「ばりごく麺」ラーメンは湯切りが命!どんな不味いラーメンでも美味くなる、能條純一先生のハードボイルドラーメンマンガ
「最後の一滴まで変わらぬまずさが痛快だ!!名付けて痛快ラーメン」
皆さん、ラーメン食べてますか?J君はぼちぼち食べてます。さすがにもう若くはないので、食べ過ぎると血圧とかがアレですし体型もどんどんバーソロミュー・くまみたいになってます。だから昔ほどはないですけどやっぱりやめられないですよね。ラーメン。
ところで、ラーメンでいちばん大事なものって分かりますでしょうか?麺?スープ?まさかのチャーシュー!?いえいえ、違います。ラーメンの命、それは…「湯切り」なんです。本日ご紹介するラーメンマンガ「ばりごく麺」にそう書いてありましたので、たぶん間違いないです。いやいや、そんなバカな…!納得できないという人、まずはこのレビューを見て判断してください。
「ばりごく麺」は能條純一先生の作品で、2008年から2009年の間、ビジネスジャンプに掲載されていました。能條純一先生といえば、クールでハードボイルドな主人公が活躍する作品のイメージがありますね。代表作としては「哭きの竜」「月下の棋士」などですが、かつて当サイトではキーボードを打つ構えがクールすぎるハッカーマンガ「無力の王」をご紹介したことがあります。
能條マンガでは異色の主人公
「ばりごく麺」の主人公は、この掟ポルシェっぽいビジュアルの榊原麺太(さかきばらめんた)と、その弟子となる、脱サラしてラーメン屋を志す潮崎朗馬(しおざきろうま)。この2人がゲロマズなラーメン屋「来来軒」で出会うところからはじまります。
まずすぎる店・来来軒
全然痛快じゃないだろ
「まずかったーっ!」
「最後の一滴まで変わらぬまずさが痛快だ!!名付けて痛快ラーメン」
メチャクチャな言われよう!そしてあまりに失敬すぎる発言です。「痛快ラーメン」って勝手に名付けてますが、少なくともお店の大将にとっては全然痛快じゃない。
作ってるのお前じゃないのかよ
ちなみにこの来来軒、他の客にもまずいって言われてるので本当にまずいんだと思われます。こんなにまずいって言われるラーメン屋は他には「彦龍」ぐらいしか思い浮かびません。
さて、サラリーマンを辞めた朗馬が、このまずいラーメン屋「来来軒」を立て直すべく、謎のラーメン達人・榊原麺太の元で修行しながら成長していくというのがメインのストーリーなのですが、なぜかやたらとフィーチャーされるのが「湯切り」のシーンです。まずはラーメンの達人、榊原麺太の必殺の湯切りシーンをご覧ください。
オーラのような湯気
カッコいいけど腰痛めそう
カッコ良すぎ!
こんなクールな湯切りシーンある?これならたしかにラーメンの命は「湯切り」というのも分からないでもありません。
そういうもんなの?
実は、湯切りでラーメンが美味くなるというのはちゃんと根拠がありまして、湯切りによって麺の表面に見えない無数の傷がつけられることにより、麺がスープを纏って美味さが一体化するのです。その名も「龍鱗麺(りゅうりんめん)」。伝説の麺・龍鱗麺を作り出せる者こそがラーメンの達人であるというわけなのですね。
湯切り網をテボといいます
というわけで、一日数千回のテボ振りによってラーメンド素人の朗馬もこんなにカッチョいい湯切りができるようになり、究極のラーメン「大痛快ラーメン」が作れるようになったのでした。
顔をキメてるだけという噂も
さらに…どういうわけか、まずいラーメンの元凶だった来来軒のおかみさんまで湯切りが達人レベルに!
重量感のあるおかみさんの湯切り
ちなみに、途中で横浜中華街の天才・李玄武なる男が榊原麺太に勝負を挑んてきます。
キマってるようでキマってないセリフ
「ラーメンで殺します!」
という名言とともに、究極のとんこつラーメンバトルが繰り広げられるのですが…
湯切りっていうレベルじゃない
なんと、湯切り網から麺を天高く放り投げ、空中で麺が絡み合ったところでキャッチ!
龍鱗麺を超える湯切りの必殺技「双龍噛身麺(そうりゅうかしんめん)」で見事、麺太がとんこつラーメン対決に勝利します。なんで中華街の天才ととんこつラーメンで対決するんだよ…ってツッコミたくなりますが、とにかく湯切りが命だということはおわかりいただけたかと思います。
ところで、本作では昔エッチなマンガを書いていた時代の名残か、脈絡がないぐらいにサービスショットを繰り出してくるお色気担当ヒロインが登場します。
若いのに人妻のようなエロス
来来軒のホール担当、叶(かなえ)ちゃんです。
…皆さんのマニアックな嗜好にお応えできましたでしょうか?
というわけで、能條純一先生の世界観で描かれたハードボイルドラーメンマンガ「ばりごく麺」をご紹介してみました。自分の作ったラーメンがイマイチだなと思う方は、湯切りのやり方を見直してみてはいかがでしょうか?J君はカップ焼きそばの湯切りで麺をぶちまけないようにするところから始めたいと思います。
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出典・引用)「ばりごく麺」 能條純一/集英社