テニスのOB様・・・「テニスボーイ」レビュー 前編
嘘みたいだろ。テニス漫画なんだぜ、それで。
こんにちはJ君です。多くのマンガファンを魅了した格闘スポーツマンガ(?)「テニスの王子様」 が先日完結しました。テニスマンガに聖闘士星矢の要素をミックスするという実に画期的なコンセプトのテニスマンガでしたね。最後の方はテニスマンガなのにオーラがどうのこうの言っていて心底驚きました。
ま、そんなギャグマンガ(?)史上に残る名作であるテニプリのレビューはこことかこことかこことかを参照いただくとしまして、便乗商法が大得意の当サイトとしましては当然テニプリ完結に便乗した企画レビューを行います。その名も「テニスのOB様」。要するにテニスの王子様の先輩にあたる過去のヤバ系テニスマンガをご紹介しようという安っぽい企画です。
というわけで本日ご紹介するマンガは「テニスボーイ」。原作が寺島優先生、作画が小谷憲一先生というコンビの作品で、少年ジャンプで1970年後半~1980年代前半に連載されていたマンガです。ジャンプで連載されていたあたりはまさに「テニスのOB様」と呼ぶにふさわしい存在です。
通常、ブッ飛び系スポーツマンガでも最初は比較的必殺技は抑え目で、とりあえずリアル路線を行くものです。あのテニプリですら確か最初はリアル路線でした。出てくる必殺技がツイストサーブとか、かわいいぐらいにリアル路線でした。最後は「天衣無縫の極み」とかなんとかいってカラダをビカビカ光らせてましたけど。ピカチュウか。
さて、本日ご紹介する「テニスボーイ」はその地味目なマンガタイトルとは裏腹に、テニプリとも十分に渡り合えるほどのクレイジーなテニスマンガです。ストーリーをご紹介しましょう。
いかにも野生児
主人公は、野生児・飛鷹翔。天性の運動神経を生かして軽井沢の別荘族相手に賭けテニスをする日々。もちろん自己流でムチャクチャなのですが、運動神経がハンパではなく、とにかく負けなしでした。
そんな飛鷹が、ある日スカウトマンにその才能を見初められ、プロテニスプレイヤーを目指すことになります。全寮制のプロテニスプレイヤー養成機関カリフォルニア学園に入学し、本格的なテニス特訓を開始する・・・。とまあ野生児才能開花系のスポーツマンガというのはわりとよくある設定なのですが、入学したカリフォルニア学園というのがあらゆる意味で狂っていました。主人公、飛鷹が入学早々にいきなりやらされた練習がこれ。
命懸けの特訓
敵がスケボーに乗って鋼鉄製のフリスビーを投げながら襲ってくるので、ラケットで鋼鉄のフリスビーを打ち返す練習・・・。
テニス関係あるのか?
いきなり命懸け。しかもラケットを使ってること以外はテニスとの関連性が不明です。
それをなんとかクリアした飛鷹を待ちかまえる次の試練はなんと、お互いの足を鎖に繋いだ状態でテニスをする「ライオンズマッチ」・・・要するにプロレスなんかでいうところのチェーンデスマッチです。
とてもテニスをやる雰囲気じゃない
これもテニスの練習として取り入れる意味が全く分かりませんが、マンガ的なインパクトは抜群です。
ただの罰ゲームじゃん
その他にもフットワークを鍛えるために剣山を素早く飛び越える練習とか・・・なんか男塾みたいな感じですが、これらが全てテニスの練習なのです。
そんなサディスティックな練習の数々で実力を付けた飛鷹は遂にダブルスの試合をすることになるのですが、練習がアレなので、対戦相手も当然アレでした。
キャプテン翼を彷彿とさせます
でた!ツイン・ビーム!!
こ、これは・・・テニス版キャプテン翼か?
まさにテニス版ツインシュートといえる技です。むしろ「テニスボーイ」の方がキャプテン翼より連載時期が古いので元祖と言えるかもしれません。いずれにしろテニスの技としては完全に想定外なのですが・・・ジャンプのマンガとして考えるとごく自然な光景に見えてしまいますね。
さあ、この時点でこのマンガの方向性はお分かりですね。そう、「テニスボーイ」におけるテニスとは、狂った特訓、狂ったライバル、そして・・・必殺技の応酬なのです。
そんな主人公のライバル達も実にいい感じに狂っています。
テニスの練習になぜかアメフトを取り入れる女子No.1選手、高杉梨絵
なぜアメフト?
彼女の必殺技はからだの上半身と下半身をありえない方向にねじって繰り出す必殺スマッシュ、女王蜂ダイナマイトです。
有り得ない腰の回転
1試合に2回以上使うと選手生命が奪われてしまうという危険な必殺技です。でもこれも掲載紙がジャンプだと思うとわりと普通に思えてしまいます。
主人公、飛鷹翔のダブルスパートナー、岡崎先輩も当然必殺技をもっています。その名も・・・
ただのジャンピングスマッシュのような・・・
ダンクシュートスマッシュ!
単なるテニスのスマッシュをわざわざバスケにたとえる理由はよく分かりませんが、なんとなくカッコいいですね。これがのちのスラムダンクである(嘘)。
テニスウェアに革ジャン・・・
テニスの試合にバイクで乗り込んでくる伊達ワルなテニスプレイヤー黒河内。
テニスコートにバイクで入場・・・さすがにこれははじめてみる光景です。ていうか、その前に誰か止めろ。
そして、カリフォルニア学園男子No.1、伊集院剣。やはりNo1はひと味違います。
テニスと関係あるのか?
なぜか試合前に荒馬を乗りこなす練習をしていたり
もはや人間を超えたか・・・
犬より速くボールを捕らえる練習などをしています。
・・・もはや人間相手では練習にならないのか、動物とばかり練習する超人のような男です。
その男の必殺技がこれ。ネットの下にしゃがみ込んで一度姿を消したと思ったら、すごい勢いでボールを下からこすりあげる・・・
ボールが直撃しまくり
ウルトラループスイング。
まさに殺人技・・・まるで車田正美先生のマンガを見ているようです。テニスマンガなのに。
そんな無茶なライバル達に対抗する主人公、飛鷹翔の必殺技は、なんと千手観音のように腕を振り回し、どんなコースに来たボールでも返してしまうという技。その名も・・・
あんまりカッコ良くないような・・・
ピーコックダイヤモンド。
すごい!テニスをやっていて後ろに孔雀が見えるなんて・・・ビジュアル的に斬新過ぎる!さらにこの技、一体どういう原理になっているのか一切解説がないあたりもまさに最強です。
・・・さて、この前編では「テニスボーイ」作品のほんのさわりをご紹介しましたが、後編では世界大会編をご紹介します。ジャンプのマンガで世界大会・・・ということは・・・皆さん、もうお分かりですね?
後編では世界各国から選りすぐりの狂ったテニスプレイヤーが狂った必殺技を引っさげ登場いたします。後半のラケットを使ったしばき合いのような展開に乞うご期待!
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出典) 「テニスボーイ」 集英社/寺島優/小谷憲一
参考) Amazon → ■