擬音の革命児!昔懐かし伝説の熱血PC四コママンガ 「べーしっ君」
「すぽーんぴろーんピンピロピーン」
こんにちはJ君です。皆さんは自分ならではの擬音を持っているでしょうか?カイジなら「ざわ・・・」、ジョジョなら「ズキュゥゥゥン」、マサルさんなら「キュピーン」などなど、大人になったら自己表現の手段としてマイ擬音の1つや2つは持っていたいところですよね。
いつにもまして意味不明なイントロダクションですが、今回もまた特定世代の方以外を置き去り状態にしてしまうことが予想される作品をご紹介します。1980年代、まだWindowsという言葉が存在せず、パソコンのことをマイコンと言っていた時代・・・その頃のパソコンキッズ達にはお馴染みの「べーしっ君」というマンガがあります。このマンガこそ擬音界に革命を起こした画期的ギャグマンガなのです。
「べーしっ君」は荒井清和先生による四コマギャグマンガで、当時のアスキー(現エンターブレイン)から刊行されていたコンピューター誌「ログイン(LOGiN)」やゲーム雑誌「ファミ通」に連載されていました。
メモリ256MB=目森二五六
コボルのおばちゃま・・・
登場キャラクターはこのような感じで、コンピュータ用語をかけてたりそうでなかったりしています。
主人公の「べーしっ君」は当時スタンダードだったプログラミング言語Basic(ベーシック)をもじった名前ですが、いくらシャレのためとは言え、我が子に「べーしっ」と名付けるセンス、なかなか狂ってますよね。今日日のキラキラネームでもなかなかここまで無理やりな名付け方はしません。
ちなみにJ君がはじめて「べーしっ君」と出会ったのは「ログイン」に連載されていた頃です。1980年代はコンピューター雑誌が群雄割拠の時代で、パソコンのハードに特化した雑誌、ゲームに特化した雑誌、プログラミングに特化した雑誌などが多数存在しました。
J君は「ログイン」の他に「マイコンBasicマガジン」「Beep」「コンプティーク」「ポプコム」など、複数のコンピューター雑誌を、時にはなけなしの小遣いをはたいて買い、時には立ち読みで済ませたりしていました。立ち読みばっかりして全然買わないので、よく本屋のおじさんにすごーくイヤな顔をされたことを覚えています。
ぽげムたマーク
表紙までぽげムた
「ログイン」についていえば数あるコンピューター雑誌の中でも、なんとも言えない「ユルさ」を醸し出しているつかみどころがないコンピュータ誌でした。例えば雑誌内で「ぽげムたビゲなみょーん」という意味不明な擬音や謎のマークを多用し、雑誌の表紙にまで「ぽげムた」マークを使用するという、売る気があるんだかないんだかよく分からない雑誌だったのですが、その型破りさが当時のパソコンキッズ達にバカウケだったようです。
そんな「ログイン」に掲載されていた4コママンガ「べーしっ君」も、一応コンピューターやゲームに関連するネタをテーマとしていましたが、そんなテーマを感じさせないほどに恐るべき脱力感を伴っていた作品です。
擬音オチ&下ネタ
こんな感じで何故かべーしっ君とお父さんの関係性が、巨人の星の星飛雄馬と星一徹のような
熱血スポ根っぽい感じなのですが、やっているのはパソコンやゲームです。さらに下ネタも結構あります。そして、ほぼ毎回「すぽぽーん」「すてらのびこーん」といった斬新すぎる擬音で強引にオチをつけるというスタイルです。
こうしてあらためて読むと、当時の我々80年代パソコンキッズ達にとっては感涙モノの懐かし用語が満載です。いくつか解説を加えつつ紹介してみましょう。
なんてオチだ・・・
アーケードゲームやファミコンで大ヒットした往年の名作シューティングゲーム「ゼビウス」のボスキャラ、「アンドアジェネシス」をオチに持ってくるべーしっ君のお父さん。オチが無茶な時ほどべーしっ君の擬音が冴え渡ります。ちなみに当時のゼビウスの大ヒットを反映してか、結構ゼビウスネタが頻繁に出てきます。
擬音までゼビウスネタ
これなんかもゼビウスネタです。わかる人にはわかるはず。わからない人にはサッパリわからない。そう、それでいいのです。
べーしっ君の姉も結構ヤバい
これは「ザナドゥ」というパソコンゲームが元ネタ。ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーは誰でも知っていると思いますが、それ以前のパソコンゲームの世界ではRPGといえば「ザナドゥ」「ハイドライド」が金字塔でした。後に「ザナドゥ」をファミコン版に無理やり移植した「ファザナドゥ」というゲームがありましたが、これはものすごい黒歴史として語り継がれています。
伝説のエッチゲー、マカダム
べーしっ君親子は父子揃ってエッチなゲームが大好きです。こういう下ネタもOKなおおらかな時代だったんですよね。これは「天使たちの午後」などと並ぶ伝説のアダルトゲーム「マカダム」です。画面に出てくるセクシーなお姉さんを羽根やらムチやらの怪しいアイテムでコチョコチョするだけのゲームですが、当時としてはあまりに刺激的な内容でした。当時ガキンチョだったJ君も一度でいいからプレイしてみたかったのですが、さすがにハードル高すぎでした。ログインに掲載されている広告を眺めるだけで我慢したものです。
究極のコンピューターX68000
これは「X68000」というまだ目の付け所が良かった頃のシャープが発売したコンピューターで、アーケードゲームに勝るとも劣らないクオリティのゲームができるグラフィック能力を搭載しており、あらゆるパソコンキッズ達の羨望の的だったのです。いかんせん小坊中坊にはあまりにも高すぎる30万オーバーのお値段設定でしたのでJ君には全く縁がありませんでしたが・・・。
X68000といえば、今では「とくダネ!」でお馴染みの小倉さんが、その昔「パソコンサンデー」というシャープ提供のコンピューター番組をやっていました。ゲーセンと同じクオリティのグラディウスや源平討魔伝がご家庭でできてしまうX68000を毎回見せつけられて、羨ましくて悶絶していたのですが、それが元で今でも小倉さんの顔がトラウマです。
斬新な索引
話を小倉さんからべーしっ君に戻しますが、なんと、「べーしっ君」単行本の巻末には擬音別索引がついていました。いかに「べーしっ君」が擬音ありきの作品だったかを象徴していますね。
さらに、単行本では四コマではなく、べーしっ君が必殺技を放ったりする短編作品「血染めのジョイスティック」「四角いスタジアム」なども掲載されていますが、これは全然覚えてなかったなあ。
ファミコンロッキー的な「血染めのジョイスティック」
というわけで、懐かしの脱力IT系4コママンガ「べーしっ君」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?ただのおっさんの昔語りみたいになってしまいましたが、中には「昔ログインやファミ通で読んでたよ!また読んでみたくなった!」という方もいるかもしれません。そんな貴方に朗報!来る7月25日に「べーしっ君 完全版 」として単行本が復刻されるのです!なんということでしょう!!
え、タイミング良すぎる?ステマじゃないかって?違うんです。本当に偶然のタイミングなんです。マジで。この状況を擬音で表現すると「すてまのびこーん」て感じです。
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出典)
「べーしっ君」 荒井清和/アスキーコミックス/立東舎(リットーミュージック)