ゴローVS鳥取砂丘! 孤独のグルメ新作 「鳥取県鳥取市役所のスラーメン」

おやつすぎて物足りない!
5/8発売の週刊SPAに孤独のグルメの新作が掲載されました。昨年11月の下北沢ピザ編、そして今年1月から放映された松重豊さん主演の実写版ドラマを経ての新作となります。
ドラマ放映後で注目度が今まで以上に高まっている状況の中、今回はなんと谷口ジロー先生の故郷である鳥取が舞台となっております。
そしてその鳥取で今回ゴローちゃんがチョイスしたグルメはなんとラーメンとカレーです。なんという鳥取である必然性の無いチョイス・・・と思うなかれ、このラーメンとカレーこそが鳥取独自の進化を遂げる知られざるB級グルメであることを我々は今回知ることになるのです。
念のため孤独のグルメをご存じない方のために簡単に作品をご説明しておきますと、輸入雑貨屋社長の独身貴族のゴローちゃんこと、井之頭五郎が、定食屋とか居酒屋とかの庶民的なお店で飯を食べたり、ピザのサイズを自前のメジャーで測ったりするハードボイルドなグルメ作品です。全然説明になってない気がするので、詳しくはこちらやこちらをお読みください。
なんといっても今回は舞台が「鳥取」であることがなによりのポイントです。今までの孤独のグルメの舞台は基本的に都内および関東圏内で、それ以外のエリアでの話は非常に珍しいのです。今までの関東以外のエリアの話ですと大阪のたこ焼きや静岡の静岡おでん、あと特殊なのとして大阪行きの新幹線の中の話というのもありますが、本当にそれぐらい。あとは全て関東圏での話でした。
ちなみに大阪行きの新幹線の中の話といえば有名なセリフとして「ジェットのせいで歯車がズレたか・・・」がありますが、初出版はちょっと違うセリフでした。
隣の人は誰?
そんなトリビアをまじえつつ鳥取編のオープニングは壮大なる鳥取砂丘と対峙するゴローちゃんです。皆様もご存知の通り、鳥取といえば鳥取砂丘です。香川県がうどん県、滋賀県が琵琶湖県、そして鳥取県は砂丘県と呼ばれるほどに鳥取を代表する観光名所なのですが、隣にいる同行の人になにやら観光案内されているゴローちゃん。オープニングからいきなりゴローちゃん以外の誰かが登場するケースも珍しいのですが一体誰なんでしょうね?作品中には特に説明がないのですがもしかしたら谷口ジロー先生(鳥取出身)だったりして・・・。
実は伏線です
「なんといったっけあの写真家 砂丘の」「植田正治ですか?」
故・植田正治氏とは鳥取砂丘をテーマにした写真で有名な鳥取が生んだ巨匠です。さり気ないセリフですが、実はこのセリフは後のシーンの大いなる伏線となっています。
そして砂丘を登った後はやっぱり・・・
同意得られず
小腹が空いちゃいますよね!
隣の人(仮称)にはビックリするぐらい共感されてませんけど。
何をだよ!
「いや、ちょっと入れたいかなって」
でた!ゴロー用語。いろいろと省略しまくって完全にスラングと化してますが「腹に飯を入れたい」という意味です。孤独のグルメを読みこなしている人でないとサッパリわかりませんね。詳しくはこの辺をご覧ください。
目の付け所がシャープ
そんなわけで鳥取グルメタイムになるわけですが、隣の人(仮称)に紹介されたス(素)ラーメンなるものに食いつくゴローちゃん。なんと、うどんつゆの中にラーメンの麺をぶち込んだ物らしいです。鳥取にも松葉ガニとか大山鶏とか二十世紀梨とかいろいろ名産がある中で、あえてこれをチョイスするあたりがさすがゴローちゃん。なかなかの変わり者です。
市役所萌え
「市役所の食堂ってのも素っ気なくていい」
スラーメンを求めて立ち寄ったのが鳥取市役所の食堂。市役所の素っ気ない食堂にむしろテンションが上がっています。井之頭五郎という男はすでにグルメにおける侘び・寂びを完全に極めてます。もはや枯山水ゴローとかに改名していいレベル。
絶妙じゃなくて微妙
「並うどんより10円高くわかめうどんより10円安い」
スラーメンの料金にさり気ないツッコミ。別にうどんと比較しなくてもいいと思うんですが・・・そして出てきたスラーメン。
スラーメン
コショウや天かすをお好みで入れて味付け。具はほとんどなし。まさしく素のラーメンです。超シンプルですね。しかしうどんつゆにラーメンということでお味の方はどうなんでしょうか?
