「大東京ビンボー生活マニュアル」に学ぶ極貧グルメ術

「大東京ビンボー生活マニュアル」に学ぶ極貧グルメ術

「NO MUSIC NO LIFE」は甘え。

こんにちは、J君です。最近のJ君は不況のあおりを受けてじわじわとお金がなくなってまいりまして、最近は霞を食って生活する毎日です。

・・・さすがに仙人じゃないのでそれは嘘なんですが、節約を余儀なくされているのは事実。でも最低限の贅沢はしたい。貧しくても女の子は誰でもプリンセス。きっと皆さんもそんな思いがあるのではないかと思います。というわけで今回は貧乏生活者のバイブル「大東京ビンボー生活マニュアル」 から楽しく貧乏生活を送るためのノウハウを学んでいきたいと思います。


「大東京ビンボー生活マニュアル」 は1988年から1989年までモーニングで連載された作品で、大まかにいうと主人公のコースケが、東京で貧乏ならではのドケチ術を駆使しながら貧乏生活をエンジョイするというエッセイ風のマンガです。特にオチもなく普段の生活を淡々と描くマンガという意味では孤独のグルメ僕の小規模な生活あたりと通じる物があるのですが、とにかく一貫して「貧乏」がコンセプトになっています。

早速、充実の貧乏ライフをご紹介してまいりましょう。

まず基本生活編です。

 

電話帳がまな板がわり

 

例えば頂き物のヨウカンを切る時、コースケはどうするか?まな板、包丁は持ってないので代わりに電話帳と十徳ナイフで代用します。しかも電話帳はアパート隣人からの貰い物という徹底したローコストぶり。

 


エコ過ぎるドライヤー

 

風呂上がりの髪もドライヤーなどといった贅沢品は使いません。電気代も勿体ないですよね。なので外出ついでに地下鉄のホームの風で乾かします。多少生乾きでも気にしないのが不況時代の男の生き様です。

続いてファッション編です。

 

男は黙って白T

 

コースケは白のTシャツばかり20枚も持っており、夏場はいつも白T。白Tといえば全盛期の吉田栄作。まあ栄作の白Tのことはおいといて、なんといっても白Tのメリットはそのシンプルさ。はじめっから白いTシャツしかないので今日は何を着ていくとか全く悩む必要がありません。実にシンプルですね。貧乏を前にTPOという概念は無に等しいのです。これこそがまさに不況時代を生きる男の最先端カジュアルではないでしょうか。

次に娯楽編です。コースケは当然のように部屋に、TVもCDもありませんから音楽が聴きたくなったら最新ヒットチャートはアパートの下の部屋から漏れ聞こえる曲でエアチェックです。

 


本当の意味でエアチェック

 

・・・もしそれ以上のサウンドを求めるのであれば周囲のノイズから音を拾って音楽だと思いこめばよいのです。妄想と幻聴をフル活用。これこそ究極のエコサウンドですね。世間には「NO MUSIC NO LIFE」とかいってる輩がいますが、貧乏人に言わせればそれは甘えであるといっても過言ではありません。

 


どんな音も音楽になる

 

さらに皆さんにオススメしたい、金がないときの究極の娯楽をご紹介しましょう。天井の木目を一日中眺めている。これで一日が潰せるのです。

 


0円でできる娯楽です

 

このように木目をずっと見ていると動物や食べ物などに見えてくるのです。心霊写真などと同じ原理ですね。

 

ただ天井を見てるだけ

 

ちなみに第42話は本当にコースケが一日中天井の木目を眺めているだけという話でした。オチも何にもなし。これがテレビだったら放送事故になっているところです。

・・・と、このように、オードリー春日もビックリの貧乏人のためのケチくさいライフハックが満載なのですが、これだけだったらタダのドケチの話です。しかし主人公コースケは本当に金を持っていません。大体いつも数十円とか、多くても数百円ぐらいしかポケットに入っていないのです。いい大人のくせに所持金が小学生のお小遣いレベル

最も象徴的なのがこのエピソードです。

 

小学生かよ

 

70円のたい焼きを買おうとしたらポケットに53円しかなかったコースケ。

 

営業妨害レベル

 

そして、その横にはやはりたい焼きを食いたそうにしているオッサンがいました。

しかしオッサンの手持ちは20円しかないのでシッポだけ売ってくれなどと交渉しています。

 


50円と20円の出会い

 

そこでコースケは二人の共同出資で仲良くたい焼きをシェアしようと提案します。

いい大人が二人で70円のたい焼きを共同購入ですよ。一杯のかけそばを軽々と超えていく貧困ぶりですね。

次なるエピソードをご紹介しましょう。コースケが母校の大学の学食でランチを食べているシーンです。まあ、懐かしさに駆られて母校の学食で食べるという人はいるとは思うのですが、卒業生のくせにコースケが頼むメニューは学生以下のレベルでした。

