大きくなって、とても硬いのよ!
・・・ええと、上記はプルガサリのヒロイン、アミのセリフの抜粋です。つまり、プルガサリは鉄ばっかり食べているので鉄のようにカチンコチンだと言いたいのです。テキストの出だしがだんだんスポーツ新聞の見出しのようになってきましたが、気にしないで下さい。そのうち「プレスリーは生きていた!」とか書くかもしれません(書きません)。
そんなわけで金日成勲章にも輝く北朝鮮史上最強の特撮映画、「プルガサリ 伝説の大怪獣」レビュー後編です。前編はこちら。
金日成のお墨付き
このプルガサリという作品、ゴジラなどの怪獣特撮映画と大きく違う点があります。それは時代背景。ゴジラについていえば、人間達は戦闘機やミサイルや戦車などの近代兵器で戦います。しかしプルガサリの時代背景は高麗朝。槍と刀と火縄銃がメインの時代。大怪獣と戦うにはあまりにも過酷な状況なのです。
すなわち本作品は人類の叡智をかけて大怪獣に挑む感動のヒューマンドラマでもあったのです。そういった観点で見ると、本作品の味わいがグッと増してくるというものです。え、J君ですか?J君はそうでもなかったですけども。
さて、プルガサリの前編は皆様に大変な反響をいただいているのですが、みんなこぞって、プルサガリとかプルガザリとかブルガサリとか、いうじゃない?正しくはプルガサリですから!間違えると●致られますから!残念! (※誘致です)
実は前編のテキストでJ君自身も何ヶ所か間違えていて指摘されたんですけども、人は間違えて成長して行くものです。(開き直り)
朝廷の圧政により苦しめられている農民の怒りを背負い、飯粒から作られた正義の怪獣プルガサリ。前編ではなんとプルガサリが、宿敵ファン将軍の卑劣なワナにより、巨大な檻に閉じこめられ、火あぶりにされてしまいました。プルガサリ大ピンチ!果たして巨大な焼きおにぎりになってしまうのでしょうか?(飯粒だけに)
プルガサリ大ピンチ!
焼け落ちる巨大檻。そして、大爆発。焼け跡に残るのは?
赤っ!
でーたー!
怖っ!
赤い!超赤い!すごく怖い!
そうです、プルガサリは鉄を主食にして成長してきたため、体は鎧のようにカチンコチンなのです。しかも鉄ですから、高熱で真っ赤です。こんな赤い怪獣見たことありません。またひとつJ君にトラウマが増えてしまいました。
我先に逃げる兵
勝利を確信していたファン将軍達も当然度肝を抜かれます。我先にと、船で逃亡を図る兵達。しかし、そこで悲劇が起こりました。高熱→熱い→水で冷やしたい プルガサリは当然本能的に近くの川に飛び込みます。
川へ飛び込みます
ドバァ!
熱湯地獄
ギャアー!!熱い!
一瞬にして川が沸騰。船で逃げようとした兵士達はチゲ鍋状態。
またしてもプルガサリによって敗北を喫したファン将軍。しかし、将軍のプライドにかけて農民軍などには負けを認められません。懲りずに起死回生のプルガサリ対策を計画します。名付けて「落とし穴作戦」。
頑張れファン将軍
プルサガリを擁し、ますます勢いづいて進軍する農民軍を適度に攻撃し、プルガサリを落とし穴におびき寄せます。
プルガサリは絶好調。用意されている巨大なセットをガシガシぶっ壊します。大阪城を破壊するゴモラに勝るとも劣らない迫力。この辺はゴジラ譲り。まさに怪獣映画の醍醐味と言えましょう。
ゴージャスなセット
ついに落とし穴が完成。あとはプルガサリがうまく落ちてくれるかどうかが問題です。そこで、ファン将軍は一計を案じました。なんと、霊媒師を呼び寄せ、プルガサリに宿った鍛冶屋の霊魂を成仏させてしまおうというのです。確かにプルガサリの作り主である鍛冶屋の霊魂さえ追い払えばあとは骨抜き・・・・しかしなんて非科学的な。果たしてそんなにうまくいくんでしょうか?
