20年早かった悲劇のマイコンマンガ 「マイコン電児ラン」
こんにちはJ君です。皆さんはパソコンがまだマイコンと言われていた時代のことをご存じでしょうか?
このサイトを御覧になっている人たちは20代中盤以降の人生に疲れた世代が多いので結構知ってるんじゃないかと思うのです。 人生に疲れてるかどうかは大きなお世話ですかそうですか。
で、今回のテキストはそんなマイコン時代のお話です。その昔、ガキ・・いやお子様どものマストアイテムであったマンガ雑誌にコロコロコミックという月刊誌がありました。 っていうか今もあるんですが。そう、ブ厚すぎて万引きするには難易度が高すぎると言われていたアレです。
そして、当時のコロコロマンガの代表作といえばなんと言ってもすがやみつる先生の「ゲームセンターあらし」でした。 しかし、インベーダーブームと共にゲームセンターがヤンキーの巣窟となったため、お子様達は次第に近寄れなくなってしまい、 ゲーセンから家庭用ゲーム機へシフトせざるをえませんでした。ここに「ゲームセンターあらし」ゲームセンター形骸化の時代が訪れます。
ま、そんな訳でいわゆる「ゲーセンのゲーム」に見切りをつけたすがや先生が次に目をつけたのが「マイコン」。 今のパソコン全盛の時代を20年も先取りしたその見識には恐れ入るばかりですが、
自らがマイコンブームの旗手となるべく別冊コロコロコミックから放った渾身のマイコンバトルマンガ、それが本日ご紹介する「マイコン電児ラン」です。
マイコンバトルといっても難しく考えることはありません。要するにゲームセンターあらしのゲーム部分がマイコンに変わっただけです。 物理の法則を無視した必殺技が奏でる勧善懲悪の世界はきちんと継承されています。ええ、コロコロマンガですから。
さて、記念すべき「マイコン電児ラン」の第一話は、ヒーロの世代交代を告げるべくゲームセンターあらしとの共演。 これ以上ない華々しさで「ラン」はデビューとなりました。もうオープニングの設定からテンション上がりまくりです。
・・今やマイコンの世界は無法と混乱が支配する、マイコン戦国時代に突入しつつあった!!
そうなんですか?
そう・・・時はマイコン戦国時代。ある意味北斗の拳の世紀末よりも過激な世界観でこのマンガは始まります。 どうなっちゃうんでしょうね?
悪役として登場するのが、マイコン戦国時代の制覇をもくろむ悪徳マイコンショップ「マイコンハウス・ブラック」の社長。
「ゲームを制するものはマイコンを制す!」
「このわしが、動乱のマイコン戦国時代にあらしを巻きおこしてやるっ!!」
・・・・熱い男です。
いわゆるITベンチャーで失敗するタイプにありがちです。
そう、マイコンの世界は幾多のアマチュアゲームプログラマーに支えられている・・ しかしゲームと言う著作物を買い取るには何十、何百万という金額で買い取らねばなりません。 そこで彼はゲームの権利を安く買いたたくために「マイコンゲームコンテスト」を開催します。
・・・コンテストといえば昔からなぜか野球場でやるのが基本。
そしてそこに登場するコンテスト審査員が・・・
世界ゲームチャンピオン。ゲームセンターあらしこと石野あらし!!
この頭の悪そうな登場シーンはもはや伝統芸ですね。
マイコンハウス・ブラックの社長はこのゲームバカ一代のあらしを利用して・・
あらしに簡単にゲームを攻略されてしまったプログラマーは自信をなくす
↓
プログラマーが自信をなくしたところに足元を見て安く買いたたく
こんなプロセスでコンテスト参加者達のゲームを安く買い取ることを考えます。
この強引なシステム自体すごくツッコミどころが多いのですが、それよりもなによりもすごいのがこのマイコンバトル。
こんな感じ。
「北海道代表オホーツクのトド松!ゲームは流氷くずし!」
「真空ハリケーン撃ち!」
「わああっ、やられたあ~っ!」
何が「やられた」なのか?
そんなわけで世界ゲームチャンピオンのあらしは参加者のゲームをことごとく攻略。 こんなルールならただ単に絶対クリアできないクソゲーを作れば勝ちのような気がするんですが。
そして、「あらしに負けたゲーム」を二束三文で安く買いたたく社長。
その悪事に「待った」をかけた男が登場。そう、彼こそがマイコン電児ラン!!
ランは社長の悪巧みを密かに録音。参加者達に暴露します。ずいぶんえげつないヒーローです。
そして悪事に利用されていたことに気づいたあらしはランと共闘。
いきなりマイコンを空中に投げつけるラン。
「プログラム!RUN~っ!」
そしてあらしのエレクトリックサンダーもドッキング!
大騒ぎ
うぎゃあああ~っ!
理屈はよく分からないけどとにかくスゲエ!
これぞ、あらしとランの合体技名付けて「磁気あらし」
「磁気あらし」とはあらしエレクトリックサンダーの高圧電流で強力な磁力線を発生するようランがプログラミング。
その磁力線で社長が買い取ったプログラムを消し去ってしまうという大槻教授もビックリ仰天のスゴ技。
っていうか言ってる意味が日本語なのにさっぱり分からない。
「もう一度勝負したいぜラン!」
「こっちもだあらし!」
固い握手でヒーローがあらしからランへバトンタッチ。マイコンヒーロー「マイコン電児ラン」の時代の幕開けです。(ただし8回で打ち切り)
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出典)「スーパーゲーム大戦ゲームセンターあらし対マイコン電児ラン+こんにちはマイコン完全版」 すがやみつる/小学館/英知出版