『ハゲしいな桜井くん』 ツラすぎて直視できない……薄毛ラブコメの最高峰

ツラすぎて直視できない……薄毛ラブコメの最高峰『ハゲしいな桜井くん』(日刊サイゾー2018/8/10掲載)

残酷な薄毛のテーゼ
 40過ぎてもいまだに髪がフッサフサの男性がいたら、絶対ヅラだと疑うことにしています(自己防衛)、こんにちは。男性にとって永遠のテーマであり、非常に深刻なテーマである「薄毛」。ルッキズムがどうとかいわれている昨今ですが、お笑い芸人などを見ていると普通にTVでいじられてますね。勘違いしている人もいるかもしれませんが、どんなにハゲをいじられてニコニコしている人でも、例外なく心は深く傷ついているんです。あまり気軽に「ハゲ」「ハゲ」言うのはやめましょうね。もちろん某政治家のように「このハゲー!」などと罵倒するのは論外。こういうのを“ハゲハラ”っていうんです!助けてジェイソン・ステイサム!!

……と、ここまで書いておいてなんですが、今回ご紹介するのは、マンガ史上、かつてないほどにハゲしく、ハゲをイジり倒した作品。世の薄毛男性諸君が、ヅラ……もといツラすぎて読むことができない薄毛ラブコメディ。その名も『ハゲしいな!桜井くん』です。

 高倉あつこ先生による作品で、1989~1993年まで「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載されていました。続編として『ハゲしいな!桜井くん 新婚編』 『ハゲまして!桜井くん』という作品も出ていますが、なにより衝撃的なのは、単行本の表紙の変遷をみるだけで「あぁ、着々と進行しちゃってるんだな…」とわかってしまうことです。

 

帽子で完全防御
 

一気に進行しすぎ
 

これはもう…別人
  

 主人公の桜井弘也は17歳の高校生。ハンサムな顔立ちでスタイルもよく、おまけに秀才という、ほぼ完璧な男子――ただ一点を除いては。もう、おわかりですよね? そう、10代にして若ハゲが絶賛進行中だったのです。普段は前髪で隠しているものの、かき上げると広大な額がデデーンと広がります。おまけに兄や父親も、それはもう見事なハゲ散らかしっぷり。家系レベルで抗うことができない運命(さだめ)が待っているのです。

 

抗えないDNA
  

 そんな桜井くんに、ちづかちゃんというかわいい彼女ができました。しかし、彼女にはまだハゲだとバレてません。もしバレたらフラれるかもしれないという不安から、水際ならぬ生え際の攻防を繰り広げることになります。

 

真実を知らない頃の彼女
  

 外出時は必ず帽子をかぶり、風の強いところは歩かない、デートコースは「映画館」「博物館」「美術館」などのインドア系で、遊園地やプールはもちろんNG。体育でハチマキをする時は前髪の上に巻くスタイルなどなど、見る人が見ればいろいろと不自然なのですが、それでも彼女にはバレていません。

 

必然的にインドア派に
  

 しかし、気づいていないがゆえに、無邪気で天然なちづかちゃんが容赦なく浴びせるハゲ殺しのセリフが、まるで尖ったナイフのように突き刺さります。

 

無邪気な一言一言が突き刺さる
  

「桜井さんていったいいくつ帽子持ってるんですか?」
「桜井さんてずいぶんオデコが広いんですね」
「やだぁ桜井さん、ハチマキのしかたがヘンですよォ」

 さらに、帽子好きだと思われているため、ちづかちゃんからのプレゼントは、通気性ゼロで、ムレまくりのビニール製レインハット。髪に悪いとわかっていても、彼女からのプレゼントだから、雨の日にかぶらないわけにはいきません。

 そして……やはり付き合っている以上、いつまでも隠し通せるものではありません。数々の不審な行動、そして周囲のうわさから、ついに真実を知ってしまうちづかちゃん。せっかく桜井くんが前髪のスカスカ感が気づかれないよう、常に少し距離を取っていた努力も水の泡となりました。

 

愛の力でフサフサに!?
  

 ちづかちゃんはいい子なので、彼氏がハゲてるからって嫌いになったり別れることは考えていません。それどころか、これ以上彼氏の薄毛が進行しないように、彼女自身も育毛の勉強を始めるのです。なんという心優しい彼女なんでしょうか。しかし結果として……その彼女の優しい気持ちが刃(やいば)となって、桜井くんの心を斬りつけるのです。

 

ワカメが髪にいいって昭和の信仰だよね
  

 味噌バターコーンラーメンを注文したのに、脂肪は髪によくないということで、強制的にバターをワカメ大盛りにトッピング変更されてしまう桜井くん。

 

海藻づくし過ぎる弁当
  

 ちづかちゃんが作ってくれる手作り弁当は、すべてのおかずに海藻が入っており、しかも塩分をほとんど感じさせない超薄味。そう、味より髪のことを最優先させた育毛弁当なのです。

 

こんな買いづらいタイトルの本ある?
  

 さらにさらに、ハゲ克服本の新刊が出れば速攻でプレゼントされ、自宅にくれば最新の育毛剤が差し入れられ、帰宅時は「マッサージは1日10分でじゅうぶんて本に書いてあったけど、もっとやらなきゃダメよ」とハゲしいまでの励まし。これぞまさに愛、だけどツラすぎる……。

 彼女からの無意識のハゲハラは、なまじ愛情がこもっているだけにタチが悪いです。これではストレスで、髪がさらに抜けてしまいますよね。

 

応援団に入ってオールバックという自殺行為
  

 その後も、大学受験の前日に海藻を食べすぎて下痢になり、本命の東大の試験を受けられなかったり、県No.1の大学に入学したものの、ちょっとした手違いで応援団に入団してしまい、五分刈りかオールバックの二択を強要されたりと、散々な目に遭う桜井くん。いまだにエッチもできず、ちづかちゃんとの関係はちっとも進まないのに、ハゲだけはどんどん進行していくという、とーっても悩ましい薄毛ラブコメなのです。

 

こんなになっても愛し合ってます
  

 というわけで、薄毛あるある満載の『ハゲしいな!桜井くん』をご紹介してみました。果たして、読んで思いっきり笑うことができるのか? それは、あなたの毛髪量次第といえるでしょう。

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出典・引用)
「ハゲしいな!桜井くん」 高倉あつこ/講談社

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