基本なんでもOK
「俺 何の問題もないな」
全く無問題の模様ですね!まあゴローちゃんの場合腹が減ってる時は大抵の食べ物が問題なしなわけですが。それに最近のラーメンはスープに魚粉を入れたりとおもいっきり和風テイストなラーメンが増えてますからあまり違和感ないのかもしれません。
しかし所詮は素ラーメン。ボリュームに難有りです。ましてや定食を一度に2つ注文することもある大食漢のゴローちゃんですから・・・
ラーメンはおやつに入りますか?
「おやつすぎて物足りない」
・・・というわけで今回も追加オーダーが入ります。ここでゴローちゃんの興味をひいたメニューとは・・・
値段が気になるゴロー
鳥取カレーです。
しかもまた値段に対してツッコミを入れてます。今回のゴローちゃんはまるでスーパーで買い物をする主婦のように値段に細かいですね。かつてコンビニでドカ買いして2000円近く支払った男と同一人物とは思えません。やはりリーマンショックの影響なのか・・・。
とまあ、そんなことはどうでもよくて鳥取カレーです。実は鳥取市はカレールウの消費量が全国一。ということで町おこしとしてご当地カレーである鳥取カレーに力を入れているのです。
では鳥取カレーの特徴とは一体何なのでしょうか?市役所のおばちゃんいわく・・・
エキスて・・・
「梨とらっきょうと蟹のエキスを入れてます」
だそうです。エキス・・・という部分に一抹の不安が隠し切れないゴローちゃんですが、さっそく実食です。そしてゴローちゃんの不安は的中してしまいました。
まあ、エキスだから・・・
「口の中でらっきょうの要素が全然見つからん」
だってエキスだから・・・
「梨はどう役だっているのかいないのか」
ていうかエキスだし・・・
「蟹、かすりもしないぞ」
らっきょうまで付け合せじゃなくてエキスなのが逆にすごい!!
それにしても恐るべしエキス・・・らっきょうも梨もカニもカレーの食感には全く影響しない模様。隠し味として完全に隠れちゃってるようです。うーん、これは残念。
美味しんぼならぬさびしんぼ状態
「なんだかちょっぴりさびしんぼ」
文字通り孤独なグルメには慣れているはずのゴローちゃんをここまでさびしんぼにさせるなんて・・・罪な奴だぜ鳥取カレー。せめて福神漬の隣辺りに砂丘の砂を添えるとかで鳥取アピールをしていただきたいものです(無理か)。
必然性があれば脱ぎます
さてここから壮大なラストへ突入するのですが、まず唐突にゴローちゃんのセクシーなシャワーシーンが披露されます。以前、神宮球場のウインナーカレーの話では半裸を披露していましたが今回はフルヌードです。必然性があれば脱ぐ男、井之頭五郎。さすがいい体をしている・・・マニアにはたまりませんね。ひょっとしてこのちょいエロ路線は花のズボラ飯の花ちゃんに対抗しているのでしょうか・・・。
ミステリアスなラスト
そしてラストシーンはゴローちゃんの夢の中。
鳥取砂丘に佇む子供時代のゴローちゃんと亡くなったお父さんというシーンなのですが、実はこれ、前述の植田正治作品のオマージュと思われます。オマージュにはどんな意味がこめられているのか、ゴローちゃんのお父さんが今後作品に出てくるのか、それとも全然関係がないのか・・・なんとも余韻の残るラストシーン。次回の新作は9月ぐらいに登場らしいのでその辺りもあわせて期待ですね!
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出典) 「孤独のグルメ」 扶桑社/久住昌之/谷口ジロー
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