「ファミ魂ウルフ」 野生のカンで勝負だ!狼に育てられた少年のファミコンバトル

野生のカンで勝負だ!狼に育てられた少年のファミコンバトル「ファミ魂ウルフ」

 

 

「野生のカンがわいてきたぞーっ!!」
僕らが愛したファミリーコンピュータの発売(1983年)からまもなく40年が経とうとしています。高血圧、高血糖、高尿酸値の3Kとは無縁だった若かりしあの頃・・・1980年代のファミコンブーム全盛期はゲームだけにとどまらず、いわゆる「ファミ漫」と呼ばれるファミコンを題材とした少年マンガが雨後のタケノコのようにニョキニョキ登場していたことは、ファミコンブームをリアルタイムで駆け抜けてきた諸兄はご存知ですよね。

「ファミコンロッキー」「ファミコンランナー高橋名人物語」など著名なものから「ファミコン少年団」「ファミコン風雲児」「ファミ拳リュウ」「ファミコンキャップ」などのマイナー系「ファミコマンド 竜」のような、それどこで連載していたの?みたいなものまで、ちゃんと数えればスタバの店舗数をゆうに超えるぐらいの作品数があるのではないでしょうか。

そんな愛すべきマイナーファミ漫の中でも特にレア度が高かった、狼に育てられた少年がファミコンをするという大胆不敵な設定のマンガ「ファミ魂ウルフ」が、なんと電子書籍で読めるようになっていました。今回はこのレジェンドファミ漫「ファミ魂ウルフ」を紹介させていただきます。

 

「ファミ魂ウルフ」かたおか徹治先生の作品で、徳間書店「わんぱっくコミック」で連載されていました。「わんぱっくコミック」はコロコロコミックなどと同じ小学生向けの月刊マンガ誌で、ファミコンを題材にした作品を多数扱うという特徴を持っていましたが、刊行期間が1986年から1989年までと短かったため、掲載マンガは必然的にどれもレア作品です。

そんなレアファミ漫の中でも、超弩級のインパクトを持つ「ファミ魂ウルフ」。ファミコン魂、すなわち「ファミ魂」をタイトルに掲げているのも熱いですが、なんといっても・・・

 

命って書いたハチマキがイカす
 

狼に育てられた少年がファミコンバトルをするというこの限りなく出オチっぽい設定がヤバいです。

 
狼の母乳で育った赤子
 

「ジャングル・ブック」しかり「狼少年ケン」しかり・・・太古の昔から狼に育てられた少年、少女の話ってやたら多いですが、なんで狼なんですかね?狼って子育てがうまいの?イクメンならぬイク狼?

 
最初はファミコンすら知りません
 

いちばん大事なポイントなので何度でも繰り返しますが、「ファミ魂ウルフ」は狼に育てられた野生児、野生 命知狼(やお いちろう)が、自分を見世物に利用しようとする悪いファミコン組織「剛田コンツェルン」と対立し、バトルで通して出会った仲間達とファミコンバトルを繰り広げて行く作品です。

 
野生のカンで一点突破
 

ファミコンでピンチに陥ると、こんな感じで育ての親の狼が魂に語りかけてきます。そして「野生のカンがわいてきたぞーっ!!」というセリフとともに・・・

 
狼魂(ウルフスピリット)
 

コントローラーに狼魂(ウルフスピリット)が乗り移ったらもう止められません。

 
テンションMAXで白目になります
 

最終的に白目をむいたらファミ魂ウルフの勝利は確定です。
作品の独自性としてはほぼこれが全てと言って過言ではないですが、それだけだとあんまりなので、他の部分もご紹介しておきます。

 
 

■必殺技のスケールがデカすぎ

 
必殺技じゃない、魂で勝負だ
 

ご紹介した通り、主人公の野生命知狼(やおいちろう)は狼に育てられた野生のカンをベースにファミコンをします。小手先の必殺技ではなく、自分の背負ってるバックグラウンドみたいなものをまるごとぶつけてゲームをするのでやたらと大味・・・もとい壮大です。主人公がこんな感じなのでライバルたちも、自分の生き様をまるごと賭けてファミコンをするのです。例えば、千葉のファミコンNo1を決めるバトルだと・・・

 
ファミコンと関係ねーだろ
 

外房で鍛えた漁師魂でファミコンをする奴とか・・・

 
無駄にスケールがでかい
 

祖父の代まで続いた外房の鯨打ち魂を生かしてファミコンをするやつが出てきます

 
何の自慢?
 

