少年ジャンプ伝説の読み切り!斬新すぎる職人バトル 「格闘職人アウディ」
君がッ 入選するまで 殴るのをやめないッ!
こんにちは、J君です。皆様はホップ☆ステップ賞というものをご存知でしょうか?かつて週刊少年ジャンプで行われていた月例新人漫画賞のことで、冨樫義博先生、尾田栄一郎先生、和月伸宏先生、木多康昭先生など数多くの人気作家を輩出しており、まさにジャンプ漫画家にとっての登竜門となる賞でした。
そんなホップ☆ステップ賞に新人作品らしからぬ圧倒的インパクトと現在でも語り継がれるほどのカルト的人気を誇る幻の格闘マンガが存在しました。その名も「格闘職人アウディ」という作品。格闘マンガ史上最も意味不明な必殺技が飛び出すこのマンガの全貌を本日はご紹介いたします。
よく見ると職人て書いてある
「格闘職人アウディ」は週刊少年ジャンプ1996年43号にホップ☆ステップ賞入選作として読み切り掲載され、その後2001年14号にも読み切りで2話目が掲載されています。単行本としては「ホップ☆ステップ賞SELECTION19巻」に最初の「格闘職人アウディ」が収録されています。
この単行本の「ホップ☆ステップ賞SELECTION」というのがなかなかすごくて、当然ながら現在の人気漫画家達の新人時代の貴重な作品も収録されています。たとえばワンピースの尾田栄一郎先生のホップ☆ステップ賞作品はこちら。
一鬼夜行という作品です
この作品ではすでにキャラクターや格闘シーンなどにワンピースの片鱗が見られます。そして、「ホップ☆ステップ賞SELECTION」の最大の見どころは審査員であるジャンプの巨匠達の巻末コメントです。たとえ現在大物漫画家であっても新人時代の作品のクオリティは現在に比べるとだいぶ荒削りであり、新人作品に対して巨匠達はそれはもう見事なぐらいにボロックソに辛口コメントを繰り出しています。もちろん、ライオンは我が子を千尋の谷に落とす的な愛のムチだと思いますけど。
鳥山先生の顔写真てレアですよね
鳥山明先生
秋本先生も辛口めです
秋本治先生
若々しすぎる荒木先生
荒木飛呂彦先生 その1
荒木センセが激おこプンプン丸
荒木飛呂彦先生 その2
さすが荒木先生、他の審査員が言えないコメントを平然と言ってのけるッ!そこに痺れる憧れるゥ・・・ていうか当時の荒木先生と現在の荒木先生の見た目があまり変わってないあたりは本当に戦慄しますね。
と、そんな今をときめく大物漫画家ですら厳しい評価をうけるホップ☆ステップ賞作品の中で異様なまでのクオリティの高さを発揮し、未だにカルト的なファンによって語り継がれる作品が「格闘職人アウディ」なのです。
さて作品をご紹介してまいりましょう。20XX年、稀に見る不景気により失業者が激増。そんな中、帝国会社なる企業グループが失業者たちに高待遇の仕事を提供しました。何と半年間の出稼ぎで350万円の給料がもらえるという。これはなかなかの待遇ですね!
車内でやるなよ・・・
送迎列車の中でホクホクの労働者の中に、なんと電車の中で卵焼きを焼いている大胆不敵な男がいました。この男こそがアウディ。本作品の主人公です。列車の中でなぜ卵焼きを焼いているのかと尋ねると
理由になってない
「オレは一日二千回のフライパン返しを欠かさないのだ!」
全然よくわからない理由を答えつつ卵焼きを振る舞うアウディ。ただ者じゃありません。しかしそんな和やかムードでの送迎列車での旅が突然一変します。
ジョジョに出てきそうな車掌
「聞けい!!!この馬鹿どもがーっ!」
悪そうな車掌さん登場!初対面でいきなり馬鹿扱い。めちゃくちゃ失敬です。
帝愛グループ並みの待遇
どうやら高待遇どころか一生奴隷として帝国金山で働かされるらしいです。そう、列車に乗っていた者は皆騙されていたのです。しかしどうせ騙すなら最後まで黙ってた方がおとなしく働いてくれると思うんですけど何でここで喋っちゃうんですかね。この車掌さんたちの方がアホなんじゃないかと思います。マネジメントのことがなにもわかってない!
突然の通告に騒然とする車内。ここで我らがアウディがとんでもない行動に出ました!料理に使うおタマを使って悪い車掌に一撃!
