6コマ来たりてヘヴィメタる! レジェンド・オブ・ヘヴィメタギャグマンガ 「ROCKOMANGA! (ロッコマンガ)」
ロックだから4コマじゃなくて6コマな!
こんにちは、J君DEATH!(ヘヴィメタ風)。皆さん最近ヘビメタもといヘヴィーメタル聴いてますか?多分聴いてませんよね?改めてカミングアウトするのもアレなのですが、J君はヘビメタが大好きでして、中高時代は安全地帯とヘヴィーメタルを聴いて育ったんですよ!(なぜ安全地帯を聴いていたのかという話は非常にややこしくなるので割愛)
ところでメタル好きなら必ず読むであろうハードロック&メタル専門誌に「BURRN!」という雑誌があるのですが、本日紹介したいのはその「BURRN!」で23年間も連載されていた伝説のヘビメタギャグマンガ 「ROCKOMANGA! (ロッコマンガ)」です。
J君の青春時代である1980年代~90年代はですね、日本にかつてないハードロック&ヘヴィーメタルブームが到来した時代だったのです。有名どころでヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ、ヨーロッパ、ホワイトスネイク、ガンズ・アンド・ローゼズ・・・オジー・オズボーン、アイアン・メイデン、モトリー・クルー、ハロウィン、メタリカなどなど、当時TMネットワークや渡辺美里やプリンセスプリンセス、大江千里などしか聞いてなかった貴方もバンド名ぐらい聞いたことがあるんじゃないでしょうか?もしかしたら曲だって実は何曲か知ってるかもしれません。
では、「ハードロックとヘヴィーメタルはどう違うのか?」という説明を誰にも聞かれていないのに勝手にしますけど、ざっくり言うとハードロックはロックがハードになったやつ。ヘヴィーメタルはハードロックがもっとハードになったやつです。
【爽やか】 ロック < ハードロック < ヘヴィーメタル 【うるさい】
みたいな感じ。何を「うるさい」と思うかは人によって感覚が異なるため、ハードロックとヘビメタの線引きは非常に曖昧です。ヘヴィーメタルをさらに細分化し、バンドの雰囲気や音楽性によってジャーマンメタルとか北欧メタルとかスラッシュメタルとかデスメタルとかグラインドコアなどと分けることもできるのですが、もう完全に言ったもん勝ちの世界。とにかくサブジャンルが無数にある奥の深いジャンルだと言えるのです。
いずれにしてもインターネットがない時代、日本のメタルキッズにとって最大の情報源は「BURRN!」であり、どこどこのバンドが新作アルバムを出しただの、再結成しただの、誰と誰がケンカして誰が脱退しただの、誰が誰をブン殴っただのといった情報をゴシップ的に得ていたのですが、そんな中、1989年に「BURRN!」の1コーナーとして突如登場したのが喜国雅彦先生の「ROCKOMANGA! (ロッコマンガ)」であり、かつてないメタル界の内輪ネタをギャグにしたマンガだったのです。
6コマなので縦に長い
こんな感じで一見4コママンガ風なのになんとなく縦長で違和感があるのは、6コマになっているせいでしょう。6コマでやる理由はもちろんそのほうがロックだから(6だけに)というダジャレ的なセンスによるものですが、起承転結を無駄なく再現できる4コマがベストであるというマンガ界の不文律を、ダジャレのために無視するという反骨精神はまさにロックであると言えるでしょう(そうでもないか)。
メタルゴッド、ロブ・ハルフォード様
メタル専門誌に連載されているマンガですから、当然ながらメタル界の内輪ネタに終始するわけですが、皆様もお察しの通りメタル界といえば濃いキャラクターの宝庫であり、存在自体がギャグ扱いの御仁が沢山いらっしゃるわけです。
例えばコージー・パウエル(1947-1998)はメタル界では最も偉大なドラマーの1人で、レインボー、ホワイトスネイク、ブラック・サバス、イングヴェイ・マルムスティーンなどといった数々の有名バンドに在籍した実力者ですが、どれも在籍期間は1~2年程度で、入ったと思ったらソッコーで辞めるため「渡り鳥」の異名を持っていました。
