「男坂」最強の硬派マンガ by車田正美

最強の硬派マンガ「男坂」

週刊少年ジャンプの黄金期を支えた格闘マンガの至宝、車田正美先生。

先生の代表作といえば、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?

「リングにかけろ」ですか?それとも「風魔の小次郎」?いや、もしかして「聖闘士星矢」?

ノンノンノン違います。それは勉強不足。一度しか言いませんが、車田漫画の代表作といえば「男坂」しか有り得ないのです。

その証拠に、車田先生は「男坂」コミックス第一巻で以下のコメントを述べられています。

漫画屋にとって、「俺はこいつをかきたいために、漫画屋になったんだ!!」

という作品がある。デビュー以来十年有余、俺も今やっと、ガキの頃からかきたかった

作品を手がけている。その喜びでいっぱいだ。

燃えろ俺の右腕よ!そして、全ての試練をのりこえて、はばたけオレの「男坂」!!

いかがですか?車田先生ほどの漫画屋が十年も温めていた作品です。この際、漫画家と漫画屋の違いとか疑問に持たない事が大事。先生の熱き心を感じ取ってください。ちなみに、この作品、コミックスにして第三巻であえなく打ち切りになっています。その第三巻では、先生の無念さがコミックスに吐露されています。

構想十年と銘うってはじまった。この「男坂」だったのだが、どうも作者の思い入れとは

裏はらに、周囲の状況がそれを許さず、ついには未完のまま中断せざるをえないこと

になってしまった。しかし、読者の熱い支持が得られるならすぐにでも続編をかきたい

と思っている。この「男坂」が自分にとって、最後までかきつくしたい作品であることは、

いつまでも変わらないのだから・・・・。

先生、かなりへこんでいます。未だに続編が出てないところをみると、読者の熱い支持は無かったようです。羽ばたけず、さぞかし無念でしょう。これほどまでに車田先生が思い入れのある「男坂」という漫画の魅力を今回は取り上げてみたいと思います。

ストーリーは一言で言うと、九十九里の硬派少年、菊川仁義が拳一本、ケンカしまくりで、厨房 中学生の世界での日本征服。ひいては世界征服をもくろむロマン溢れる硬派なサクセスストーリィです。

廬山●龍覇じゃありません

まず車田漫画の基本はこのシーン。お約束です。

香港映画に必ずあるカンフーアクションと同じぐらいのお約束。

このアッパー気味のアングルこそ車田バイオレンスの真骨頂。

それから、近年問題になっている17歳の少年の凶行。これは「男坂」では全く甘ちゃんです。なぜなら、ここで死闘を繰り広げる少年達は13歳だからです。

マジビックリします。これが「ジャパニーズ・コウハ」の世界です。基本ですので、よく覚えておいてください。

それから、このマンガ まさか3巻で打ち切りとは想定していなかったらしくストーリー後半への前フリ&伏線が有りまくりです。このとても3巻分では処理しきれない強豪達をどうぞご覧下さい。

一巻の最初に出てくる。仁義に指一本も触れさせずボコボコにした、

「西日本のドン」こと武島将。星矢で言えば一輝。

仁義の生涯のライバルになる(はずだった

武島将にボコボコにされた仁義を最強のファイターに育てる師匠となる

謎のキャラ「喧嘩鬼」。星矢で言えば魔鈴さん。結局謎のまま

北海道を含む日本の北を支配する(中学生)神威剣

打ち切りにならなければ、氷河のような存在だったはずだが顔すら不明

JWC(ジュニアワールドコネクション)各国を仕切るの中坊のドン達。フケてます。打ち切りにならなければ黄金聖闘士の様な存在だったはず。しかし、ほぼ全員出番無し

全然話の脈絡もなく登場してきた自称「今世紀最後の天才」キボウ。明らかに毛色の違うキャラでどんな場面に出てくる予定だったのか想像もつきません。弱そうだし

これらのキャラが前フリたっぷりで紹介されたにもかかわらず、すべて無駄に終わりました。つーか全三巻、振り返ってみるとほとんど前フリのみのマンガです。

そしてラストの見開きページで「未完」の文字。先生のささやかな抵抗でしょうか。ベテラン漫画家にしては往生際が悪いと言えなくもないですが・・・

ジャンプ読者の熱い支持は得られないようでしたが、「週刊アスキー」読者のJ君は支持しています。・・・役不足でしょうか。でも聖闘士星矢で儲かったからどうでもよくなっちゃったかな?

どうなんでしょう?車田先生。

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