 


しらすおろしがメイン

 

しらすおろし、ごはん、味噌汁・・・しめて210円なり。

確かに安上がりだけど・・・なんか病院で出てきそうなメニューですね。

 

同窓生山下登場

 

と、そこに大学時代の同窓生の山下が登場します。現在サラリーマンのはず彼が注文したメニューはなんとその上を行ってました。

 

究極の貧乏定食
ごはん、味噌汁・・・しめて150円

 

これ以上はもう削れないという究極の定食です。こいつらは二人して貧乏飯のチキンレースでもやっているんでしょうか。なんかよく考えると、コースケも相当貧乏なのですが周りにそれをしのぐ逸材がゴロゴロいるのが脅威です。

さらに貧乏グルメの世界をもっとディープに掘り下げていきましょう。貧乏が極まってくると独自の貧乏レシピが開発されていく傾向にありますよね。

 


貧乏食の基本

 

パンの耳生活やマヨネーズご飯などなど・・・

この辺はまあ・・・お金が無いときのメニューとしてはポピュラーといえばポピュラーです。J君もやったことがあります。しかし、だんだんとメニューの創作度がアップしてきます。

 

これは美味そう

 

食パン+ピーナッツバター+輪切りバナナ=バナナサンド

 


独創的すぎ

 

福神漬けのせタマゴめし

こ・・・これは。福神漬けと生卵は組み合わせとしてなかなかありえない気がするのですが・・・食材がそれしかない以上、とりあえず組み合わせてみるのが貧乏レシピの宿命です。その後、美味しくいただけるかどうかは味ではなく、本人のモチベーション次第なのです。

日本人ならみんな大好き牛丼も、貧乏を極める者だけに許されたスペシャルな食べ方があるようです。もちろんコースケにとっては牛丼もごちそうですので、牛丼を食べるのは牛丼半額の日が基本です。そんなスペシャルなご馳走を牛丼を二倍楽しむ方法を今からご紹介します。

 

具のみ食べます

 

まず上に載っている牛肉をツマミにビールを一杯。そう、牛丼の牛肉部分は最高の酒の肴なのです。おいおい、そんなことしたらご飯だけになっちゃうじゃないか!と誰しもが思いますよね。そこで、牛丼屋につき物のアレをフル活用します。

 

紅しょうがはタダだからね・・・

 

そう、紅しょうが!

紅しょうがをご飯に目一杯のせます。ここまではまあ予想通りです。しかしその後がすごい。

 

ひつまぶしみたい

 

・・・お茶を投入。

そう、紅しょうが茶漬けにするのです。これが今一番クールな牛丼の食べ方です。

 


普通に食った方が美味そう・・・

 

いわゆるひつまぶし的な発想ですね。これなら確かに2回食べてるようなお得感を味わえます。しかし、いくら無料とはいえ、まさかお茶まで使い切るとは。その発想に感服しました。

J君も牛丼屋には結構行ってる方ですが・・・生まれてこの方、牛丼屋でお茶漬けを食べている人は見たことがありませんけど・・・。

その他にもチップスターとインスタント味噌汁で擬似じゃがいも味噌汁を作ったり、あんぱんをトーストしたり、持ち帰った牛丼を炒めて牛丼やきめしにしたりと、なかなか独創的な貧乏レシピが満載です。

 

チップスターみそ汁

 


あんぱんトースト

 


牛丼やきめし

 

そして、このコースケはドケチ貧乏な上にイケメンでもないのに、なんと彼女がいるのです。実はリア充。というか、コースケと普通に付き合える彼女も相当変わってます。チップスター味噌汁を振舞われたり、電話帳の上で切ったヨウカン出されたりしてるのに平気なんでしょうか・・・。これが森ガールだったらとっくに森に帰ってるレベルです。

 


貧乏だけどリア充です

 

というわけで、ざっくりと「大東京ビンボー生活マニュアル」 をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?明日から使える生活のヒントが満載だったのではないでしょうか?あんまり使えませんかそうですか。

本作品は1980年代バブルの華やかなりし頃に連載されています。当時はグルメブーム真っ盛りで、美味しんぼでは山岡さんがフォアグラよりアンキモの方がうまいとか言ってる時代。今とは違い、仕事だって溢れるほどある中、コースケは推定無職です(たまに日雇いバイトをやっている描写があり)。

世間が空前の好景気なのに、これだけ貧乏なのですから、これはもう筋金入りの貧乏マスターといえますね。貧乏スカウターで測定不能なレベルです。

それにしても同じ貧乏ネタマンガでも「55歳の地図」とか「まだ生きてる・・・」とかのガチサバイバル物とはえらい違いです。やはり精神的なゆとりのあるバブル時代ならではの作品といえるかもしれませんね。

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出典) 「大東京ビンボー生活マニュアル」 前川つかさ/講談社


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