偉大なドラマーもギャグ扱いです
こんな感じでコージーの渡り鳥っぷりがネタにされているわけです。知っている人なら100パー笑えるネタですが、知らない人には何のことやらサッパリわからない、これこそがロックです。
暴君インギー
他にもイングヴェイ・マルムスティーンという、「速弾き」をメタル界に知らしめた超有名ギタリストがいるのですが、この御方は自分のバンドを辞めた元メンバーやライバルのバンドをボロックソにいう暴言ぶりでも有名です。詳しくはこのまとめをご覧いただきたいのですが、知らない人でも笑える(もしくはドン引きする)こと必至です。
「彼はドラマーとしては最高だったが、とんでもない馬鹿だった。生まれてこのかた、あれ以上頭の悪い奴には会った事がないとっていうくらい酷くて、この俺でさえ手におえなかったんだ。そんじょそこいらの馬鹿とは訳が違うぜ!あれは世界でも1・2を争うほど凄まじいバカだ!脳みそがあるとはとても思えなかったね」(引用元)
J君が個人的に一番印象に残っている最凶の暴言はこれです。当時「BURRN!」のインタビューを読んだ時はビックリしすぎて5回ぐらい読み直しました。どうやったらここまでの悪口が思いつくんでしょうか。もはや暴言を超越して名言になっているレベル。訴訟起こされたら絶対に負けそうですけどね。
太ったって絶対顔出し
そんなインギー様のもう一つの弄られがちなネタがおデブネタです。デビュー当初はイケメンで文字通り貴公子のようだったルックスが、CDを出すごとにみるみる肥えていき、CDのジャケットでも顔の輪郭や腹を巧みに隠すようになるという神業を披露し始めます。
顔の輪郭を隠し
お腹まわりを巧みに隠し
ついに目だけになってしまった時は、ここまで来たか!と思ったものです。
どこであのジーンズを手に入れるのかが謎でした
あと、メタルあるあるネタでは「のびのびジーンズ」ネタというのがありました。一時期メタルのバンドマン(特にスラッシュメタル系)はなぜかこぞって足にぴっちりフィットしたどう考えても普通の人では履きこなせないピッチピチのジーンズを履いており、おばちゃんがよく履いていたのびのびジーンズ(ストレッチジーンズ)なのではないかという疑惑があったのです。
今では再評価されて普通にしまむらとかユニクロでオシャレなアイテムとして売ってますね。当時のメタルバンドマンはファッショントレンドを数十年先取りしていたといえなくもないです。
その他にもメタルのバンドマンがこぞって長髪から短髪になっていく傾向を嘆いてみたかと思えば、何十年も髪型が長髪のまま変わらない某大物ギタリストのズラ疑惑とか、帽子を絶対に脱がない某ドイツのバンドマンのハ◯疑惑を弄ったりなど、やたら頭髪に関わるネタが多かったり、ギターの神様マイケル・シェンカーが来日公演をドタキャンしたことを喜国先生が個人的に根に持って、足掛け10年以上ネタにしたりなど、やはりかなり玄人向けのマンガであることは確かです。
今日のメタル界は、日本発のアイドルとダンスとメタルの融合を果たしたユニット「BABYMETAL」が世界的に注目を浴びており、これはこれで非常に素晴らしいことですが、J君のようなオールドメタルファンは、いい歳したおっさんが必死になってハイトーン・ヴォイスやデス・ヴォイスを繰り出してこその様式美だと思っているので、今後もそっち系のメタルを追求していきたい次第です。
ちなみにこのレビューを書いている途中に知ったのですが、2012年に惜しまれながら連載終了したはずの 「ROCKOMANGA! 」ですが、2014年に連載再開されていました。しかも6コマが単なる縦並びではなく、新しい解釈による斬新なコマ割りになってます。・・・まあメタルのバンドも解散してはメンバーを入れ替えて再結成を繰り返していますから、そういうところもまた「ロック」ということで。
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出典) 「ROCKOMANGA! 」 喜国雅彦/リットーミュージック
「BURRN!」 シンコー・ミュージック