広告業界マンガ『気まぐれコンセプト』で平成を振り返る、勝新パンツ事件、宜保愛子ブーム……

勝新パンツ事件、宜保愛子ブーム……ザ・広告業界マンガ『気まぐれコンセプト』で平成を振り返る(日刊サイゾー2019/4/22掲載)

  


  

元号が「令和」になって5年が経ち、「平成レトロ」なんて言葉も言われるようになりました。おいおい、平成がレトロだったら昭和生まれはどんな扱いなんだよ?レトロ+老害でレト老害?みたいな状況です。しかも、来年はお札までリニューアルされるとかでいろいろと感慨深いです。ちなみに平成に結婚できなかった人は「平成JUMP」とか言うんでしたっけ?ジャ●ーさんもうまいこと考えたもんだ。(違う)

そんな昭和&平成経験者の僕らにとってありがちなのが、昭和と平成にそれぞれ起こったイベントの記憶があやふやになっていることです。バブルとか万博って昭和だっけ? 平成だっけ? みたいな。今回は、そのあたりをスッキリさせましょう。平成を振り返るのに最適なマンガ『気まぐれコンセプト完全版』から、「うわー、あったあった、こんなブーム」みたいな感じのやつをたっぷりとご紹介します。

  


今読むとめちゃくちゃ懐い

  

本作は「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載されている、ホイチョイ・プロダクションズによる4コマ漫画。白クマ広告社という架空の広告代理店を舞台に、時代のトレンドに合わせたネタをシニカルにイジる作風です。今回ご紹介する単行本『気まぐれコンセプト完全版』では1981~2015(昭和56~平成27)年までの35年分が掲載されています。

J君なんかはバブル全盛の頃に本作をリアルタイムで読んでいたわけですが、いかにもギョーカイっぽい雰囲気が漂っているチャラチャラしたマンガっていうイメージがありまして、そのリア充すぎるオーラがあんまり好きではありませんでした。しかし、35年間このチャラいスタイルを貫いた結果、時代ごとのブームを反映した最強のトレンドデータベースとなっていたわけで、今さらながらとんでもなくスゴい作品だったことに気づかされました。

  

■1988年(昭和63年)

  


アサヒ以外のメーカーもドライなビールを出しまくり、そして消えた

  

元号が平成に変わる直前の年、東京ドーム完成、青函トンネルが開通し、ビール業界では『スーパードライ』が大ブームという時代でした。

そんな中、J君の注目イベントは……

  


ドラクエやりた過ぎて出社しない症候群

  

『ドラクエIII』の発売日、ビックカメラ池袋東口店に行列1万人超え。

・ヤンキーによるドラクエ狩りが発生。

・浅野ゆう子と浅野温子の「W浅野」によるトレンディドラマ『抱きしめたい!』(フジテレビ系)放映開始。

  


ドーピングとかステロイドって言葉が流行りました

  

・ソウル五輪でベン・ジョンソンが100m世界新を出すも、ドーピングがバレて金メダル剥奪。

「W浅野」って言葉が、とにかく脳裏に焼き付いてます。ちなみに網浜直子と飯島直子による「W-NAO」っていうユニットもあったんですけど、これはたぶん黒歴史でしょうね。

  

■1989年(昭和64年→平成元年)

  


何でも自粛ムード

  

昭和天皇の崩御による自粛ブーム、『魔女の宅急便』が映画公開、ベルリンの壁崩壊、消費税3%導入などの時代でした。

この年の注目イベントは……

・泣ける話「一杯のかけそば」が社会現象になるも、作者の詐欺疑惑で、なかったことに。

・太陽銀行、神戸銀行、三井銀行が全部くっついて「太陽神戸三井銀行」が誕生し、その後「さくら銀行」に。

・セクシャルハラスメント略して「セクハラ」が流行語大賞。

  


メジャーな銀行が合併しまくってました

  

