「コミックヨシモト」お笑い界の黒歴史!? 創刊から7号で休刊となった幻の雑誌

お笑い界の黒歴史!? 創刊から7号で休刊となった幻の雑誌「コミックヨシモト」

なりたい!この人のような存在に!!
皆様は「コミックヨシモト」という雑誌をご存知でしょうか?まあ・・・知らなくても無理はありません。「コミックヨシモト」は2007年に創刊されたコミック誌で、吉本興業がお笑いとマンガの融合を図りお笑い芸人原作のマンガやお笑い芸人を主人公としたマンガばかりを載せるという大胆なコンセプトで登場しました。そしてあまりに大胆すぎたのかわずか7号で休刊となりました。

当サイトではかつて、課長専門誌「月刊カチョー」という雑誌の存在をご紹介したことがありましたが、こういった無謀なぐらいにコンセプトが偏った挑戦的な雑誌を見つけると紹介せずにはいられません。今回は掲載作品をご紹介しながらこのコミックヨシモトという雑誌が一体なんだったのかを振り返りたいと思います。


ちなみにJ君が所有しているのはコミックヨシモトの創刊号です。2号以降は読んでいません。創刊号はプロモーションの一環かタダで大量に配っていたようです。実際、J君も渋谷駅でタダでもらいました。もしかしたら貰ったことがある方もいるかもしれませんね。創刊号の表紙はこんな感じです。


チュートリアル??

当時M-1グランプリのチャンピオンとなったばかりで飛ぶ鳥を落とす勢いの人気だったチュートリアルが表紙です。正直この表紙の二人がチュートリアルだというのはしばらく気づかなかったんですけど・・・。


豪華DVD付き

創刊号だからかお笑いのDVDが付録についていたりしてかなり気合が入っているのが感じられます。


巻頭カラー

その気合の入りまくりのはずの創刊号オープニングを飾るマンガが「いつか見た島~Island Cowboys」という作品。


お笑い関係無くね?

ストーリーは、J2リーグで活躍していたサッカー選手、上地良太がJ1昇格直前にアキレス腱を切りサッカーを引退するはめに。とたん彼女にも振られ、収入もなくなりどん底になった上地は沖縄の離島に移住し再起を誓う・・・という話。

いかんせん2号以降を読んでないのでどう再起するのか知らないのですが、わりと普通によくありそうなストーリーですよね。なんでこの作品をわざわざコミックヨシモトで、しかも雑誌の成功のカギを握る創刊号のトップ作品で・・・?と疑問に思わざるを得ないと思いますが、このページをみると全ての謎が氷解します。


原作者の力が絶大すぎる

・・・当時の芸能界の力学を象徴するような作品ですね。主人公の名前も心なしかヘキサゴンファミリーっぽい感じですし。

さらに、続く「んなアホな!!」という作品ですが、こちらは原作が倉科遼先生、作画をナカタニD.先生という大物コンビとなっております。ストーリーは族あがりのヤンキーと成績優秀な生徒会長という正反対の二人の若者が東京で出会い、お笑いの頂点M-1グランプリを目指すという内容。これはいかにもヨシモトらしいマンガですよね。しかし・・・やはり当時の「あの人」の芸能界での存在感は絶大だった模様です。


やはりこの人が・・・
加えて主人公のこのセリフ。


今だったら絶対NG

「なりたい!この紳助(ひと)のような存在に!!」


それはアカンやつや・・・

「そしていつかこの紳助(ひと)のいるポジションへ・・・!!」
それ以上いけない・・・!今だったらいろいろと自重した方がよさそうなセリフがたくさん出てくるので別の意味で刺激的です。

その他の創刊号のラインナップはこんな感じでした。


お笑い芸人原作作品多数です

この中でJ君が個人的に楽しめた作品をいくつか紹介しましょう。

「ハローバイバイ関暁夫の都市伝説」


テーマは口裂け女

「やりすぎコージー」などのTV番組で都市伝説タレントとして登場している関暁夫氏の都市伝説ネタをマンガ化。創刊号では「口裂け女」の都市伝説解明がテーマです。口裂け女って懐かしいなおい。


