「ファミコンロッキー」 コロコロが生んだファミ漫界のレジェンド

コロコロが生んだファミ漫界のレジェンド「ファミコンロッキー」
 

 

 
名字が轟(とどろき)だからロッキー!
こんにちは、不定期にファミコンやレトロゲームのネタを紹介している当サイトですが「ゲームセンターあらし」「ファミ魂ウルフ」のレビューはすでにご覧になっていただけましたでしょうか?今回はなんと、今まで紹介してそうでしてなかった、とっておきの大物ファミ漫をご紹介します。

その作品の名は「ファミコンロッキー」、いわずと知れたファミコン漫画界の超ビッグネームでありファミコン漫画の代名詞的存在であります。それでいて、現在は単行本が入手困難なため、内容をすっかり忘れている人も多いはず・・・ということで改めてこの「ファミコンロッキー」がどんな作品だったかをご紹介したいと思います。

「ファミコンロッキー」あさいもとゆき先生の作品で、月刊コロコロコミック誌上で1985年から1987年まで連載されていました。Wikipediaによると「小学五年生」でも連載されていたようです。主人公、小学5年生の轟勇気(とどろきゆうき)・通称ファミコンロッキーが、拳法の技を応用した必殺技「ゲーム拳」を駆使してファミコンチャンピオンとなり、ライバル達や悪のファミコン結社などを倒していくという作品です。

 
なぜロッキーかの説明は作中特になし
 

ちなみになんで「ロッキー」なのかというと、名字が轟(とどろき)だからなんですね。J君は恥ずかしながらロッキーの由来を最近まで知らなかったので皆さんにも重要情報としてシェアしておく次第です。トドロッキーだからロッキー・・・そこにかかってたのか。

 
無駄に舞台装置がデカいのはあらし譲り
  

■ゲームセンターあらしとの共通点

作品を読むと感じるのが、そこはかとない「ゲームセンターあらし」テイスト。必殺技の繰り出し方やライバルとの対決の仕方、ストーリー展開などは、まさに「ゲームセンターあらし」のファミコン版といった感じなのですが、それもそのはず、作者のあさいもとゆき先生は、ゲームセンターあらしの作者・すがやみつる先生のアシスタントだったんですね。掲載誌も同じコロコロですから、強い影響を受けているのもうなずけます。

 
最初に出てくる嫌な奴=後の親友の法則
 

ファミコンロッキーこと轟勇気のライバルであり親友でもある、芸夢遊一郎(げいむ ゆういちろう)は登場初期は財力に物を言わせゲームを買い占めたり、町の子供達にゲーム勝負を仕掛けて勝ったら相手のゲームソフトを取り上げるなど、滅茶苦茶嫌なやつでしたが、ロッキーとの勝負に負けて改心し、いいヤツになります。「ゲームセンターあらし」における大文字さとるや「とどろけ!一番」の常仁勝みたいな関係性です。
 
 

■ファミ漫に必須要素の必殺技

ファミ漫に必須のものといえば、主人公の物理法則を無視した必殺技に他なりません。「ファミコンロッキー」の場合は、主人公のロッキーが拳法の使い手というバックグラウンドを活かした必殺技「ゲーム拳」の数々があります。

 
ゲーム拳の代名詞・五十連打
 

最も代表的なのがこの「必殺五十連打」。なんと1秒間に50連打ができるというものです。あの連射でスイカを破壊する高橋名人ですら16連射だというのに、2倍以上の50連打とは・・・ロッキーの凄さがわかりますね。

 
あらしより地味だけど無理なもんは無理
 

「阿修羅乱れ打ち」もロッキーの代表的な必殺技の一つです。炎や電撃が飛び出す「あらし」の必殺技は明らかに不可能なのは子供でも分かります・・・しかし見た目がやや地味なロッキーの必殺技はもしかしたら頑張ればできるのかも・・・?と勘違いしてしまうキッズもいたようです。いや、不可能だから。

 
どう考えてもヤブ医者
 

ロッキーの繰り出したゲーム拳の中でもかなりヤバかったのが「陽明激針打ち」という技。なんと医者に腕にハリを打ってもらい、筋肉を痙攣させてボタンを連打するという必殺技です。この技はいろいろダメ!特に医者がダメ!!

 
 

■コロコロなのにパンチラ頻出、妥協なきお色気路線

 
主人公が死ぬほどモテる設定
 

「ファミコンロッキー」の画期的なところは主人公ロッキーが異様にモテることです。しかも一極集中型の完全ハーレム状態。登場する女子キャラはほぼ全員ロッキーにぞっこん。ゲームばっかりやっているオタクは非モテという概念はファミコンロッキーでは完全に覆されているのです。

 
ロッキーといえばパンチラ
 

さらに、良い子の必読書たるコロコロコミック誌上で容赦ないパンチラや、全く必然性のない水着シーンなどお色気路線を突っ走っていたのも「ファミコンロッキー」の凄いところ。読者の欲望にはストレートに応える、コンプライアンスなど知らぬ、このおおらかさが昭和の漫画だったのです。この妥協なきパンチラ路線はロッキーの傍ら、エッチな同人漫画も手掛けていたあさい先生の面目躍如と言えるでしょう。

 
必然性のないお色気シーン
 
 

