格闘技二代目祭り 「ネオ格闘王伝説 Jr.Wars」

次世代セレブウォーズの宴が今はじまる・・・。
こんにちはJ君です。人間というものは己が叶えられなかった願望を息子や娘に託したりする生き物ですよね。二代目に託す夢・・・息子の代はせめてモテて欲しいとか・・・ああ、それはJ君の愚痴でしたか。ほっといてください。
そういう話ではなく、今回ご紹介するのは猪木が、前田が、タイソンが、そしてモハメド・アリが・・・彼等の代では叶わなかった往年の格闘王達の夢の対決を、息子(ジュニア)の代で実現してしまおうという格闘技ファンの脳内妄想が大暴発したようなマンガ、その名も「ネオ格闘王伝説 Jr.Wars(ジュニアウォーズ)」であります。
さて、そんな格闘技界のサラブレッド達の闘いを早速ご紹介してまいりましょう。時は2008年。プロ野球の世界ではかのミスタープロ野球の息子、長嶋一茂がスワローズの不動の四番打者として君臨し、対する巨人軍を率いるのは江川監督。
野球より空手好き
野球よりワインが好き
・・・いきなり僕らの知らないパラレルワールドの未来が広がっているので唖然とするわけですが、無理もありません。この作品は今から15年以上も前の作品。当時はきっとそういう未来が待っていると予想していたのでしょう。それにしたって一茂の不動の四番に江川監督はないだろと思うわけですが、作者の勘の悪さを責めてもしようがありませんので話を続けたいと思います。
そんな2008年、格闘技の世界でも一人のジュニアが王者に君臨していました。その名も前田日光(ヒカル)。かつて新格闘王と称されたレスラーを父に、そして映画女優を母に持つ、NUWF(ネオUWF)の若き総帥です。
映画女優・・・誰?
そして、そんな新格闘王のジュニアにライバル心を燃やし、前田日光と闘うために単身ブラジルから日本に乗り込んだ男がいました。それがこの作品の主人公、「燃える闘魂の忘れ形見」です。
むしろ高知東生似
・・・ってお前達、結局誰の息子なんだ!?
とにかくこの作品、アントニオ猪木と前田日明の2人の闘技界のカリスマが、息子の代で夢の直接対決というのをコンセプトにしているのですが、徹底的に実名が出てきません。たぶん実名を出すと怒られるからなのでしょうが、読んでる方は非常にもどかしい。・・・でも、それがやがて快感に変わって・・(変わりません)。とにかくそんなマンガです。
それではまず、主人公である「燃える闘魂の忘れ形見」が亡き父親の銅像の前で涙するシーンをご覧ください。
すごい銅像です
「我が父よ・・・」
銅像の前で叫ぶ主人公。っていうか像の名前が「闘魂之像」て。「どう見ても猪木だろ!」と100人中100人がツッコミを入れたくなる壮絶なシーンです。あと2008年時点で勝手に亡きものにされてるところもポインツですね。実名が出せない理由がうっすらと分かりかけてきました。しかも次のシーンでこの「燃える闘魂の忘れ形見」がとんでもないセリフを吐いてくれます。
一国の総裁・・・マジで?
