キングオブ地元グルメ「駅前の歩き方」
バアさんがヘラで売るからババヘラアイス(詠み人知らず)
こんにちは、J君です。現在当サイトでは「テキスト人気投票2006」というのをやっているのですが、そこで圧倒的人気を誇っているのが「孤独のグルメ」。マンガ自体は以前から知る人ぞ知る有名なマンガだったのですが、早い話、独身中年オヤジが一人で定食屋で飯を頼み「こういうのでいいんだよ、こういうので」とか「豚汁もいいけど、ここはナメコ汁で決めようとか」などの独り言を言うだけのB級グルメの極みのようなマンガなのです。しかしどうやら当サイトの読者の心の琴線に触れまくりだった模様。うちのサイトは寂しんぼうの集まりですか。
冒頭からちょっとしんみりしてしまいましたが言いたいことはそういうことではなく、本日は皆様のB級グルメなニーズを満たすべく、もう一つのB級グルメマンガ「駅前の歩き方」をご紹介したいと思うのです。なんだか当サイトの位置づけがテレビ東京みたいになってきましたが、それはほっといてください。
さて、本日ご紹介するマンガ「駅前の歩き方」は確かにB級グルメ的ではありますが、そのコンセプトは「孤独のグルメ」とは全く違います。「孤独のグルメ」は比較的ありきたりなメニューに対し、中年オヤジが哀愁たっぷりに「ソースの味って男のコだよな」とかワケのワカらんセリフを言う・・・でもなんか分かる、そこが何とも言えない魅力だったわけですが、「駅前の歩き方」はそのメニュー自体のマニアックさにスポットが当たっています。そのテーマはズバリ「常食(ジョウショク)」です。
この作品は、主人公の若手作家・花房徹と編集者・加藤が取材で立ち寄った行く先々で出会う未知のローカルメニュー「常食(ジョウショク)」に舌鼓を打つというマンガです。
テーマは常食
「常食(ジョウショク)とは、要するにその土地ならではローカルフードなのですが、いわゆる名産品とか名物料理とかいったよそ行きの物ではなく、本当に地元の人が日常的に食べているメニューであるというところがこだわりのポイントです。と言っても分かりづらいと思いますので早速具体的にご紹介していきましょう。
■秋田県のババヘラアイス
秋田県では国道・県道沿いにパラソルをさしたおばあさんがズラッと並び、アイスを売っているそうです。売り子のおばあさんがアイスをヘラで盛りつけることからズバリ「ババヘラアイス」。なんともストレートすぎるネーミングです。普通だったら激怒必至の名前のような気がするんですが、むしろババア呼ばわりに耐えられる人しか売り子さんになれないのかもしれませんね。ハードルが高いんだか低いんだかよく分かりませんけど。
そのまんま
同じ秋田の「ナマハゲ」も個人的には相当インパクトがあるネーミングだと思ってたのですが。だって、ナマでハゲですからね。語感だけで十分屈辱的じゃないですか。でも「ババヘラ」はそれを超えるパワーを感じます。ババのヘラなアイス。味が全く想像できません。
マンガでは、たまたま取材に行きがけの電車で主人公の向かいの席に座ったおっさんが、幼少期に担任だった女先生に恋心を抱いたまま悶々と数十年を過ごし、ついには女先生の生まれ故郷の秋田にフラフラ行ってしまうという老いらくの恋とストーキングが交錯するようなお話になっています。そして、秋田でお目当ての女先生に会えたものの、あこがれの先生はババヘラばあさんに進化を遂げていたというオチ。いろいろと切ないですね。J君がそんな経験をしたらたぶん1ヶ月は引きこもりますよ。
進化(?)してました
肝心のババヘラアイスはシャーベットのようなサラッとした食感で「脳に届くほど」激甘みたいです。J君が激甘といえば、千葉・茨城エリアに売っている「マックスコーヒー」を思い出すのですが、アレとタメセン張れるぐらいの甘さなんでしょうか。気になります。秋田に行ったらババヘラアイス、これは必須事項ですね。
激甘らしいです
参考)ババヘラアイス(Wikipedia)
■長野県伊那市のローメン
長野県伊那市の常食「ローメン」は焼きそばやスパゲッティ、ラーメンなどとは一線を画した伊那市独自の中華麺料理だそうです。マンガの画だけでは焼きそばとどう違うのか分かりませんが、焼いてあるのではなく蒸し麺料理で羊肉を使っているので独特の風味がするとのこと。写真を見るとなるほど、結構美味そうです。
焼きそばっぽいけど・・・
作品中では、主人公が取材先の伊那市で偶然入った食堂で、お客さんが「ローメン」なるものを頼んでいるので試しに頼んでみると、その独特の味にビックリ!しかも、その食堂の娘が妊婦のまま出戻ってきたという地元の下世話な噂話が聞こえてきて二度ビックリというお話。出戻りの味「ローメン」。J君も是非一度食してみたい。
参考)ローメン(Wikipedia)
■長崎県のトルコライス
チャンポン・皿うとん・カステラ・卓袱料理等々、長崎には個性的かつ全国的にもメジャーな料理がたくさんあるわけですが、通の食う常食はズバリ「トルコライス」ですよ!エラそうなこと言ってますがもちろんJ君は食べたことありません。