すごい霊媒師
さっそく霊媒師がプルガサリに祈りを捧げ始めました。なんていうかこの霊媒師・・・すごい迫力です。細木センセイをも凌ぐパワーを感じます。
ぬか喜び組
さらに後ろで踊る喜び組を熟成させたような踊り子達もすごい迫力。喜び組っていうか、ぬか喜び組とでもいえばいいのか・・・。いずれにしてもさすが本場ですね。
するとプルガサリが苦しみ出しました。
苦しんでる・・
効くんだ!?霊媒!
そして、落とし穴へ落ちてしまうプルガサリ。さらに上から岩で埋められてしまいました。ついにプルガサリもお終いです。ミサイルも戦車も使わず人類の叡智が大怪獣に勝利した瞬間です。
埋められました
プルガサリを失った農民軍は一気に弱体化。農民軍のリーダーのインデもついに捕まってしまいます。朝廷軍の完全征圧は目前となりました。ああ、やはりこの世に正義はないのでしょうか?
絶体絶命の状況で、ついに農民軍のヒロイン、アミが決死の行動に出ます。その行動とは、踊り子に変装して敵陣に潜入するというものです。実に鮮やかな手口。さすが本場です!あ、本場というのは踊り子のことで、工作員のことではありません。
変装して潜入
そして、踊り子に扮したアミは敵兵達に酒を振る舞いつつ、油断している間に、プルガサリが埋まっている落とし穴に接近。自分の手首を切り、血をプルガサリに振りかけます。すると・・・・
ピカー!
復活しやがった!
プルガサリは生きていたのです。アミの血を受けて、再び暴走するプルガサリ。またしても朝廷軍が大ピンチ!再三に渡る大怪獣の復活に、ついに陛下も絶望の淵に立たされました。
しかし・・・まだだ、まだ終わらんよ!ルパンといえば銭形警部、山岡士郎には海原雄山、そしてプルガサリといえばファン将軍。永遠のライバル、ファン将軍がまだ健在でした。(失敗しまくってるけど)
頑張れ・・・
ファン将軍は、なんと国で一番の武器職人に最強兵器を急いで作らせていたのです。そしてその最強兵器の名は・・・
紹介しましょう
獅子砲
獅子砲と
将軍砲
将軍砲です・・・・
そして、お宝画像。獅子砲と将軍砲のツーショットです!
・・・・なんでしょうか急いで作ったわりにこの凝った装飾は。余裕がないんだかあるんだか分かりません。とくに将軍砲。さすが将軍様マンセーの本場です。
この両方の新兵器、最強というだけあって、山を一撃で灰にするという攻撃力がウリです。見て下さいこのド迫力。
そこから出るんだ・・
・・・これなら陛下もご満悦ですね。
ただし、この新兵器、たったひとつ欠点があったのです。それは・・・・
跳ね返します
プルガサリに全然効かないことです。
っていうか全然ダメじゃん!
そんなワケで、もうプルガサリを止めることは誰にもできません。陛下のいる城を破壊し尽くし、とうとう朝廷をぶっ潰してしまいました。飯粒で作られた人形に滅ぼされる国・・・・歴史的に見てもあまりないケースですよね?
城を大破壊
農民軍を勝利に導いたプルガサリ、しかし・・・この後、プルガサリに悲劇が起こります。とどまるところを知らないプルガサリの食欲に対し、農民達がプルガサリに与えられる鉄はもうありません。ヒーローが一転、次第に民衆の邪魔者になり居場所がなくなるプルガサリ。そしてストーリーはとても悲しいラストを迎えます。
そして・・・・とっても泣けるラストは是非ともご自身の目でお確かめ下さい。
というわけで、幻の北朝鮮映画「プルガサリ 伝説の大怪獣」いかがだったでしょうか?北朝鮮メイドの映画と侮るなかれ、ストーリー、特撮共に怪獣映画ファンには十分に満足できるクオリティを持っている映画ではないかと思います。しかし・・・J君的にはハヌマーンに続いてまたひとつトラウマが増えてしまいました。
ここだけの話、あの赤いプルガサリは夢に出ます・・・(泣)。
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参考) Amazon → ■ レビュー → ■ ■ ■
北朝鮮版力道山物語
大怪獣ヨンガリ(韓国映画)
出典) 「プルガサリ 伝説の大怪獣」
ジェネオンエンタテインメント