「さくら銀行」は現「三井住友銀行」ですね。当時は銀行合併&改称ブームで、さまざまな新銀行が誕生しました。あと「アメカジ」の後に「渋カジ」ブームが来たのも、この頃だそうです。J君はファッションにまったく興味がなかったので、渋いオッサンの服装のことだと思ってました。

  

■1990年(平成2年)

世の中は、スーパーファミコン発売、『ちびまる子ちゃん』アニメ化、ティラミスブームの時代でした。

この年の注目イベントは……

  


勝新のパンツ麻薬事件がいろいろネタにされる

  

・勝新太郎がハワイ入国時にパンツの中に隠していたマリファナとコカインが見つかり、「もうパンツははかない」とコメント。

・歴代最強にエロいダンス「ランバダ」ブーム、石井明美がカバー。

・大仁田厚が「ノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ」で話題に。

  


電流爆破ってよく死人がでなかったよな・・・

  

当時はティラミスがはやりすぎて、なんでもかんでもティラミス味になっていたのを覚えています。ロッテのティラミスチョコレートとか、板チョコの間にチーズっぽい何かがねじ込まれている無理やりさが素敵でした。また、ティファニーのオープンハートがバカ売れしたりとか、曖昧・いい加減なことを「ファジー」とオシャレに言い換えるブームも、この時代だそうです。

  

■1991年(平成3年)

SMAPがCDデビュー、99歳の双子姉妹・きんさんぎんさんブーム、ジュリアナ東京オープン、湾岸戦争開始の時代でした。

  


荒木師匠とかいたなあ

  

この年の注目イベントは……

『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)で武田鉄矢の「僕は死にましぇえん」が伝説の名セリフに。主題歌、CHAGE&ASKAの「SAY YES」も大ヒット。

『東京ラブストーリー』(同)では、鈴木保奈美の「ねえ、セックスしよ」が伝説の名セリフに。

  


MMRにも登場した宜保さん

  

・霊能力者・宜保愛子ブーム。この頃は超能力とか霊能力がめっちゃ信じられてた。

  


日本中の男子が驚愕したヘアヌード写真集

  

・トップアイドル、宮沢りえのヌード写真集「サンタフェ」(朝日出版社)が155万部のベストセラーに。

・B21ヒロミが、大量のロケット花火を背負って宇宙へ向けて発射。やけどを負って入院。

「月9」ドラマというワードに、ものすごいパワーがあったのがこの時代です。そして、宮沢りえのヌード写真がいきなり発表された時は、おそらく日本中の男子がザワつくほどの衝撃でした。あと、フリッパーズ・ギターが電撃解散、解散理由が渡辺満里奈の取り合いのためとウワサされた……というのもこの年だそうです。満里奈の魔性っぷり、スゲーっすね。

  

■1992年(平成4年)

世の中は、バブル崩壊本格化、尾崎豊死去、バルセロナ五輪で岩崎恭子が金メダル獲得の時代でした。

この年のお気に入りイベントは……

  


この頃のもつ鍋は不味かった・・・

  

・不況によるもつ鍋ブーム。

  


アポ無しという迷惑ワードが流行りました

  

『進め!電波少年』(日本テレビ系)が放送開始。松村邦洋が渋谷センター街のチーマーにボコられる。

・貴花田と宮沢りえが婚約発表、2カ月後に解消。

そうそうこの頃なぜか、もつ鍋がはやってたんですよ。しかも、今のおいしいもつ鍋じゃなくって、ゴムみたいにかみ切れない謎の物体が入ってる店が多くて、なんでこんなまずいもんがはやってるんだろう、これが不況ってやつなのか、地獄だな……って思ったもんです。

  

■1993年(平成5年)

小和田雅子さんが皇太子妃内定、ナタデココブーム、屋内スキー場ザウスがオープン、Jリーグ開幕とドーハの悲劇の時代でした。

  


デニーズでメニューに採用されたのがブームのきっかけらしい

  

この年の注目イベントは……

・『悪魔のKISS』(フジテレビ系)で常盤貴子がおっぱいを丸出しして揉まれるシーンが伝説に。

・女子高生が下着を売るブルセラショップブーム。

・Tバックブームの先駆けとなった飯島愛が中学生男子の人気No.1タレントに。

  


新加勢大周→坂本一生(謎の黒タンクトップ)

  

・加勢大周が事務所独立でもめ、新加勢大周こと坂本一生が登場。

  


T-BOLANとBAADも忘れずに!