■あまりにご都合主義過ぎる裏技・ウソ技

漫画ですからある程度、主人公にご都合主義的な展開があるのは当たり前ですね。しかし「ファミコンロッキー」の場合は度が過ぎています。ライバルとの対戦中、絶体絶命のピンチに陥るロッキーは、負けが確定するラスト数分の土壇場で、世の中のどこにも公開されていない超裏技を偶然発見し逆転勝利します。しかも実際のゲームに存在しないウソ技がマンガのために捏造されているのが熱いです。

 
ファミコンのスペックでは無理だろ
 

例えばゼビウスで物理的に絶対避けられないぐらいの弾が飛んできたり・・・本当にこんなシーンがあったらただのクソゲーですよね。ウソ技で良かった。

 
こんなスパルタンXいやだ
 

有名なのが「スパルタンX」のラスボスのミスターXを倒した後、救出しなければいけないヒロイン・シルビアがなぜか裏ボスとして襲ってくるというものです。スーパーマリオでいうとクッパを倒したとたん、ピーチ姫が突然マリオに襲いかかってくるみたいな感じです。

当時、これを実在する裏技だと勘違いした読者が多数おり、毛利名人などはかなり迷惑を被ったという話をあとがきに書いていました。それだけ「ファミコンロッキー」のもつ影響力が凄かったのです。

 
いかにもウソ技
 

その他にも忍者ハットリくんで、主人公のハットリくんが突然超巨大になる裏技(ウソ技)とか・・・

 
そんな伝説あるんか
 

圧巻なのは「シューティング一千万点伝説を信じるんだ!」というちょっと何言ってるんだかわからないセリフとともに、全く事前情報のない高得点隠れキャラが登場するシーンです。まさにロッキーを勝たせるためだけに作られたウソ技の極み・・・!

 
もちろんウソ技です
 
 

■ロッキー、意外とファミコンに興味ない説

ファミコンはいつでも命がけ、全日本ファミコンチャンピオンのファミコンロッキーですが、意外なことにゲームを知らないシーンが多数出てきます。そう、ファミコンロッキー、意外とファミコンを知らない説があるのです。

 
一応任天堂のゲームなんだが・・・
 

マッハライダーは知りません・・・まあややマイナーなゲームだしね。

 
ハットリくんも興味なしですか
 

忍者ハットリくんもわかりません・・・まあク◯ゲーだしね(オイ)

 
もう少し興味持てよ
 

スーパーマリオすらほぼ初見・・・いやさすがにファミコンチャンピオンがスーパーマリオを知らないのは無理があるよ・・・。

というわけでファミコン自体にはあまり興味がない説が濃厚なロッキーですが、そんなほぼ初見の状態で滅茶苦茶ゲームをやり込んできているライバルたちに勝ってしまうのだから、やはりファミコンの天才なのです。
 
 

■コロコロ漫画にお約束の展開勢ぞろい

さて、コロコロ漫画に連綿と受け継がれるお約束の展開というものがあります。ファミコンロッキーもちゃんとその不文律を守ってるんですね。最初のお約束がいわゆる闇のゲーム組織。

 
胸のドクロがタツノコプロっぽい
 

ホビー界を叩き潰すというメリットがどこに有るのかよくわからない目的を持った謎の集団。矢面に立つその筆頭は当然主人公のファミコンロッキーです。よくわからない難癖をつけられて最高のテンションでゲーム対決をすることに!

 
ロゴの緊張感の無さが最高
 

このテンションMAXの状況で対決するゲームのお題が「ドラえもん」というユルさもコロコロらしくて素敵ですね!

 
合体するメリットある?
 

闇の組織が出てきたら、そこに集められるのはやはり・・・世界各国から集められられたファミコン戦士達です。ガキンチョ向け漫画ってこういうワールドカップ的展開が大好物ですよね。衣装もひと目見てお国が分かるチャイナ服などを着るのがお約束です。

 
上下ひっくり返しても顔になりそう
 

その他にありがちな展開として、〇〇仙人みたいな輩の登場です。「ファミコンロッキー」でもゲーム道を極めた「ゲーム仙人」なる謎の老人がゲーム界を取り仕切っていました。どう考えてもファミコンはおろかゲーセンすら知らなそうなビジュアルで胡散臭すぎますよね。そもそも画面見えてんのかこれで。

 
ニセモノは色が薄いの法則
 

あと主人公のニセモノが出てくるのもよくあるパターン。ファミコンロッキーでもちゃんと主人公のクローンが登場します。五十連打などの必殺技も完コピできるニセロッキー。実はロボットだったというオチでした。

 
ドーピングしてんのか
 

他の漫画ではあまり見かけないファミコンロッキーオリジナルな展開として、ロッキーがあまりに卑怯な敵への怒りで、急に体がムキムキになってライバルがドン引きするというシーンがあります。急に北斗の拳みたいな展開になって読者もドン引き!

というわけで、ファミ漫界の王道にしてレジェンド「ファミコンロッキー」をご紹介しました。今思うと、本作で紹介されたウソ技に右往左往するキッズ達が多数発生するというなかなか罪深き作品だった気がしますが、それもまたファミコンブームの思い出の1ページですね。

 
ファミコンはなかったことに
 

ちなみにロッキーがファミコンブームに見切りをつけて出直しを図ったマンガ「スケボーロッキー」という作品もありますので合わせて読むのがオススメです。

■■
出典) 「ファミコンロッキー」 あさいもとゆき/小学館 /朝日ソノラマ
マンガ図書館Z

タイトルとURLをコピーしました