えっ!!冷蔵庫の霜が極上デザートに!?・・・ゲテ美食マンガ 「味覚一平」
なっなんと!らい魚のハラの中からどじょうが!!
こんにちはJ君です。前回のレビューは「食欲の秋」ということでボクシンググルメマンガ「チャンプのディナー」をご紹介しました。主人公自ら牛肉と一緒に業火の中で焼かれる自殺寸前のローストビーフや、寿司の外側にさらにトロを巻くという超絶カロリー高そうな寿司を見て、胃もたれを通り越して胃潰瘍になった方もいらっしゃったかもしれません(いないか)。
今回、食欲の秋第二弾としてご紹介するグルメマンガ「味覚一平」は、前回の反省を踏まえて非常にナチュラル志向かつオーガニックでロハスなメニューがたくさん出てくるマンガとなっていますので安心してお楽しみいただけるかと思います。ただ、ちょっとオーガニックも度が過ぎて調味料を一切使えない料理バトルとか、食材が一切使えないという極限過ぎる条件での料理バトルが登場します。いったいどんなメニューが出てくるんでしょうか・・・その全貌をご覧いただきましょう。
早速ご紹介しましょう。「味覚一平」は天才料理人である味覚公平を父に持つ少年、味覚一平が活躍するストーリーです。第一話目の舞台は商店街「なめくじ横丁」。なめくじ横丁の飲食店はファミリーレストラン「スカイラウンジ」が進出するため大ピンチに陥っています。「チャンプのディナー」でも大型チェーン店「ロイヤルらーく」が嫌がらせしてきましたが、またしても悪徳チェーン店の嫌がらせですよ。おのれチェーン店!!チェーン店はもうちょっと自重するべきですよね。ちなみにJ君はバーミヤンが結構好きですけどあまり関係ないですね。
息子まで流れ板スタイル
そんななめくじ横丁に伝統的な流れ板スタイルの親子が職を求めて現れます。一杯のかけそばを思わせるようなド貧乏な雰囲気の親子ですが、彼らが味覚公平と味覚一平です。そして、この親子がなめくじ横丁の救世主となるのでした。味覚公平がスカイラウンジとの料理勝負に勝てばスカイラウンジは手を引くことになったのです。
邪悪なオーラが出てます
そんなスカイラウンジ側が送り込んできたのは関東料理会理事・蛇尾。通称「店つぶしのマムシ」と呼ばれる悪党です。その蛇尾が勝負に指定してきたのがなんと・・・レモン勝負!
あのレモン勝負です!
「いくつもの巨大な水槽のひとつにたった一滴のレモンのしずくをたらし、その水槽を当てるあのレモン勝負だ!」
あのって・・・そんな勝負知らんがな。それにしても初っぱなからして全然料理関係ないですね。むしろソムリエマンガ的展開。「神の雫」とかに出てきそうな勝負です。こんな勝負で商店街の命運賭けちゃっていいんでしょうか・・・。
蛇尾汚い!
いよいよ勝負の前夜ですが、なんと蛇尾の刺客によって父親の味覚公平が車にはねられて入院してしまいます。汚いなさすが蛇尾きたない。
ここで公平の代役として息子の一平が登場します。天才料理人味覚公平の息子である一平は百万人に一人いるかいないかといわれる舌の持ち主でした。レモン勝負で見事水槽を当ててしまいます。対する蛇尾もインチキではじめから答えを知っていたので当然正解です。
調味料不可の豆腐勝負
両者引き分けということで、間髪入れずに勝負第二弾が開始されます。今度は豆腐勝負!しかも薬味や調味料は一切使ってはいけないというルール・・・なにそれ厳しすぎ。どう考えても豆腐そのまま食うしかない気がするんですけど。
そこで蛇尾は豆腐をすりつぶしてヨーグルト状にしたものを冷やして固めてアイスにしてきました。なるほど、この制約の中ではかなり頑張ってますね。一平はというと、まさかの驚愕メニューが登場です。
用意したのは冷やっこを冷蔵庫でキリキリに冷やした凍り豆腐、レンジでチンしたあとコンロであぶった焼き豆腐。どちらも味がついていません。そして焼き豆腐の上に凍った豆腐を重ねます。
うまくなさそう・・・
「凍った豆腐がジュッ!ととけてなんともうまそうだろう!!」
いや別に美味そうじゃないよ・・・。しかし審査員のリアクションは違いました。
「つめたくてあつい なんとも不思議な味だっ」「まるで調味料を使っているみたいだ」
なんと大好評!その秘密はこうでした。
決め手は話術と生ツバ!
「熱い焼き豆腐の上でジュッととける凍った豆腐の音!!そしてうまい最高だと繰り返す一平君の話術!!審査員の皆さんは思わず生ツバが出たでしょう、この生ツバこそこの料理の秘密のかくし味だったのです!!」
なんと、うまさの決め手は話術と生ツバ!なんという斬新かつ貧乏臭い料理でしょうか・・・全然食べたいという気が起こりません!!