トルコライスとは一つの皿にピラフとナポリタンそしてソースのかかったトンカツが目いっぱい盛り合わさっているという一人TVチャンピオン状態の豪快極まりない料理です。どんだけカロリーがあるんですか。
漢の料理ですな
しかも、トルコライスと言うからにはトルコ料理が起源であることを誰しも想像するわけですが、トルコは豚肉を食べない国なので実はトルコは関係ないという説が濃厚です。そういえば殿方の遊艶地ことソープランドは昔「トルコ風呂」と呼ばれていてトルコからクレームが付いてソープランドに改称されたという歴史がありました。どこまでも誤解されがちな国トルコ。よく考えたらトルコライスにナポリタンが乗ってるのもおかしいですよね。
作品中では、長崎に住む編集者加藤のいとこのおじさんが、「長崎もすっかり変わっちまった」と元気がなくなっていたところ、喫茶店でなつかしの「トルコライス」を食べて元気を取り戻すというお話になっています。基本的にあんなヘヴィーな料理が完食できるんなら元気に決まってます。
老人も絶倫になる味
というわけで、カロリーの概念を超越した大人のお子様ランチ「トルコライス」。J君はダイエットの概念を超越できたらチャレンジしてみたいと思います。
参考)トルコライス(デイリーポータルZ)
■静岡県富士宮市の焼きそば
焼きそばにどこの市もなにもないだろう、焼きそばなんだから!と思うのは素人。富士宮市の焼きそばは従来の焼きそばの概念を覆す食感を持っているのです!(とマンガに書いてあった)
静岡県富士宮市の焼きそばは麺の独自製法によりスパゲッティーのアルデンテような独特のコシのある食感の焼きそばなんだそうです。見た目は全然普通の焼きそばと見分けがつかないのでこればっかりは食べてみるまではどうにも分からないですね。
アルデンテ焼きそば
ちなみに、J君は焼きそばといえば北海道で売っている「やきそば弁当」にも相当衝撃を受けました。普通のカップ焼きそばに粉末スープをつけただけで「やきそば弁当」。いやいや、それは弁当じゃないだろ、と突っ込みたいところですが、そもそもカップ焼きそば自体が焼いてないというジレンマがあるので今さら何でもアリなのかもしれません。
盗み食いはやめましょう
話は完璧にそれてしまいましたが、作品中では、主人公が学生時代に富士宮市出身の同級生の冷蔵庫の焼きそばを盗み食いしたら不思議な味がした。それを確かめるために実際に富士宮市に焼きそばを食べに行ったらやっぱり不思議な焼きそばだった!というお話になっています。
参考)富士宮市の焼きそば(はてなダイアリーキーワード)
■埼玉県行田のゼリーフライ&ふらい
なんと、埼玉県行田市にはゼリーフライなるものがあるらしいのです。ゼリーフライ・・・こんなに心配な食べ物はないですよね。だってゼリーがフライになんかなりっこない。J君が子供の頃「アイスクリームの天ぷら」なる物が存在するという都市伝説がありましたが、子供ながらに、「そんなモンあるわけねぇ!オラだまされねえぞ!」と思っていたわけです。実際にはあったわけですけど。
で、肝心のゼリーフライの方はゼリーとは全然関係なく、おからの素揚げだそうで。しかもビールに合うような感じでかなり美味いらしいです。なにそれ、普通に「おからの素揚げ」でいいじゃん。
ゼリーフライ?
もう一つの「ふらい」の方もお好み焼きやもんじゃ焼きに近いものらしいです。全然揚げてねー。
「ふらい」はお好み焼き系
これはむしろネーミングのマジックとも言うべき物で、いわゆるお袋の味的なものに、誰もが想像しないようなインパクトのある名前がついたからこそ話題になったんでしょうね。むしろ、本当にゼリーでリアル「ゼリーフライ」を作って頂き、「ゼリーフライ」を食べに来たらほんとに「ゼリーのフライ」だった!という逆ドッキリをやって欲しいです。行田市をあげて日本国民を陥れて欲しい。そう思います。
参考)ゼリーフライ&ふらい(デイリーポータルZ)
というわけで、J君はどれ一つ実際に食べたことがないわけですがあえて知ったかぶって書いてみました「駅前の歩き方」レビューですが、いかがだったでしょうか。だってねえ、普通は伊那市とか行田市とか行く用事ないですもんね。あとマンガというよりB級グルメレビューになってしまいましたが、実際、このマンガはストーリー自体より未知のローカルメニューに遭遇できることが楽しいマンガだったりします。
ちなみにJ君は常食って意外と思いつかないわけですが、東京のもんじゃ焼きとか東松山の豚肉やきとり、名古屋の台湾ラーメンなんかも常食の部類なんでしょうか。こんなのも常食じゃないか?とか俺はゼリーフライ食ったことあるぜよ!なんて方がいましたら是非ともJ君に教えて頂ければと思います。
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関連テキスト) 孤独のグルメ
参考) Amazon → ■ レビュー → ■ ■ ■ ■
出典) 「駅前の歩き方」 森田信吾/講談社