「この国の政治的危機を一国の総裁となって救いもした!」
一国の総裁・・・・・?もしかして猪木首相!?(与党がスポーツ平和党)。しかも猪木首相が政治的危機を救った!?・・・それはさぞかしすごい危機だったことでしょうね。(消費税に延髄斬りとか)
それにしてもこの主人公、燃える闘魂の息子だといってるわりには顔が全然似ていないため、全然説得力がありません。あるいは単に息子を騙っているだけとも考えられます。単に作者の画力の問題ではないか?という説はこのマンガではタブーです。
ジュニアだらけです
さらに、この主人公(たぶん猪木ジュニア)は、次回モハメド・アリJrとマイク・タイソンJrの勝者と闘うことになりインタビューされている前田日光に殴り込みをかけます。っていうか外人は実名出しまくりなんですね。外人なら実名出してもバレないだろうという発想なんでしょうか。
急に来たので・・・
インタビュー中の控え室に急に見知らぬ若者が来たので、前田日光はW杯の柳沢並みにビックリしています。そこで満を持して名前を名乗る主人公
偽名にする理由が不明
「俺の名は、そう・・・獅子王 寛とでも名乗っておこうか」
「とでも」って。偽名かよ!ますますインチキ臭い猪木Jr.ですが、いきなり前田に対戦要求します。何もかもがムチャクチャですね。元気があれば何でもできるってのは本当でした。
しかし、一見無謀なこの主人公の行動を見て、前田の横に座っていた老人がいきなり騒ぎはじめます。その老人こそかの有名な、
ゴッチ先生
ゴッチ先生です。
そう、あのジャーマンスープレックスを生み出し、アントニオ猪木をはじめ多くの日本人レスラーの師匠でもあるカール・ゴッチ先生が、NUWFの最高顧問として座っていたのです。けっして北斗の拳の種モミじいさんではありませんのでお間違えなきよう。
カタコトです
「ウオオ コノ男ノ目ッ!モシヤオ前ハ・・・!!」
褒め称えすぎ
「さすがゴッチさん、お察しのとおり・・・俺はあの英雄!プロレスに命をかけこの世を去った燃える闘魂の息子です!」
・・・表現がまわりくどすぎますね。
そんなこんなで、顔は全然似てないわ、名前は獅子王だわで胡散臭い事この上ないのに、ゴッチ老人のカタコトな日本語によりめでたく「猪木Jr.」の本物認定を受けた主人公。さらに、モハメド・アリJr.とマイク・タイソンJr.の勝者と闘って勝つことができたら前田に挑戦できるという約束まで取り付けます。相手に断りなしに勝手にそんな変更していいものなんでしょうか?元気があれば何でも(以下略)
対戦が決まり、トレーニングをするためにかつて父が使っていたという道場に向かう獅子王。なんと、その道場は
新日プロ所有?
漫☆画太郎先生が描きそうなオンボロ小屋になってました。しかし、意外なことに道場の中はピカピカ。そこには、モップで掃除をしている爺さんが・・・
モップ爺さん
こ、この人は!まさか・・・
あなたは社長では?
どう見てもドラゴン藤波です。本当にありがとうございました。っていうかなんで掃除のおじさんになってるんでしょうか・・・彼に一体何があったんでしょうか?
その後、主人公がタイソンJr.と闘ったり、
勝手に実名で登場
その試合をタイガー・ジェット・シン(実名)が見に来てきたりしている間に、前田日光の方はなぜか獅子王に促されブラジルに行くことになります。そこにはなんと・・・!
失踪した格闘王
15年前に失踪したはずの新格闘王がいました。っていうか、これ絶対アレですよね。あの人。前田日・・・それにしてもなんでブラジルにいるんでしょうか。
この失踪した新格闘王から息子に衝撃の事実が語られます。なんと、新格闘王(たぶん前田日明)と燃える闘魂(たぶんアントニオ猪木)の二人のカリスマは、数人の立会人の前だけでコッソリと決着戦を行っていたというのです。
力道山の遺影まで・・・
この試合の立会人の皆様。ご存知の方ばかりですね。誰とはいいませんが。
ッシャア!
そして4時間あまりの死闘の末、闘いは衝撃のラストを迎えます。
なんか様子がおかしい
「前田よ・・・俺はもう立ち上がるのが精一杯だ・・・」
ええ~!!
「舌を・・・噛み切ったァ・・・ッ!!」
なんと、試合に勝てそうにないと悟った燃える闘魂が舌を噛んで自殺。格闘技史上最もナンセンスな最期です。そりゃ実名も出せないわけです。
なぜか感動のシーン(医者呼べよ)
そして、燃え尽きた闘魂の姿に感動で涙してる立会人達。いや、そこ感動するところじゃないから。負けそうになったら自殺て、ある意味超卑怯だから!!
そんな衝撃のエピソードの後、ラストシーンでは、闘魂プロレスのルーツを知った獅子王と前田日光の若き格闘家の二人が対決するシーンで締めくくられますが、正直猪木が舌を噛みきったシーンが衝撃的すぎるので、ジュニアの闘いはもはやどうでもいい感じです。というか刑事事件ですよ、これは。
というわけで、格闘技ファン達の夢を具現化したプロレス妄想ファンタジー、「ネオ格闘王伝説 Jr.Wars(ジュニアウォーズ)」いかがだったでしょうか?そもそも猪木と前田とタイソンとアリに同世代の息子がいるという設定の時点で相当無茶している気がしますが、そんな無茶ができるからこそマンガだとも言えましょう。そんな素敵なマンガの栄光と繁栄をいつまでも・・・そう、猪木首相ならきっとやってくれるはず!
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出典) 「ネオ格闘王伝説 Jr.WARS(ジュニアウォーズ)」 秋田書店/上川端通