マンガ版ウルトラマンは存在した!
最近どうも口調が水曜スペシャル調になっているJ君です。以前はタイのウルトラマンをご紹介しまして世間の度肝を抜き、青少年の心にトラウマまで残した実績のある当サイトでございますが、本日はマンガ版をご紹介します。
マンガ版のウルトラマンぐらいあるんじゃないの?別に珍しくないよ!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、マンガ版のウルトラマンは複数存在します。例えばかたおか徹治先生の「ウルトラ兄弟物語」などはウルトラ兄弟達が居酒屋で卓を囲んで酒を呑みながら「どうせおれはダメなウルトラ族さ!」などと愚痴を言う極めて衝撃的なシーンがあったりします。
ダメなウルトラ族・・・
加えて、人生に疲れた感じの帰ってきたウルトラマンが・・・
完全にアル中です
「ウイ~ッ」
一体、どの口で酒を呑んでるのか?
他にはこんな口論のシーンも
一族の危機
「ほっといてくれ!一人にしてくれ!」
ウルトラマンだって愚痴りたい夜ぐらいある・・・
とまあ、それはさておき、比較的怪獣と勇猛果敢に戦うパワフルなイメージが先行するウルトラマンですが、その中で、ウルトラマンの本来持つ「怖さ」をクローズアップしたものはあまりお目にかかったことがないのではないでしょうか?今回ご紹介するウルトラマンは怪奇マンガの元祖、楳図かずお先生によるウルトラマン。あの「まことちゃん」「14歳」でおなじみ楳図先生がなんとウルトラマンを描いていたのです!まずは第一巻のこの世の終わりを予兆させるシーンからご覧ください。
説得力ありすぎ
・・・・なんて恐ろしい。
この絵柄・・・子供達のヒーロー、ウルトラマンの絵柄としては十分すぎる違和感ですね。そう、マンガ版ウルトラマンはウルトラマンである前に楳図マンガだったのであります。
楳図マンガの様式美としてはキャラの描き分けの妙があります。キャラ設定によって、美形キャラとギャグキャラを巧みに使い分けています。ウルトラマンの作中でも主人公のハヤタ隊員と、お騒がせキャラのイデ隊員の扱いの格差は顔を見れば明らかです。
右:ハヤタ隊員・中央:イデ隊員
さらにウルトラマン自身も完全に独自路線を行っております。
いいツヤしてます
まるで剥きたてのゆで玉子のようにつるつるお肌のウルトラマン。それが、楳図クオリティ。また、実写版では絶対再現できないウルトラマンの「冷汗」の描写まで細かく表現。
焦ってます
ウルトラマンって汗かくんですね!(酒も呑むし)
また楳図版のオリジナル技と思われる謎の怪光線も強烈です。ウルトラマンのオフシャルな必殺技は、スペシウム光線をはじめとし、八つ裂き光輪、アタック光線などが存在しますがそのどれとも違います。
手裏剣のように投げます
効いてるのか・・・?
J君はこれを「輪投げビーム」と呼ぶことにしました。
怪獣だって当然楳図クオリティです。
すごい迫力
このように、抜群の怖さで登場します。
また、ウルトラマンに出て来る中で最もメジャーな宇宙人といえばご存知、宇宙忍者バルタン星人ですが、これも楳図先生が描けばご覧のとおりです。
怖すぎる・・・
もはや妖怪ですね。
キモ過ぎる・・・
さらに羽を生やして羽ばたくバルタン星人。怖いです。怖すぎ。壁に這っていたゴキブリにスプレーをかけると、いきなり羽ばたいて襲ってくるあの恐怖に通じるものがあります。というか、J君の記憶ではバルタン星人って羽根なんか生えてないはずなのですが。勝手に進化している楳図版。怖ければなんだっていいんです。
なぜこんなにまでTV版のウルトラマンとかけ離れているのか?これにはどうやら深い事情があったようです。コミックスの巻末には、楳図先生のこのような思い出話が掲載されていました。
マガジンでやろうということになったのも急に決まったことですし、テレビ撮影の方もかなりタイトなスケジュールだったんでしょうね。事前に資料なんかほとんどもらえなかったんです。(中略)怪獣なんかもただ簡単な設計図みたいなものがあるだけで、ディテールまでは描いてないんです。あとは僕の想像で描くしかない。
なるほど、苦労されていたのですね・・・・
文字通り、楳図先生の頭の中で「空想特撮シリーズ」となっていたマンガ版ウルトラマン。いかがだったでしょうか?本当のウルトラマンは「怖い」のです。
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参考) マンガ版ウルトラマンレビュー → ■■
出典) 「ウルトラ兄弟物語1」 双葉社/かたおか徹治
「ウルトラマン/怪すい星ツイフォン」 講談社/楳図かずお
「ウルトラマン1」 サンコミックス/楳図かずお
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