細かすぎて伝わらない!?グルメ三国志「食の軍師」

細かすぎて伝わらない!?グルメ三国志「食の軍師」











慌てるな、これは孔明の罠だ!(焼肉的な意味で)

こんにちはJ君です。「花のズボラ飯」はすごいですね。マスコミで取り上げられまくってムチャクチャ売れてる・・・を通り越して売り切れ状態が続いてます。この間の王様のブランチのズボラ飯特集の時は、掲載誌の「エレガンス・イブ」が紹介されて出演者が全員キョトン顔してました。



そんな「花のズボラ飯」を当サイトで取り上げた後、ズボラ飯をレビューしておいて「食の軍師」をレビューしないなんてモグリも同然!J君敗れたり!みたいなご意見を何件か頂戴しましたので、ついカッとなって今回は「食の軍師」をレビューします。ちなみに何に敗れたのかはいまだによく分かりません。


「食の軍師」は泉昌之(原作:久住昌之、画:泉晴紀)先生による作品。掲載誌は「食漫」という掲載マンガが全部B級グルメ物という驚異的なコンセプトのコミック誌だったのですが、惜しまれつつもあえなく休刊。このままコミックヨシモト並の黒歴史になってしまうのか・・・?という状態なのですが、それはともかく、その中でも人気のあった●●の軍師シリーズが一冊の単行本となったのです。



過去に当サイトでは泉昌之先生の「芸能グルメストーカー」「天食」をご紹介していますが、いずれも食に関する変態的なまでのこだわりを描いた作品でした。今回の「食の軍師」ももちろんその延長線上にあり、何か食うたびに三国志になぞらえるという、過去最高レベルのウザさが演出されています。そんなウザ面白さと段取りに徹底的こだわるダンドリズムこそが泉昌之作品の醍醐味であり、好き嫌いがハッキリ分かれるところでもあります。なにしろ世間に受け入れられた「孤独のグルメ」や「花のズボラ飯」とはクドさのレベルが全然違いますから。



今回も「かっこいいスキヤキ」以降、泉昌之作品ではおなじみのトレンチコートの男「本郷」が主人公です。何故か今回はやたらに三国志フェチな設定でグルメを語る様はさながら蜀の軍師・諸葛亮孔明(諸葛孔明)を気取っています。つまり本作品のタイトルは「蜀」と「食」をかけているのですね(たぶん)。



さっそく作品をご紹介していきましょう。一話目を飾る「おでんの軍師」からしていきなりテンションが異様です。

舞台は本郷行きつけのおでん屋台。本郷の前に突如としてあらわれたパーカーの男が颯爽とおでんを注文します。






ライバル パーカー男の注文



「まず、大根とコンニャクとごぼう天ください」






そ、そうなの?



「こやつ・・・デキル!!」

もうね、他の客がおでんを注文しただけでこの騒ぎですよ。大根、コンニャク、ごぼう天・・・別にいたって普通の注文だと思うんですけど。J君でも普通に頼むレベルです。しかし、どうもそうではないようです。






知らなかった・・・



おでんは注文の順番にそのおでん者の知力・能力・経験が現れると言われる・・・






メンドクサイですね



「敵と同じもの頼んじゃおでん軍師の男がすたるぜ」

・・・ってことらしいです。この時点でパーカーの男は本郷に一方的に敵認定されているわけですね。

別におでんぐらい食べたいタネを好きに頼めばいいと思うんですが、他人が頼んだものと同じものを頼んじゃいけないルールとか、おでん軍師・・・かなり面倒くさいですね。友達に持ちたくないです。大根頼んだだけで恨まれそうだし。で、そんなおでん軍師が敵陣(パーカー男)に対して繰り出した陣形がこれです。



「スイマセン ハンペンと玉子とちくわぶ下さい。」






そうきましたか



その名も・・・白三角の陣

なるほど丸・三角・四角・・・と敵と同じ形の陣形で揃えてきましたか。・・・今までJ君はおでんを食べながら陣形を考えたことなどありませんでしたが、ここまで大マジメだとおでんの兵法も捨てたもんじゃない気がしてきました。






白目むいてるよ



「大根がおでんの試金石なら・・・玉子はおでんの金塊だ!!」

パーカーの男の頼んだ大根に対し、対抗意識むき出しで玉子を食する本郷。確かにおでんの玉子は美味いですが・・・それにしてもものすごい自己満足っぷりです。さっきから一体何のために戦ってるんでしょうか、この男は。





続いて、パーカーの男の第二陣



「牛スジとシラタキとバクダン下さい」

うーん。素人的にはこれもごく普通の注文に見えるのですが・・・






なにそのネーミング



「こ、この陣形は・・・牛の滝登り爆弾」






伝説でしたか・・・



「伝説の陣形」






翼の折れたエンジェルですか



「そのタネをとられちゃあこちらは翼をもがれたも同然ではないか!!」

翼をもがれ・・・そ、そこまで!?全然普通のおでんの注文に見えますけど・・・実は伝説の陣形とは。ていうか、なんの伝説だよ・・・。もちろんここまで来たらおでん軍師としては対抗せざるを得ませんよね。本郷が繰り出したのはタコ、イカ巻き、昆布・・・






海鮮ネタで統一



「海底軟体十ハ本足陣で、どうだ!!」

どうだと言われても・・・無理しないで食いたいもの食べなよ。と言いたくなりますね。

いいじゃないか人の真似して牛スジ頼んだって。

・・・こうやっておでん軍師の夜は更けていくのでした。






永遠のライバル力石



ちなみに、パーカーの男「力石」はその後も、ことごとく本郷の行く店に(偶然)現れては、本郷よりも粋なグルメっぷりを見せるため、その都度、本郷の敵意に火をつける事になります。





「とんかつの軍師」の話は、J君が個人的にグッと来たエピソードでした。






美味そう!



