今こそ読んで欲しい!発電にかける漢達を描くマンガ 「発電ドクター走る!」

今こそ読んで欲しい!発電にかける漢達を描くマンガ 「発電ドクター走る!」











愛の基礎工事修正完了!
2011年3月11日、東日本大震災、多くの方の命が失われ、現在も行方不明の方が多数・・・大変痛ましい状況となっています。さらに首都圏では停電による大混乱、TVでは連日流れる原発のニュース・・・普段何気なく使っている電気というものがいかに人々の生活の根幹に関わっているかということを日本中の人々が痛感しているのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、そんな人々にとって欠かせない「電気」を支える漢達を描いたマンガ 「発電ドクター走る!」です。


「発電ドクター走る!」は発電所に関わる人々の発電にかける熱い想いを描いたマンガ短篇集です。作者は当サイトではすっかりおなじみのビッグ錠先生。グルメマンガ勉強マンガラブホテル経営マンガ陶芸家マンガムエタイマンガサーカスマンガ等々・・・ビッグ錠先生にかかれば漫画化できないテーマは存在しないといわれていますが、まさか発電までがマンガになっているとは・・・改めてその懐の深さには恐れ入るばかりですね。

「発電ドクター走る!」はその特異なテーマに負けず劣らず、目次ページを見ると各話のタイトルもすごいことになっているのが分かります。

特異なタイトル

「トンネルの秀」
「街に灯がともる頃」
「最後の求水師」
「100万ボルトの恋」
「変電ボーイ奮闘記」
「発電ドクター走る!」

「トンネルの秀」なんてものすごいトンネル職人が出てきそうな雰囲気のタイトルです。どんだけすごいトンネル掘ってくれるんだ、みたいな。「100万ボルトの恋」は一見すると昭和の歌謡曲みたいなタイトルですが、テーマが発電だけにシャレでは済まされない予感がします。そして「変電ボーイ奮闘記」に至っては、変電ボーイという言葉がある事自体が初耳です。チェリーボーイとかジュノンボーイとは訳が違うのでしょう、たぶん。・・・とにかくタイトルを見ただけでいろんな想像を巡らさざるをえないですよね。主に発電方面で。

まあタイトルだけで想像を巡らすのも限界があると思いますので、それぞれの話をちょっとずつご紹介しておきます。

■トンネルの秀
発電所建設のためのトンネル工事現場で働き始めた秀夫が、ある日トンネルの発破を任されることになるのですが、トンネルの発破を甘く考えていたため発破に失敗、会社に損害を与えてしまいました。その後、秀は反省し発破の手順を真剣に学んだのですが、その後1年間ずっと干されてしまい絶望して退職を決意。しかし、そこで最後の発破のチャンスを与えられたのです。

かっこよすぎるセリフ
「あの壁の向こうに・・・俺の未来がある!」

発破成功

見事、美しいアーチを描いたトンネル貫通に成功!秀のトンネル屋としての人生に光が射したのでした!

■街に灯がともる頃

嵐の中の復旧作業

伊豆半島南部のとある街、東都電力電気工事スタッフの岩谷が主人公です。
伊豆半島に台風が上陸。地域一帯が停電してしまいました。このままでは伊勢海老やヒラメの養殖などの地場産業が壊滅的打撃を受けてしまいます。

命がけの復旧作業

「俺達はこの伊豆一帯の電源を支えているんだ!」
そんな熱いセリフを胸に台風の中、命懸けの復旧作業を開始します。

感動的シーン

■最後の求水師
求水師というのは水力発電で水をダムに集めるために山奥のあちこちに設置されている取水口が枯葉やつららなどで詰まってしまうのを手で取り除く職人のことです。たとえ遭難の危険があるような吹雪の日でも取水口の詰まりを探し当て、除去する作業はまさに命懸け!まさにキングオブ職人と言えます。

時には命懸けです

■100万ボルトの恋
百万ボルトの送電線の建設現場、その中に彼女との結婚について思い悩む青年、キー坊がいました。彼女はいつもそばにいてくれる人としか結婚したくないというのです。仕事をとるか彼女をとるか、思い悩む青年に、ナイスガイな上司・鈴木の提案により・・・

普通に怖いだろ・・・

彼女を鉄塔の上に連れていき最高のロケーションの中、見事プロポーズに成功!
高所恐怖症のJ君にとっては絶対ありえないプロポーズですけど・・・。

祝福のカンカン

それを見ていた同僚達は鉄塔をカンカン叩いて祝福!
電力業界にはこういう風習があるんでしょうか・・・。

他人事っぽい感じがイカス

「愛の基礎工事修正完了かあ・・・」
上司鈴木もナイスな発電ジョークを決めつつ祝福。いい話ですね。

■変電ボーイ奮闘記
主人公は流(ながれ)修介。変電所で働く若手社員です。しかし、超おっかない班長にビッシビシしごかれる毎日。はじめは班長に対して反抗的でしたが、落雷によって少女の手術中に停電が発生、自分の手で電気を復旧させることが少女の命を救うことだと気づき、変電ボーイとしての使命に目覚めるのでした。




超スパルタ教育

それにしても班長がおっかなすぎ。超スパルタです。これはトラウマになるレベル。

班長の熱いセリフ

「お前の両腕に36万軒の電気がかかっているんだぞ!」
しかし班長の使命感あふれるセリフを聞いたらこちらも胸が熱くなりますね。変電ボーイ頑張れ!

■発電ドクター走る!
最後は単行本のタイトルにもなっている通称「発電ドクター」のお話。
なんと、手で触ったり、耳を当てるだけで発電所のあらゆる機械や配管のコンディションがたちどころに分かってしまうというゴッドハンドぶり。なにしろ発電ドクターが手で触れるだけで1/100ミリの凹凸をも発見してしまうのです。

ドクターすげえ・・・
「うんうんゴキゲンだな」「そうかそうかわかったよ」
・・・・ほんとに分かっちゃうのかよ!

そんな感じで日本津々浦々の電力スペシャリスト達が紹介されている短篇集です。電力というマニアックなネタだけで本当に一冊の単行本が構成されているのにはホントにビックリです。ちなみにこの「発電ドクター走る!」は2000年の作品で、現在の発電技術ははるかに進んでいると思われますが、ビッグ錠先生はさらに2007年にも「電気ロード見聞録」というタイトルで発電マンガ短篇集第二弾を出していました。ビッグ錠先生、どんだけ電気好きなんだよ・・・。

なんともう一冊あります

というわけで発電にかける漢達の熱きスピリットを描く「発電ドクター走る!」いかがだったでしょうか?
電力不足の中、日々発電のために頑張ってる人々、命がけで原発の沈静化に取り組んでいる人々、そして被災地の皆さんのことを考えると、J君も停電や紙オムツが売ってないぐらいでガタガタ言わず、もっと募金や節電を頑張っていかなければと思った次第です。いや・・・でも紙オムツ買いに行ってどこにも売ってないと普通に絶望しますけどね。紙オムツ買い占め絶対反対!



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出典) 「発電ドクター走る!」 「電気ロード見聞録」 ビッグ錠/集英社
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