そんなとんでもない話が第一話だったのですが、第二話もイカしています。
船上パーティで料理対決をすることになるのですが、なにがスゴいかって、主人公一平のキャラ設定が全然変わっているところです。
いきなりお坊ちゃん風
「ワラシがピゼーさんに挑戦しまーすっ!!」
ワラシて・・・喋り方からカッコから全然違っています。まあこれぐらいだったらもしかしたら何かの間違い、誤植かもしれません。
郷ひろみかよ
「ダディーの悪口は許せないのら!!」
・・・完全に別キャラです。ダディーとか言ってて完全にセレブ気取り。あの貧乏親子に一体何があったんでしょうか。
それはともかく今回の対決相手はフランス料理全米チャンピオン、シャルル・ビゼー。フランス料理の全米チャンピオンていうのもなんとなくアレですが、なんとなくスゴイことは伝わってきますね。対決のルールは6つある冷蔵庫のなかから1つを選び、中の食材を使って料理を作ること。ビゼーが選んだ魚と海老などの魚介類が入っている冷蔵庫でした。ビゼーは定石通りブイヤベースを作ります。そして我らが一平の選んだ冷蔵庫は・・・
まさかの食材ゼロ
食材は一切なし!空のボウル2個とタオルが三枚だけが入っている冷蔵庫。
・・・無理ゲー過ぎるだろ。
絶対に勝ち目はないと思われる一平の冷蔵庫。食材ゼロですよ?料理勝負として前代未聞過ぎ。このままだとタオルを食わされるレベルです。しかし・・・一平は冷蔵庫の中にかすかに残るメロンの甘い香りに気づきました。
メロン専用て
「これはメロン専用の冷蔵庫だったんだ!!」
一平は早速、冷蔵庫を乾燥室に押し込んであたため、メロンの香りを冷蔵庫に充満させます。
そこへ濡れたタオルと水を入れたボウルを入れて急速冷凍。
まさか・・・これを?
すると・・・冷蔵庫につるしたタオル一面にビッシリと霜がつきました。
まさか・・・?そのまさかです!!
まさに匠の技
冷蔵庫の霜(メロン風味)を削って・・・ボールで作った氷の容器に盛り付けると・・・なんということでしょう。まるでメロン!究極の霜デザートの完成です!!霞(かすみ)を食って生きるという言葉がありますが、まさか霜を食べるとは・・・仙人超えの瞬間といっても過言ではありません。
で、この流れは・・・もうお分かりですね?無の状態から形あるものを生み出した一平の勝利です(味は関係なし)。
さて、いい読むのが加減しんどくなって来たと思いますがラストファイトの第三話目もご紹介しておきましょう。まるで少林寺のごとく全国めぐりの荒行や地獄の料理修行を行う料理寺「和風料理修行道場」で凄腕の料理僧と闘うことになった一平。
いったい何があったんだ・・・
ちなみに一平はさらにゴージャスなお坊ちゃまキャラになっています。父、公平も以前の板前スタイルからこのとおり別人に・・・
まあ、それはともかく対戦相手のお坊さんがまたスゴい。
生米に気を込めます
汗くさそう・・・
なんと生米を手で握り、気を入れるとご飯が炊けてしまうという・・・電子ジャーいらずのお坊さんです。
・・・手でご飯が炊けるのは確かにスゴいけど、手汗もスゴそうなので食べるのはノーサンキューな感じですね。
斬新な釣り
超人ですね
さらに釣りをさせたら水上から水中に向かって気を放つだけで魚がとれてしまいます。釣竿いらずです。ということで、こんなスーパー料理僧と一平は、釣った魚をそのまま調味料なしで食べさせるという料理勝負を行うことになったのですが、またしても調味料なし。こんなに食材を調理することを頑なに拒むグルメマンガも珍しいです。
さて、僧侶の方は例のかめはめ波みたいな手段でナマズを取り、ナマズの刺身を作ります。対する一平が釣ったのは・・・なんとライ魚。煮ても焼いても喰えないといわれているマズーな魚です。これはまたしでも大ピンチ。
悩んだ挙句、一平が作ったのは、ライ魚の姿焼き。はこべらやたんぽぽなどの野草をいれ味付けをしたものの、淡白すぎてイマイチ・・・これには観衆もガッカリ気味。しかし・・・この料理にはある秘策が施されていたのです。
グロすぎだろ・・・
「なっなんと!らい魚のハラの中からどじょうが!!」
なんと、ライ魚がまる飲みしたドジョウを内臓から取り出してつめものとして利用していたのでした!!
ドジョウのハラワタと野草の苦味が絶妙のコントラストで最高の美味・・・らしいのですが、ちょっとグロすぎるんですが。グルメマンガとしてビジュアル的に一線を超えている気がします。
勝敗は・・・もう言わなくても分かりますよね?あえて言いませんけど。
というわけで、わざとなのか偶然なのか、作品を通して一切調味料等の味付けが出てこないという「グロハス」なグルメマンガ「味覚一平」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?オーガニックを追求しすぎると結果的にグロになってしまうという誰もが気づかなかった奇跡がここにあります。
もし皆さんも金無し、調味料なし、食材なしの究極貧乏状態になった時にはこの作品のレシピを思い出してみてください。もしかしたら冷蔵庫の霜に砂糖でもかけたら結構イケちゃうかもしれません。人間何事も諦めちゃいけませんね。
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