あべし、ひでぶ級の断末魔
「えぴ!!!」
斬新な断末魔と共にぶっ飛ぶ車掌。
吹っ飛びすぎ
もの凄い威力です。っていうか人はおタマで叩かれると「えぴ!!!」っていうんですね。知りませんでした。
職人て強いんだな・・・
この凄まじい威力・・・そう、アウディは料理人であり、職人芸を極めた者だけが習得できる究極の格闘技「職人戦闘術」の使い手、格闘職人だったのです。職人戦闘術の使い手は、そのオーラである職人氣質(しょくにんかたぎ)を物に込めることで凄まじい攻撃力を発揮できるのです。
かくして格闘職人とアウディと労働者達は、現在帝国金山で騙され働かされている人たちを救出するべく列車でそのまま帝国金山に向かいます。
アゴが割れてるボルボ駅長
アウディVSボルボ(車じゃありません)
しかし目的地である帝国金山駅のボス、ボルボ駅長はとんでもないマッチョガイでした。切符切りバサミ(改札鋏)をチョキチョキしながらアウディ達の前に立ちふさがります。
ボルボのくせに中央線
爆裂中央特快!!
かめはめ波みたいなそれでいてなんかヘンテコリンな技が飛び出します。
なんと、ボルボ駅長も職人戦闘術の使い手だったのです。そうか駅長って職人だったのか・・・
それを間一髪で交わすアウディ。しかし、その次の技がすごかった!
その発想はなかった
ヤマノテ クラッシュ!
なんかすごいけどカッコ悪い名前の必殺技が出た!
ドヤ顔解説
「ワッハッハ!かつてTOKIO CITYに走っていたという有名な環状線山手線(中略)そしてその中心をつっきっていたのが中央線!」
ドヤ顔で必殺技の解説・・・というか、結果的にただの山手線と中央線の解説になってますが、こんなに分かりやすい山手線と中央線の解説は他ではヨドバシカメラのCMぐらいしか見たことがありません。
参考:ヨドバシカメラのCM
なんか普通の技
恐るべき必殺技ヤマノテ クラッシュに対し、割と普通なネーミングの秘技「高速氣質ダッシュ」で間一髪かわすアウディ。
真ん中通るは中央線
しかしそこにさらにボルボ駅長の必殺技、爆裂中央特快が放たれました!
今度こそピンチか!?アウディは中央線で人身事故を起こしてしまうのか!?しかし・・・
よく考えると意味が分からないセリフ
「俺は格闘職人である以前に料理人なんじゃーっ!」
なんとも意味不明な決めゼリフとともに爆裂中央特快をフライパンで打ち返すアウディ。
無慈悲なフライパン返し
その名も「フライパン氣質返し!!!」(そのまんま)
フライパンで打ち返される必殺技って・・・爆裂中央特快弱すぎだろ。ガチしょんぼり沈殿丸ですよ。
ボルボ弱えー
最強の敵、ボルボ駅長の敗北により帝国金山は解放され、平和が戻ったのでした。めでたしめでたし。
これが伝説の格闘マンガ「格闘職人アウディ」の全貌です。いかがだったでしょうか。ギャグなんだかシリアスなんだかよくわからないけど勢いだけはとにかくハンパじゃないところがこのマンガの魅力です。まさしく新人らしい若さほとばしる作品ですよね。
幻の2話目
ちなみに2001年14号に連載された2話目も超ハイテンションで、腐りかけの魚を職人気質によって活きた魚に見せかけ、客に刺身を振舞う技「詐欺造り」を使いこなす悪の板前、天龍源三郎とアウディとの料理人対決です。
ひでえ技
触手系の技
天龍源三郎の必殺技「鰻固め」や・・・
キングオブ大味
究極奥義「鯨大砲」がアウディを襲います。
ヤマノテクラッシュに匹敵するほどの大味な必殺技がさすがです。なんといっても料理人同士の対決なのに、料理は一切関係ないところがこのマンガの斬新なところですよね。
格闘職人アウディは1話目が「ホップ☆ステップ賞SELECTION19巻」に収録されていますが、かなりの入手困難本です。しかも2話目にいたっては単行本未収録作品ですのでまさしく幻の読み切りといえます。
「格闘職人アウディ」作者の長谷川誠先生(2話目では長谷川光弐と改名)は、現在は雑誌連載をされているという情報はみつからなかったのですが、読切りが2回も掲載されるという異例の人気を誇るシリーズですから、是非全国の熱烈なファンのためにも「格闘職人アウディ」の復活をお願いしたいところであります。
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出典)
「格闘職人アウディ」 長谷川誠(長谷川光弐)/集英社