  

そのほかにも、『料理の鉄人』(同)放映開始とか、J-POPはZARDWANDSなどのビーイング系が全盛とか、『ポケベルが鳴らなくて』(日本テレビ系)で不倫OL役を演じた裕木奈江への大バッシングなどがありました。本当かわいそうだった……。

  

■1994年(平成6年)

全国的な水不足、ジュリアナの後継ディスコ・ヴェルファーレがオープン、気象予報士の登場、携帯電話が本格普及の時代でした。

  


正直ジュリアナとの違いがよく分からんかった

  

この年の注目イベントは……

・女子高生の間でポケベル暗号ブーム「14106(愛してる)」。

『家なき子』(日本テレビ系)で安達祐実の「同情するならカネをくれ」が伝説のセリフに。

・「日清焼そばU.F.O.」でマイケル富岡がヤキソバンになる。

  


チューチュートレインではないグレイシートレイン

  

そのほか、グレイシー柔術ブーム、Dr.コパの風水ブームなどがありました。当時は何かと失敗するたびに「それは風水が悪いせいだ」って言われる風潮だったのを思い出しました。知らんがな。

  

■1995年(平成7年)

阪神淡路大地震、地下鉄サリン事件、PHSサービス開始、発泡酒発売開始、野茂ドジャース入りの時代でした。

この年の注目イベントは……

  


フロッピーディスク、若者は知らないよなあ

  

Windows 95発売、発売日は秋葉原に1万人の行列。

遠峯ありさが華原朋美に改名、小室ファミリー入り。

・ファッションブランドDKNYブーム。

  


ダナキャランニューヨークの略ってだいぶ後に知った

  

などです。阪神淡路大地震、地下鉄サリン事件という出来事があっただけでも平成最悪の年だったという感じですが……明るい話題でいうと、ミスチルやダウンタウンが大ブームになったのもこの頃です。DKNYの帽子をかぶっている人がニューヨーク市警(NYPD)と間違えられるっていうのが、作中でネタにされてました。

  

■1996年(平成8年)

アトランタ五輪、銀座にスターバックス日本1号店、スーパールーズソックスのコギャルブーム、『電波少年』(日本テレビ系)の企画で猿岩石がユーラシア大陸横断ヒッチハイクで話題の時代でした。

この年の注目イベントは……

・石田純一の「不倫は文化」発言でワイドショー界の伝説に。

  


結局へびつかい座ってまだあるの?

  

・星座占いに13番目の星座、へびつかい座が登場。

ミニスカポリスブーム。初代ミニスカポリスにさとう珠緒。

  


いや、めちゃくちゃ人気あったよね?

  

そのほかにもK-1グランプリブームや小室ファミリー(安室奈美恵・華原朋美・globe・dos・trf)がオリコン上位を独占、木村拓哉主演『ロングバケーション』(フジテレビ系)でのチョベリバ発言などがありました。

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平成10年ぐらいまでご紹介しようと思いましたが、文字数がものすごいことになりそうだったので、このぐらいにしておきますが、こんな感じでトレンドを4コマ漫画形式でネタにしたものが35年分も収録されているんです。とんでもない情報量ですよね! チャラいとか言ってすんませんでした。

皆さんも、昭和・平成を振り返るのに最高の『気まぐれコンセプト完全版』を読んでみてはいかがでしょうか?昭和・平成生まれのあなたならきっとチョベリグな体験ができると思いますよ。

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『気まぐれコンセプト完全版』 ホイチョイ・プロダクションズ/小学館

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