「愛人の作り方、学べます!」不倫とポジティブに向き合うマンガ 『フリンジマン』

「愛人の作り方、学べます!」不倫とポジティブに向き合うマンガ 『フリンジマン』(日刊サイゾー2016/4/8掲載)

皆様、こんにちは。「センテンススプリング」や「ゲス不倫」といったワードが流行ったのも今は昔。あの人気タレントも、あの政治家も、あの師匠も、あのイケメン俳優も、あのお笑い芸人も・・・みんな不倫、不倫、不倫だらけの昨今です。「あれ!?  日本って、一夫多妻制だったっけ?」と、勘違いするレベルですね。

「不倫=バレたら破滅」というのは散々歴史が証明しているところですが、それでも不倫がなくならないところを見ると、やはり「不倫は文化」というフレーズは正しいのでしょう。そして、マンガの世界に目を移してみると、やはり多くのマンガで不倫は背徳行為のシンボルとして扱われています。しかし、もしかしたら唯一? といっていいほどポジティブに不倫と向き合っているマンガが存在しました。その名も『フリンジマン』。これを読めば、あなたも愛人が作れるかもしれない!?


愛人同盟

『フリンジマン』の設定をご紹介しましょう。とある雀荘で卓を囲む男4人。しかし、彼らは、卓を囲みながらもお目当ては麻雀ではなく、ほかのところにありました。そう、一度不倫をしてみたい、愛人を作ってみたい男たちの密会が行われていたのです。


愛人と書いてラマン

卓を囲んでいたのは、同時に最高5人の愛人と付き合う「愛人教授(ラ・マン プロフェッサー)」と呼ばれる不倫のエキスパート・井伏真澄。そして、不倫に憧れる田斉、満島、安吾という、3人の迷える子羊たちです。ここで、井伏の教えを請いながらお互いの愛人作りをサポートする「愛人同盟」が結成されます。

早速、愛人教授・井伏が繰り出す、数々の不倫名言が弟子たちの不倫モチベーションを高めます。

「愛人にどう告白すべきかでしたっけ?…愚問ですね。いらないんですよ、告白なんて」
「愛人にするのは好きな女ではありません、都合の良い女です」
「感情を捨てなければ愛人関係という任務は遂行できません。マシーンになるのです」


そうなんだ!

こんな感じで、思いっきり不倫に前向きなのです。教授いわく、不倫とは「ウニを食べる」「海外旅行に行く」「グリーン車に乗る」などと同様、少し手を伸ばせば手に入る、オトナだけに許された悦楽なのであります。そう考えると、全然ゲスな行為ではないんですね。

田斉をはじめとした弟子たちの愛人作りを通して、より実践的なレクチャーへと進んでいきます。例えば、田斉は会社の新人OL、山口詠美がターゲット。愛人教授によるGPSとイヤホンを駆使した的確な遠隔指示、さらに愛人同盟の協力体制により、着実に愛人作りを遂行していきます。

ところで、愛人作りにおいてまず課題となるのは、結婚している男に一体どんな女(ヒト)が興味を持ってくれるのかということですが、そこで役に立つのが「愛人の原石の見分け方」です。

「オハヨウゴザイマスの後にアナタの名前を呼ぶ女は愛人の原石」
「曲がっているネクタイを自ら直接直しに来る女は愛人の原石」


愛人の原石

などなど。つまり、会社で単なる「おはようございます」ではなく「おはようございます○○主任」と名前まで呼んでくれる女性、あるいは曲がったネクタイを指摘するだけでなく、わざわざ直してくれる女性は間違いなく自分に好意があり、愛人候補として大いにチャンスがある! という理屈です。なるほどなるほど、つまり不倫をしたければネクタイは曲げておくべし、ということですね。実に勉強になります。


とても実践的

そして、自分に好意を持ってくれる愛人の原石を見つけたら、給湯室などの2人きりになれる場所で世間話をし、擬似不倫体験を共有する……これぞまさに、明日からすぐに(愛人を)探せるテクニックです。

しかし、愛人作りのためには、注意点も数多くあります。

・待ち合わせ場所は書店がオススメ。道端、居酒屋などは避ける
・宝飾店や指輪は2人の会話に結婚のイメージが入り込む恐れがあるため、愛人との会話では厳禁
・デパートの受付嬢は店舗案内…「店案」と呼ばれ、愛人にするには最も手ごわい職種のひとつ


めちゃくちゃ具体的

などなど。そうですか、デパートの受付嬢は手ごわいですか。覚えておいて損はない知識ですね。個人的には、役に立つ日が来るとは到底思えませんけど。

こんな感じで、かつてないほど実践的なレクチャーがちりばめられている「HOW TO 不倫」なマンガ『フリンジマン』なのです。不倫スキャンダルで芸能ニュースをにぎわせたタレントたちも、このマンガを一読してさえいれば、あんな悲劇は起こらなかったかもしれません。……と言いたいところですが、実は不倫をネタにしたギャグマンガなので、どこまで本気にするかはアナタ次第です。

ちなみにこの「愛人教授」ですが、恋愛だけでなく仕事のほうもデキる男なのかと思えば、仕事のほうはからっきしダメで、新人レベルの間違いで上司に怒られたり、全国の愛人行脚のために長期休暇を取って同僚に迷惑をかけたりと、ダメダメ男なのです。デキる男がモテるのかと思いきや、現実は案外そういうものではないのかもしれませんね。

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引用)
『フリンジマン』
青木U平 / 講談社

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