レース鳩0777(アラシ)

カリスマ伝書鳩バトルマンガ 「レース鳩0777(アラシ)」

男のロマン・・・伝書鳩(でんしょばと)

こんにちは、J君です。ゲーム・アニメ・プラモ・鉄道・切手・そしてAV鑑賞等々、男達が余暇を嗜むために許された趣味は実に多彩かつディープなわけですが、そんな中でもとりわけ熱く激しい男達の趣味の世界があります。それが伝書鳩レース・・・すなわちレース鳩の世界です。

最近では話題にのぼることがあまりないレース鳩の世界ですが、飼い主が己の魂を込めて愛鳩を鍛え上げ、その極限にまで高められた帰巣本能をもって「どいつが一番速く、タフなのか」を決着させるという極めて男らしい世界です。なんと、このレース鳩の世界を漫画化し全国に一大「レース鳩ブーム」を巻き起こしたという、鳩のカリスマ新沼謙治もビックリのマンガが存在しました。それが本日ご紹介する「レース鳩0777(アラシ)」です。

この「レース鳩0777(アラシ)」は「60億のシラミ」「ぼくの動物園日記」などを手がけている動物マンガの巨匠、飯森広一先生の代表作。ちなみに「60億のシラミ」は、地球に再び氷河期が迫って天変地異が起こりまくり、妊婦がいきなり九つ子を生んだり、象がマンモスを生んだりというブッ飛んだ展開のマンガですが・・・それはまた別の機会に。早速「レース鳩0777(アラシ)」のご紹介をしてまいりましょう。

ストーリーは中学生の主人公、森山次郎のもとに一羽の伝書鳩が落ちてくるところからはじまります。次郎は落ちてきた鳩を懸命に看病し、ようやっと回復した頃、この伝書鳩の持ち主、黒田氏が現れます。

奥の深い鳩道

実はこの伝書鳩は鳩界(きゅうかい)が誇るレース鳩のカリスマ 「グレート・ピジョン号」だったのです。

結局「グレート・ピジョン」は返したものの、鳩を看病しているうちに鳩の世界にすっかりハマってしまった次郎は、黒田氏に看病のお礼として「グレート・ピジョン」の子供を譲り受けます。次郎はド素人ながら、ラッキーにもサラブレットの血を引くすごい潜在能力を持ったレース鳩をゲットしたのでした。

この次郎の鳩はたまたまレース鳩協会の登録番号が0777番だったことと、花札(オイチョカブ)の役でゾロ目がそろったものを「アラシ」と呼ぶところから「0777(アラシ)」と名付けることになります。っていうかオイチョカブて。おおよそ少年マンガらしくない発想がナイスですね。

0777でアラシです

ちなみにこのマンガでは、ほかの鳩も「1720(イナズマ)」「0108(ビャクヤ)」などと通し番号=鳩のニックネームでカッチョよく表現しています。確かに一見カッコよさげですが、よく考えると日本史の年号語呂合わせと大差ない気がしないでもありません。

次郎が登録したレース鳩協会には同世代の愛鳩家のライバル達がゴロゴロいます。そして、レース前にライバル鳩たちのスペックが紹介されたりしてレースを盛り上げます。やっぱり少年マンガの醍醐味はバトルであって、こういうお膳立てがあると、鳩であろうが超人であろうが否が応でも盛り上がるというものです。

鳩のスペック表示

つまり、キン肉マンでは「バッファローマン・正義超人・1000万パワー」。頭文字Dだと「高橋啓介・RX-7(FD)・350馬力」などと表現してる所をこのマンガでは「グレートピジョン号・75-0666・♂・黒田鳩舎 作翔(さくしょう)」などと表現してるってわけですね。根本的にマニアックさのレベルが段違いな気もしますが言いたいことは一緒です。

過酷なレース

鳩レースは、雨風だけでなく鷹やワシに襲われたり、猟銃で撃たれたりするリスクをかいくぐった鳩だけが生きて帰ってこれるという超過酷なレースです。もちろん飼い主だって命がけ。鳩の飼い主達も一緒になって鳩と闘う熱き血潮を持ったヤツらばかりなのです。たとえ歩けないぐらいの重症でも暴風雨の中、松葉杖をついて鳩を探しに行くという気合の入りっぷり。彼らは鳩のためなら己の命を投げ出しでも構わないと考えているのです。


飼い主も命張ってます

そんな男達の命とプライドをかけたレース鳩の世界ですから、不正をするヤツなどもってのほか。神聖なる鳩レースを冒涜するインチキ野郎には怒りの鉄拳「愛鳩家パンチ」が炸裂します。

愛鳩家パンチ

不正はダメ!絶対!

「いいか、本当の愛鳩家とは・・・本当の愛鳩家とは・・・!」

怒りのあまり、絶句して言葉が出てこない次郎。・・・皆さんも殴られたくなければレース鳩でインチキはやめましょうね

また、このマンガで面白いところは、飼い主には分からないように鳩達の心理描写がセリフで擬人化されているところです。いわゆる「流れ星・銀」方式とでもいいましょうか。しかも、飼い主に対して・・・

暴言吐きまくり

「くそっ、うるさいやつだ。そろそろ戻ってやるか。」

鳩のクセに結構毒舌みたいです。

当然ながら本作品を読んでいる人の大半は、鳩に興味のない普通の読者達ですから、このマニアックな世界に一般読者を引き込むために多くの専門用語の解説が織り込まれています。その結果、作品を読み進むうちに「短距離に強い鳩は筋肉が固いので長距離に弱いんだ!」とか、「ハヤブサは普段60キロの速度で飛んでいて鳩を油断させておいていきなり280キロで急降下して鳩を襲うんだ!」とか「ピジョンタイマー(レース鳩のタイムを計る機械)はスイス製のSTBスペシャルが最高なんだ!」などといった、普段使いどころのない珠玉の鳩トリビアを自然と覚えてしまっている自分に気付かされます。


しらんがな

そんな感じで熱い鳩バトルが繰り広げられるのですが、最終巻では1100キロという超長距離レース中の鳩たちに超大型台風が直撃するという悲劇が待ち構えています。

鳩大ピンチ

それまでに切磋琢磨しながら活躍してきたアラシのライバル鳩達(キャプテン翼でいうところの岬君・日向君・若林君クラスに相当)が巨大台風に飲まれ次々と死んでいき、飼い主達も絶望のドン底へ・・・というダウナー系の展開で、レース鳩の世界の厳しい現実をまざまざと見せつけてくれます。

ガルマじゃありません

「は・・・鳩たちに栄光あれ・・・」

もちろんジオン軍の人ではありません。

レース鳩が全滅寸前の中、果たして次郎とアラシの運命は・・・。衝撃のラストは是非とも作品を読んで確認していただきたいと思います。

殺伐とした展開

というわけで、鳩と飼い主の熱すぎる絆を描いた「レース鳩0777(アラシ)」いかがだったでしょうか?本作品を読んで「俺の求めてたものはこれなんだ!」「震えるぞ鳩(ハート)!燃え尽きるほどヒート!!」とばかりにレース鳩の世界に目覚める勇者達が生まれてくれることをJ君は心より期待しております。いかんせんお金持ちじゃないと金がもたないらしいので、J君には無理なんですけど。

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出典) 「レース鳩0777(アラシ)」 秋田書店/飯森広一

参考)Amazon → 

レビュー →     レース鳩事情今昔

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