにあんまり良いイメージがないわけですが、ゴローちゃんはといえば・・・





なんでも美味そうに食うなあ



猛然と食っております。どうやら病院食に大満足の模様。さすがです。一人飯マスターはこのぐらいポジティブじゃないと。



さて、病院というだけあって看護婦さんとの会話のシーンがあるのですが、その会話の応酬が「孤独のグルメ」マニアにしか分からないような微妙なツボをくすぐってきており実に素晴らしい。





看護婦が質問攻め



「でも先生言ってましたよ いい体してるって」

この「ゴローちゃんいいカラダ説」を裏付ける話は以前に別のエピソードでも出てきております。それが下のシーン。





アーッ!



こう何度もいいカラダいいカラダ言われてるのですから、よっぽどいいカラダしているのでしょう。まあ旧作品を読んでない人にはものすごくどうでもいい話だと思うのですが。





アームロックの謎がついに・・・



そして、「いい体」している理由として祖父に古武道を習っていたことをカミングアウトするゴローちゃん。カミングアウトってほどでもありませんが、例の「洋食屋のマスターにアームロック事件」はおそらくこの古武道がルーツなのではないかと推測されます。頑張ればハッスルあたり出れるかもしれませんね。



痛そうですね




そんな復活作というより番外編的な位置づけの「孤独のグルメ」特別編ではありますが、やはり名言の宝庫。ここからは素晴らしい特別編の名ゼリフの数々をお楽しみ頂きます。





2度繰り返す



「うん、しみてるしみてる」

病院食のメニューに入っている大根のおでんに対するゴローちゃんのコメント。ご存知の通り、大根にダシがしみているかどうかというのは、おでんにおける最重要事項であり、しみてない大根が入っているものは最早おでんとは言いがたいという一般常識を裏付けるかのようなセリフです。「しみてるしみてる」と2回繰り返しているのもゴローちゃんの思い入れの強さを物語っています。





そこまで言うか



「なんだかんだ食っても しょせん俺たちゃ島国の農耕民族ということか」

ご飯に、魚、ジャガイモの味噌汁という組み合わせに対し、感心したように語るゴローちゃんのセリフ。ジャガイモのみそ汁一つでここまで日本人のルーツに遡る人も稀かと思いますが、さすがです。何がさすがかよくわからんけど。





どんなだ



「この野沢菜マジメな味」

これも付け合せの野沢菜を食べてのコメント。一見すると意味がよく分からないが、そのニュアンスはなんとなく伝わるという、いかにも孤独のグルメらしい井之頭五郎ワールド全開のセリフです。おそらく推測するに、ゴローちゃんの頭に描いている一般的な野沢菜像のイメージどおりの味だったということなのでしょう。別にフザケた味の野沢菜が存在するわけではないのだと思われます。





高僧のようなセリフ



「生きているというのは体にものを入れてくということなんだな」

隣の老人の患者が流動食状にした病院食を必死にすする様を見てゴローちゃんの一言。これも実に深いコメントですね。さりげなく日本人のルーツに遡ってみたと思えば、人間本来の業に関わるレベルにまでも言及する。一人飯を極めるとだんだん悟りが開けてくるのでしょうか。まるで高僧のようです。





シャバて



「こんな朝ご飯、シャバじゃお目にかかれんぞ」

といったかと思えば、読者のツッコミを待たずにすさかず「・・・ってここは刑務所じゃないんだから」とセルフツッコミを炸裂。高僧レベルの発言をしたかと思えば、オヤジギャグレベルのセリフまで一気に落とすゴローちゃん。硬軟使い分けるあたりさすが読者の期待を裏切りません。誰にもできないことを平然とやってのけるゴローちゃん、そこにシビれる憧れる。









「バナナと牛乳をよく噛んだら口の中でバナナジュースになるかな よしひとつデザートにやってみよう・・・」

最後のオチの発言。相変わらずオチてないのですが、それがこの作品の持ち味でもあります。っていうか、バナナと牛乳をよく噛んだらバナナジュースて。しかもそれがデザートて。それって小学生の発想じゃないのか・・・。



というわけで、はじめて読んだ人も(?)、孤独のグルメを般若心経のごとくすり切れるまで読み込んだマニアの方にもきっと楽しめる作品「孤独のグルメ」特別編をご紹介しました。素晴らしかったですね。今のところ確認できませんが、春にはおそらく本作品も収録された新装版がでるらしいので期待です。それを買ってしまうと、J君は「孤独のグルメ」通算5冊目を買うことになるのですが、まあいいか・・・。





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出典) 「孤独のグルメ」 扶桑社/久住昌之/谷口ジロー

参考)  Amazon →  WEBで「孤独のグルメ」を立読み ⇒ 電子貸本Renta!

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