代々網元の家系で、金に物をいわせてファミコンをするやつもいます。
千葉のファミコン少年たちは色んな意味でレベルが高いですね。

 
 

■後半は必殺技が露骨にスケールダウン

しかしやっぱり、こういった魂のぶつかり合いみたいなファミコンバトルだとイマイチ分かりにくかったのか、作品中盤から後半にかけては、ギミック満載でいかにもゲームマンガっぽい必殺技が登場します。

 
意味わからんがカッコいい
 

よくわからないけどファミコン姉妹が合体する「ファミコン姉妹アタック」とか・・・

 
組体操より酷い
 

ファンの女の子を踏み台にしてスケボーをしながらファミコンをプレイするというエグい必殺技「人間ランページ」とか

 
デメリットしか無いだろ・・・
 

新体操のリボンを駆使してゲームをコントロールする技とか・・・

 
セルフツッコミ入りました
 

「ゲームと何の関係があるんでしょうか!?」って、作品内でツッコまれてますが、それはこっちのセリフだよ!!

 
 

■濃すぎるキャラもふんだんに登場

コロコロに対抗するマンガ誌ですから、ライバルキャラの濃さは大事!作品後半のクセの強さは他のファミコンマンガに勝るとも劣りません!

 
殺生禁止なので敵を倒しません
 

念仏を唱えながら一切殺生せずゲームをする奴とか・・・

 
キリシタンキャラ
 

エロイムエッサイムとか言っちゃってる天草四郎インスパイアキャラとか・・・

 
祈祷師キャラ
 

手を触れないでコントローラーを動かす祈祷師キャラとか・・・
全体的にライバルキャラが宗教方面に偏りすぎな気が!

 
 

■ゲームのチョイスが渋すぎ

「ファミ魂ウルフ」の特徴として題材となるゲームがかなり渋め、というのもあります。当時ファミ漫の主流だった任天堂やナムコやハドソンなどの有名ゲームがほとんど出てきません。大人の事情なんでしょうか・・・。

 
何となく聞いたことはあるけど・・・
 

アーガス(参考)とか・・・

 
どんなゲームだったっけ・・・
 

ゲイモス(参考)とか・・・

 
名作だけどね
 

スパイVSスパイ(参考)とか・・・

 
これはわりと有名か
 

シティコネクション(参考)とか・・・
ゲームのセレクションが渋くないですか?「アーガス」「ゲイモス」って言われても、リアルファミコン世代のJ君ですら、いまいちピンとこないラインナップです。

 
 

■ゲーマー養成組織が怖すぎる

ファミ漫といえば闇のファミコン組織によるゲーマー養成所が登場するのがお約束ですね!今のeスポーツなどにくらべても遥かにゲーマー養成所が充実していたのが昭和のファミ漫の世界なんですよ!見てください、この充実の設備を・・・

 
東大受験ではありません
 

大手学習塾よりも遥かに上回るこの充実ぶり。養成所に入れる親御さんもさぞかし将来を期待していることでしょう。そして出来の悪い子には先生から愛のムチが・・・

 
先生のルックスやばすぎ
 

愛のムチっていうか、感電してますけど・・・死んじゃわない?
こんな感じでビシバシ鍛えられてエリートとして成長するとこんな凛々しい姿になるんです。

 
お約束の四天王
 

うーん。犯罪者になる予感しかしませんね!!

 
 

■名ゼリフ&名シーン

どんなマンガにも心に響く名ゼリフというのはあるものですが、この「ファミ魂ウルフ」にもグッとくる名ゼリフがもちろんありますよ!一つだけですけど・・・

 

わかるぜ!その気持ち!!
 

「ファミコンを・・・ファミコンをやっている時が一番幸せ!!ファミコンは・・・あたしの命っ!!」

小6の頃のJ君も同じことを考えていました!めちゃくちゃ分かります!!

そして、電子書籍版にしか収録されていないという幻のラストシーンもめちゃくちゃ感動的なので、紹介しておきますね!!

 

よくわからんがグッとくるシーン
 

これこそザ・ファミ漫という感じのラスト。ファミコンが全く関係ないサイキックバトルの末に、この全員集合的な(何故か飛んでいる)ラストシーンが登場。このシーン見て心を動かされないファミコンキッズがいるのでしょうか!?(いないとは言ってない)

というわけで、入手困難すぎて最初の方しか知らなかった幻のファミ漫「ファミ魂ウルフ」が令和の時代になって全部読めるという感動を皆さんに伝えたかったのですがいかがだったでしょうか。あんまり伝わってない気もしますが、伝わらなかった人には代わりに「ウルフにKISS」でも読んで、野生児マンガの素晴らしさを体験してほしいと切に思います。

 

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出典) 「ファミ魂ウルフ」 かたおか徹治/グループ・ゼロ/ 徳間書店
マンガ図書館Z

Kindle Unlimitedで読めます

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