孤独すぎるジャック・バウアー!?「孤独のグルメ」CDレビュー
それ以上・・・いけない!(いろんな意味で)
こんにちは、J君です。先日、「孤独のグルメ」のドラマCDなるものが発売されました。SPAで孤独のグルメが不定期連載で復活するなど、最近なにかと動きのある孤独のグルメ界隈ですが、今度はドラマCD・・・だと!?ただでさえ読み手を選ぶ作品だというのに、音声だけのドラマなんて、ものすごく購入者層が限られそうなCDですね。マニアックもここに極まれりです。
しかしこのCD、主人公、井之頭五郎役の声優がなんと小山力也さん。小山力也さんといえば大人気海外ドラマ「24」のジャック・バウアー役というわけで、ジャック・バウアー×ゴローちゃんという壮大なドラマが繰り広げられるすごいCDとなっていたのでした。
音声が収録されている話は
第一話 東京都台東区山谷のぶた肉いためライス
第二話 東京都北区赤羽の鰻丼
第三話 群馬県高崎市の焼きまんじゅう
第四話 東京都豊島区池袋のデパート屋上のさぬきうどん
第五話 東京都台東区浅草の豆かん
第六話 東京都板橋区大山町のハンバーグランチ
ボーナストラック 東京都台東区山谷のぶた肉いためライス ハードボイルドバージョン
となっています。
さすがにこのドラマCD、音声だけでいきなり聴くのはハイレベルすぎるので、J君的にはCDを聴きながら原作マンガを読み進めるのがお奨めです。そうしてみると、このドラマCDは基本的には原作のセリフどおり非常に忠実に進行していながらも、セリフがなくて場面の状況が分かりにくいシーンでは、原作にない新セリフやナレーションを追加してうまくカバーしているのが分かります。この状況説明のために追加された新セリフがまたマニアにはたまらんわけですね。
たとえば、「東京都豊島区池袋のデパート屋上のさぬきうどん」の話では、デパートの屋上でゴローちゃんが月見おろしうどんというマニアックなメニューに舌鼓を打つ話がメインなのですが、その後に実は追加でフランクフルトを食べています。
原作では「むぐ」だけ
このシーンは原作ではセリフ無しで一コマで描かれているだけですのでわりと見落としがちですが、CDドラマではちゃんと「すいません、フランクフルト一本!」というセリフが追加されているのです。
また、「東京都板橋区大山町のハンバーグランチ」では、これもまた原作では一切説明のないこのコマについても「あのオヤジ、若い頃空手やってたんだな」というセリフが挿入されています。
このシーンが伏線に
「孤独のグルメを」通算50回は再読しているJ君でもこのシーンは見落としておりました。そしてこの後のアームロックのシーンにつながる・・・実は空手VS柔術という構図だったのか!と、こんな新たな発見もあるのがこのドラマCDの魅力ではないでしょうか。
・・・ってあれ?皆さん話題についていけてるでしょうか?この時点ですでにマニアックすぎてドン引きされている気がしますが、そんな感じでこの孤独のグルメドラマCD、気になったところを順番にご紹介してまいります。
■第一話 東京都台東区山谷のぶた肉いためライス
都会はいつも飢えている
エアコンいつでもついている
黙っていても腹は減る
セレブもいつか腹がなるぅ
24時間戦えない
煮ても焼いても独り飯
声に出さず「じゃ、いただきまーす」
孤独のグルメ~♪
のっけからまさかの「こどグルテーマソング」です。びっくりした。しかも曲の雰囲気がクレイジーケンバンドとか矢沢永吉なテイストを感じさせる、いわゆるちょいワルオヤジなロケンロールです。井之頭五郎、やはりちょいワルだったか・・・そうじゃないかと思ってました。
小山力也さんの演じる井之頭五郎の声はとびきりダンディです。ちょっとダンディ過ぎるきらいもありますが、十分いける感じ。雰囲気出ています。こういう個性の強い作品が音声化すると、皆さんそれぞれ頭の中に描いていた声のイメージとギャップがあったりして微妙な気持ちになることが往々にしてありますが、J君的にはアリです。
ちなみに子供の頃、ずっとコミックで読んでいたドラえもんがアニメ化した時に初めて聴いた大山のぶ代さんの声のインパクトはすごかった・・・。なかなか自分の中であの声が受け入れられずに夜眠れなかった覚えがあります。
山谷の定食屋
話はそれましたが、東京のドヤ街、山谷にある定食屋で豚肉いため定食を食べ、豚肉がダブったり、おしんこが正解だったりするお話です。(参考)
異質な雰囲気の山谷のアーケードを抜けるゴローちゃんのドキドキな心境がうまく表現されてる気がします。あ、別にジャック・バウアーつながりで「どきどきキャンプ」をかけているわけではありません。
そして、定食屋に飛び込んで店のオバちゃんにオーダーするわけですが・・・それにしてもオバちゃんの声が超若いです・・・。