この話でも例によって本郷が、とんかつ定食を三国志における計略になぞらえて食べ進めます。

それにしても、こんな人と一緒に飯食に行ったらさぞかしウザいんだろうな・・・。カツをソースにつけただけで「フフフ・・・孔明の罠にハマリおって・・・」とか言われるんでしょうか。そんな恐るべきとんかつ軍師の本郷が最初に手をつけたのは、







段取りが細かい!



二番目に小さいカツ片を塩レモンで頂きます。

とんかつを塩で食べる・・・いかにも通っぽいですよね。個人的にはとんかつを塩で食べさせる所って、かなりレベルが高い店だと思うんですよね。ソースでごまかす必要がない旨さというか。あと、二番目に小さいカツ片を選ぶところがまたこだわりを感じます。こだわりすぎて胃に穴が開いちゃうんじゃないかってぐらい段取りが細かいですね。




両端をどのようにして処理するか・・・



「次に、一番小さい国をおとし入れるわけだが」

続いてとんかつにおける鬼門。肉の比率の少ないトンカツの両端部分の処理、これが実に画期的です。






ひねり無しだな・・・



「ウスタジャブジャブカラシベッタリの計でジャンクに攻め落とす!」

そのまんますぎる計略のネーミングセンス・・・なんとかならないのでしょうか。しかし、さらにここからがすごいです。






ヅケ・・・そういうのもあるのか!



「反対の端の一片にとんかつソースをたっぷりとたらして食事後半まで・・・寝かす!!」

「マグロのヅケよろしく衣にソースをしみこませるのだ!!」


ソースをかけて後半までヅケにして寝かしておくという発想。これはさすがに思ってもみませんでした。

とんかつもヅケになるんですね・・・さすが軍師、と言わざるを得ません。今度とんかつ食べる時は是非やってみたいと思います。たぶんソースの味しかしないんだろうけど・・・。






なるほどねー



そして、残りの3つのカツを醤油カラシ、塩カラシ、ソースカラシで食べ分けるのです。名づけて






微妙な三国志ギャグ



「豚下三分の計」

豚下三分の計て。相変わらずの無理やりな三国志ギャグはともかく、なるほど、そうやって食べればとんかつもいろんな味が楽しめるのですね。まさに目から鱗。これを読んでJ君のとんかつライフが変わった気がしました。





続いて「焼肉の軍師」です。






孫権はロースです



「孫権の呉たるロースと」「曹操の魏たるカルビ」






あいかわらず無理やり三国志



「そして我が君人徳の帝、劉備玄徳の蜀がガップリ三つ巴に対峙した時、孔明が説いた天下三分の計が成され、

焼肉の胃袋は平定されるのである!!」


あいかわらず上手いんだか上手くないんだかよく分からない三国志ギャグをキメつつ気合を入れて焼肉屋に突入する本郷。

それにしても曹操って焼肉に例えるとカルビだったんですね。知りませんでした。






焼肉は作品のクライマックス



この「焼肉の軍師」は本作品のクライマックスといえます。なんと焼肉屋で宿命のライバル、パーカー男「力石」と偶然にも相席になり、焼肉のコンロを囲んで二人の軍師がついに直接対決することになるのです。






八卦の陣・・・だそうで



肉の並べ方の時点ですでに勝負は始まっている!

・・・そんな感じで異常にテンションが高くてウザい焼肉ネタがずーっと展開されるのですが、その他にもこの「食の軍師」では、



もつ焼きの軍師

寿司の軍師

蕎麦屋の軍師

餃子の軍師

バイキングの軍師

弁当の軍師




などなど、いかにも食通ぶった奴らが一家言持って群がりそうなメニューが盛りだくさんで、このノリが合う人なら全話みっしりと楽しめます。

バイキングの軍師とか、席取りの段階から勝負が始まってますからかなり熱いですよ。






かっこいいスキヤキ時代と食の軍師時代の本郷



ちなみに孤独のグルメでお馴染み豚がダブるネタやシューマイ弁当の干しアンズネタ、「かっこいいスキヤキ」を読んでいる人にしか分からない通好みの仕掛けなども含まれていたりします。泉昌之ファンなら読みながら思わずニヤッとしちゃいます。



というわけで「食の軍師」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?結果として三国志はほとんど関係ありませんが、食べ物を食べる段取りの大事さについて改めて考え直させる深い作品です。J君もこの作品を読んだ影響か、今日サブウェイで「ベジーデライトにバジルマヨネーズ・・・こやつデキル!」とか思いながら隣の客に向かって無意識にガン飛ばしてました。喧嘩になりかねないので軍師ゴッコのやり過ぎにはご注意ください。







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出典) 「食の軍師」 泉昌之/日本文芸社 

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参考) 「食の軍師」の紹介記事一覧