「なにがオモロイの?」読むのが痛い 実験的ギャグマンガ

読むのが痛い 実験的ギャグマンガ「なにがオモロイの?」









ギャグマンガ史上最大の黒歴史か!?

こんにちは、J君です。数あるマンガのジャンルの中でも最も魑魅魍魎なジャンルはズバリ、ギャグマンガなのではないでしょうか?



昨今のピン芸人達の一発ギャグが一年ともたずに風化しているのは皆さんもご存知の通りだと思いますが、マンガの世界でもしかり。一世を風靡したギャグマンガ作家が復活、しかしそのギャグセンスはもはや古い・・・全く通用しないといったことが起こりうるのです。そして、そのギャグマンガの厳しさを痛いほど実感できるマンガがあります。その名も「なにがオモロイの?」。ある意味こんなに泣けるギャグマンガは見たことがありません・・・。


「なにがオモロイの?」は、「コージ苑」「勝手にシロクマ」「サルでも描けるまんが教室」等々を世に送り出したギャグマンガの巨匠、相原コージ先生のいわば、黒歴史とも言える作品。読み進めるほどに先生の苦悩がビシバシ伝わってきます。



ギャグが分からなくなってしまった・・・



「なにがオモロイの?」のコンセプトは良くも悪くも大変画期的でした。「サルでも描けるまんが教室」以来、7年以上もギャグマンガの執筆から遠ざかっていた相原コージ先生の久しぶりのスピリッツ連載・・・しかし、7年たった今、もはや何を描いたらウケるのか、ギャグマンガの描き方がすっかり分からなくなってしまっていたのでした。




画期的なコンセプトだったが・・・



そこで考えたのが、とりあえずギャグマンガらしきものを掲載し、それが面白いかどうかの判断は読者に委ねるという手法。毎回インターネットとリアルの両方で作品に対するアンケートをとり、読者の批評を次回のマンガに反映させ、イマドキのギャグマンガとして最適化を図っていこうというものです。これはある意味、非常に斬新かつ合理的な発想であったわけですが、同時に相原コージ先生にとって大いなる悲劇のはじまりでもあったのです。



ギャグがすっかり分からなくなってしまったという相原コージ先生の「なにがオモロイの?」序盤の作品。とりあえず手探り状態ということを考慮しても・・・







お、オモロイ?



とても微妙。

小学生なら喜ぶかもしれないお下品ネタですが、いかんせん掲載誌面は青年誌スピリッツです。相原先生は本当にギャグが分からなくなっているのでは?と心配させるに十分な仕上がりになっております。



そして、作品に対するアンケートは調査員がリアルで行った出口調査とインターネットでの調査の二つがあるのですが、特にインターネットでは作品に対する辛辣な意見が多く、それは今でいう「ブログ炎上」に近い感覚です。そのうちのいくつかをご紹介しましょう。



容赦ないコメント



「最悪!!こんな原稿ボツだろ!普通なら・・・」

「いわゆるアレだろ?不条理ギャグっていう奴。才能のない漫画家が使う逃げの手段って奴だよな。」

「下ネタまで不発・・・。これ以上続けると刺されますよ。」

「『笑えた』なんてのはヤラセだろ!なぜ気づかない?富士樹海へ行け!

「そろそろ相原さんも自殺を考えている頃だと思いますが、世間を爆笑の渦に巻き込むような自殺方法でお願いします。そしたら伝説になると思います。」



・・・これは酷い。

そして、それに対する相原コージ先生のリアクション。予想以上の厳しい読者コメントに動揺が隠し切れない先生カワイソス。





苦悩する先生



最初の頃は読者のコメントを進撃にうけとめ、次回作品に反映させるべく努力をしていた先生ですが、辛辣コメントはエスカレートするばかり。そしてボロボロに壊れていく相原先生。





壊れはじめる先生



もの凄いダメスパイラル。まさにライクアローリングストーン。あまりの悲惨さに、実は計算された自虐エンターテイメントなのではないかと錯覚を起こしてしまうほどです。





怖い・・・



そして、序盤にして完全に壊れてしまった相原先生はついに電波オチを発動。もはやマンガなのか何なのかすら分からない状況に。







そして悟りの境地に



その後、読者へ耳を貸さなくなり心を閉ざしてしまった先生はついに、一切の説明やセリフ無しで謎の生物がうねうねと動き回るだけのマンガなど、誰が得するんだかわからない前衛的すぎるギャグマンガを掲載しはじめます。





前衛的すぎる・・・



もちろん、それに対してもアンケートでの容赦ない罵倒コメント。まるで死人に鞭を打つような厳しさがエンドレスで続きます。



そこへもって意固地になった相原先生がさらに読者に挑発的な発言を行い、より前衛的で理解不能なギャグマンガを描くという、ダメスパイラル。ああ、痛い。読むのが痛い。ひょっとしてこれはギャグでやっているのか?



しばらくそんな無理問答のような状況が続き、後半に差し掛かったあたりで、突然悟りを開いたかのような方針変更。一般対象向けではなく、特定の人々を対象にしたギャグマンガを掲載し始めます。





ちょっとオモロイ



ミュージシャン向けギャグマンガ





ベタな香港向け



香港人向けギャグマンガ





エジプト・・・?



そして・・・エジプト人向けギャグマンガ

ちょっ・・・センセ、それは何の解決にもなっていないのでは・・・?

そんな感じで前衛的・実験的な作品が多かった「なにがオモロイの?」ですが、相原先生ならではの天才的なギャグセンスを見せつける作品がちらほら存在します。そのうちの一つが巨人の星のワンシーンをアレンジしたその名も「左門の星」




川崎のぼる先生の許可はとってあるそうです





さらに「日本一ヌケないエロ漫画」として一部ネットユーザーにカルト的な支持を受ける作品「濡れ濡れ家庭教師」



















・・・うん、これはヌケない。無理すぎる。

もちろんJ君の主観がかなり入っていますが、この「濡れ濡れ家庭教師」は数あるギャグマンガの中でも最も愛すべき名作ギャグの一つといえるでしょう。これは何度見ても笑えます。



というわけで、ギャグマンガ作家の苦悩をいやというほど知ることができる作品「なにがオモロイの?」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?どうやらAmazonで検索されないところをみると本格的に黒歴史入りしているようです。



そして、なんと相原コージ先生の新刊「相原コージ実験ギャグ短編集」なるものが発売されているようです。J君は未見なのですが、これは一体どんな作品なのでしょうか?読んだ方はぜひ感想をお聞かせください・・・。

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出典) 「なにがオモロイの?」 小学館/相原コージ

参考) レビュー →