これはいい胡散臭さ

なんといってもスティーブン・セキルバーグこと関暁夫氏のキャラの胡散臭さがハンパない。そこはかとなく漂うあすかあきおテイストが個人的にはツボです。


セキルバーグて

それにしてもスティーブン・セキルバーグって無理やりすぎだろ。”セキ”しか合ってないし・・・。

「探偵事務所H・G」


安定のダイナミックプロ

一時期大ブームになったハードゲイことレイザーラモンHGのキャラクターをモチーフにした作品。なんと描いているのが、永井豪とダイナミックプロだということに何よりも驚きます。いろんな仕事やってるなダイナミックプロは・・・。


ダイナミックなキャラ

ストーリー自体はいわゆる探偵事務所設定のギャグマンガなのですが随所にレイザーラモンHGが無理やり割り込んでくるところがこのマンガの最大の特徴です。今見るとHGのキャラクターってかなりマンガ的で相性がいい気がしますね。


下ネタもねじ込んできます

「OLちゃんダイアリー」


ブサイク版OL進化論

こちらは女性コンビ、ハリセンボンの二人がメインのギャグマンガ。ブサイク版OL進化論みたいな感じですが春菜のツッコミとはるかのボケがTVのコントに負けず劣らずマンガでもハマッていてかなり面白い作品に仕上がっています。個人的にはもし単行本になってたら買ってたかも。


コントそのまんまの展開

「コミックヨシモト」はなにしろ7号で休刊となったために掲載作品のほとんどが中途半端に打ち切りとなり単行本化されていないのですが、Wikipediaによると、単行本化された作品は「ハローバイバイ関暁夫のコミック都市伝説」と、他誌に移籍した「おんたま!」、そして「コミックホームレス中学生(原題「たむら」)」の三作のみだった。ただし09年になって、連載陣の中でも特に人気の高かった「ガングリオン」のみが追加刊行されたとのことです。(※追記:「桂三枝の上方落語へいらっしゃ~い!」も刊行されてました)


戦闘員もサラリーマン

「ガングリオン」は戦隊物に出てくる悪役の戦闘員も実はサラリーマンであるという設定のマンガ。戦闘員の中間管理職が上司と部下との人間関係でいろいろ苦労するという哀愁ただよう作品です。これぞまさに訓練された社畜・・・。当サイトでも機会があればレビューをしたい作品です。


有名なホームレス中学生

また創刊号には掲載されていなかった「コミックホームレス中学生」はこんな感じです。原作読んでなかったのでマンガではじめて読んだのですが、単に笑えるだけでなく泣けるオチも待っています。

というわけでお笑い界と漫画界の双方で「なかったこと」になっている「コミックヨシモト」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?現在の出版不況下においてこういうエッジの立ちまくったコンセプトの雑誌の登場はもはや期待できない気がします。

それにしてもWikipediaにある「吉本はすでに2号目で見切りを付け休刊を決定していた」という記述も凄まじいものがありますね。見切り早すぎ!どんだけ評判悪かったんでしょうか。ロンドンブーツ1号2号が編集長をしたコミック誌「コミックGOTTA」もパッとしませんでしたし、お笑いとマンガの融合は鬼門というジンクスがあるのでしょうか。

もしかしたらコミックヨシモトとは、ヨシモトと出版業界を巻き込んで仕掛けた壮絶なボケであり、たった7回で休刊したところで我々は一斉にツッコミをいれなければいけなかったのかもしれませんね。

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出典)「コミックヨシモト」 ワニブックス/ヨシモトブックス  Amazonで見る
「いつか見た島 Island Cowboys」原作:島田紳助 作画:高田桂
「んなアホな!!」原作:倉科遼 作画:ナカタニD.
「ハローバイバイ関暁夫のコミック都市伝説」原作:ハローバイバイ関暁夫 作画:野田正規
「探偵事務所 H★G」漫画:永井豪とダイナミックプロ キャラクター:レイザーラモン
「OLちゃんダイアリー」原案:ハリセンボン 作画:北沢バンビ
「ガングリオン」原作:白岩久弥 作画:いつきたかし
「コミックホームレス中学生」原案:田村裕(麒麟) 漫画:魚乃目三太

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