どう見ても40~50代・・・
このルックスで・・・どう見ても40~50代のルックスですが、声はというと20代~30代前半の若妻っぽい感じですよ。うーん、これはちょっとなー。でもまあ、はじめてドラえもんの声を聴いたときのショックに比べれば(以下略)
そんな感じでオバちゃんの声は若干イメージが違いましたが、それ以外はバッチリ。概ねいい感じのスタートです。エンディングの「こどグルテーマ」アコースティックバージョンがまた渋いです。
■第三話 群馬県高崎市の焼きまんじゅう
このお話では、群馬県高崎にいたゴローちゃんが突然、脳内トリップを開始して、かつてパリにいた頃のことを語りだします。しかも、読者に対して「俺は女優と付き合ってたんだぜ」的なプチ自慢を感じさせる回でもあります。
ハモンドオルガンのきいた思いっきりパリジェンヌなBGMで強制的に群馬からパリへ場面転換。
修羅場inパリ
「意気地なし!」
この通りモトカノ(女優)との修羅場も音声で完全再現。一緒にパリに住もうと結婚を臭わせる彼女の発言を、話をそらして巧みに回避しようとするゴローちゃんの意気地なしっぷりがなかなか聴いている方をヤキモキとさせてくれます。
高崎で焼きまんじゅう
その後、場面は群馬に戻り、パリとは全く関係のない焼きまんじゅう(参考)を食べることになるという・・・こどグルの全作品中最も空間移動の激しい話です。他の話でも共通していますが、全体的に場面転換のBGMが必要以上にド派手なところもこのCDの聴き所となっています。
■第六話 東京都板橋区大山町のハンバーグランチ
こういうのでいいんだよ
孤独のグルメファンならおなじみ板橋区大山の洋食屋(参考)で、ゴローちゃんのアームロックが炸裂するこの話、なんといっても、バイトのアジア人(呉さん)をいじめる店のマスターとそれにキレるゴローちゃんのスリリングな会話のやり取りがたまりません。
可哀想な呉さん
マスターと口論になるゴローちゃん
この口論がまた・・・実際に音声で聴いてみると本当にスリリング。そしてこの後に伝家の宝刀アームロックが来るかと思うとワクワクしてしまいます。
があああ
もちろん「がああああ」も「折れるぅ」も完全再現です。ちょっと北斗の拳に出てくるモヒカンの断末魔ぽいですが。そして、ここからがすごい。
心に刺さるセリフ
ソレイジョウ、イケナイ!
ソレイジョウ、イケナイ!(リフレイン)
マスターにいじめられてた呉さんの超カタコトな日本語が切ないぐらい胸に突き刺さります。突き刺ささった後に、笑いがこみ上げてきます。いくらなんでもカタコトすぎだろ・・・これ。
■ボーナストラック 東京都台東区山谷のぶた肉いためライス ハードボイルドバージョン
実は、今回の一番の目玉はこれかもしれません。第一話で登場した話のハードボイルドバージョン・・・というか要するにゴローちゃんが「24」のジャック・バウアー風のキャラに変身。ストーリーがリアルタイムで進行します。っていうか・・・もはや完全に腹が減っているCTUエージェントです。
組織のユニフォームか?
「しかし、みんな帽子をかぶっているのは、なぜなんだ?ある種の美意識か?それとも・・・ハッ!何かの組織のユニフォームかッ!?」
何かの取引かッ!?
「持ち帰りッ!!!そうか、そういうモノもあったのかッ!いや・・・・ひょっとしたら、持ち帰りに見せかけた何かの取引なのかもしれないッ!!」
ゴローバウアーが疑心暗鬼過ぎ!
終始こんな感じで異様にテンションが高いです。これは24を見たことのある人なら爆笑必至に違いありません。
さらに、その後に入っているシークレットトラック(?)のコメンタリーでは声優やスタッフの皆さんの打ち上げの模様が収録されております。そこでなんと・・・「孤独のグルメ○○○化決定!」との発表が。これはなんという超サプライズ。ただ、ニュアンス的に真偽のほどは不明なので気になる方は是非ともドラマCDを聴いてみてくださいね。
というわけで、これ以上のネタバレは呉さんに止められてしまいましたので、「ドラマCD孤独のグルメ」レビューはこの辺で締めたいと思います。
「孤独のグルメ」は好きだけど、音声だけなのはちょっと・・・と躊躇されていた方も原作を片手に聴いてみると結構楽しめると思いますよ。ちなみにアマゾンだと視聴ができるみたいです。あと、キャラアニで買うと特典も付くらしいので送料を気にされない方はこっちでもいいかもしれませんね。
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出典) ドラマCD「孤独のグルメ」 キャラアニ/扶桑社/久住昌之/谷口ジロー
参考) Amazon → ■