「おちたらおわり」は本当か?現代のカースト「タワマン漫画」の世界

「おちたらおわり」は本当か?現代のカースト「タワマン漫画」の世界

 

 

「3階の豚が!」
皆さんは「タワマン」という言葉を知っていますでしょうか?CDを売ってるところかって?それはタワレコですね。志村けんと共演してた人?・・・違います、それは「クワマン」でしょう。「タワマン」とはタワーマンションの略称で、都心部などに多い20階以上の高層マンションのことを言います。東京のT洲とか神奈川のM蔵K杉などはタワマン乱立地帯として有名ですよね。

そして、タワマンとは富の象徴であり庶民の羨望の的であり、そして成功のステータスを示すものでもあると言われています。基本的にタワマンはお金持ちでなければ住めないのですが、高層階に行けば行くほど高くなる・・・マンションによってはワンフロア高くなるごとに数百万円高くなるとか。つまりタワマンの最上階に住む者は、必然的にそのマンションカーストにおける最上位の存在であるということが言えるのです。そして、そのタワマンにおける苛烈な人間関係を描くマンガ、いわゆる「タワ漫」が増えてきていることを皆さんはご存知でしょうか?今回は、この知られざる「タワ漫」の世界をご紹介してみたいと思っております。

  

■おばさんタワマン地獄

 

なんか失敬なタイトル
 

タワマンをいきなり地獄だと言い切ってしまっている本作品、「おばさんタワマン地獄」
「タワ漫」にはいくつかの共通する設定があります。主人公はたいてい低層階や中層階。無理してローンを組んでタワマンを購入しているため夫婦関係がギスギスしている。高層階に超性格の悪いババアが住んでいて低層階住人にマウントを取りまくり。タマワン内で不倫が横行、ママ友の旦那をNTRしたのがバレて家庭崩壊。低層階の子供は保育園でもイジメの対象・・・などなど。

「おばさんタワマン地獄」では、コンパクトなストーリーの中に我々庶民が考えつく下世話なタワマンネタがギュッと凝縮されており、初心者にもとっつきやすいタワ漫となっております。

 

何だよそのルール
 

「42階の白川さん」「3階の三井さん」
どうやらタワマンの世界では人名の前に「フロア数」をつけるという独特のルールがあるようです。もちろんフロア数が高ければ高いほど格が高いということを暗に示しており、ここでも壮絶なマウントの取り合いが繰り広げられるわけです。

 

フロア数が大事
 

人物相関図の中にスペックとして「フロア数」が必ず織り込まれているのも「タワ漫」の特徴です。さらに同じ低層階同士の3階でもマウントの取り合いが発生します。えっ?同じ階なのになんで・・・って思いますよね?

 

1LDKと3LDKは対等ではない!
 

実は同じフロア同士でも「3LDK」の方が「1LDK」よりも格上なのです。そんなに優劣つけたいか・・・なるほどこれはたしかに地獄かもしれん。

  

■港区港南タワマン35階~3階の私は、カースト最下層!?~

 

ラノベみたいに長いタイトル
 

タイトルを読んだだけでほぼマンガの全容がわかる親切設計。

 

主人公も大概だな
 

「これで私もやっとセレブの仲間入りね!」
タワマン3階を購入してイキる本作の主人公。だいたいこのパターンの調子こいてる主人公は後でひどい目に合います。

 

性格の悪さがにじみ出ている
 

「3階?3階にもヒトが住んでたのね?」
はい、でましたタワ漫名物、最上階(35階)に住む性格の悪いババア。世界的モデルで、大企業グループの会長婦人でいらっしゃいます。

 

苦労知らず系奥様
 

「3階の方ってやっぱりご苦労されてるのねえ・・・」
最上階のボス格の次に出てきがちなキャラクターが高層階に住む、旦那が金持ちで苦労知らずの脳内お花畑系奥様。その悪気がない一言一言が低層階住民のハートをグサグサとえぐります。

 

3階に恨みでもあるの
 

「3階の豚が!」
うわっ性格悪っ!というわけで高層階の住民達により手酷いイジメをうける可愛そうな主人公(3階)ですが、主人公がこのえげつないイジメ動画をネットにアップしたことで立場逆転。最上階ババアの旦那の会社の株価が下がり、離婚に追い込まれるなど、最後に時代劇のような鮮やかな逆転劇を見せてくれます。

 

最後はスッキリ展開
 

  

■タワマン下剋上

 

楠田枝里子風ヘアスタイル
 

この漫画の表紙を見てなにか気づきませんか?そう、またお前か!という黒髪オカッパババアの登場です。本作品でも、タワマンのボス格は黒髪オカッパの性格悪いババアです。一体何の法則なんでしょうね。

 

激安スーパーはご法度
 

本作品では、主人公は20階と中層階に住んでおり、他作品に比べるとなかなかの健闘具合ですが、やはりタワマンにおける階数カーストは絶対的で、黒髪オカッパババアには抗うことができません。

 

ラウンジでパーティー開きがち
 

こんな感じで「タワ漫」名物、最上階ラウンジで謎のパーティーにお呼ばれしても、ドレスコードやら何やらで嫌味を言われまくり、隅から隅までマウントをとってきます。

 

子供にとっても地獄
 

さらにキッツいのが子供が仲間外れにされたりするやつですね。「タワ漫」では老若男女、高層階に行けば行くほど性格が悪くなるようです。

 

気づくのおせー
 

ちなみに本作品でも最後はオカッパ女帝とその取り巻き達に一泡吹かせ、逆転することができるのですが、ラストシーンで・・・

「煌びやかにそびえるタワマン、そのとき・・・私には虚栄心の象徴のように映りました」

タワマンを総括しちゃってます。じゃあお前、なんでタワマン買ったんだよって話ですけどね。

  

■タワマンへようこそ~最上階に憧れ地に落ちた女~

 

ようこそって言われても
 

「最上階に憧れ、地に落ちた女」というサブタイトルが実に秀逸。
タイトルの時点ですでに地に落ちることが確定している主人公ですが、一体どんな落ち方をしてくれるんでしょうね。

 

タワマンといえばジム付き
 

本作は他のタワ漫とちょっと毛色が違います。無理なローンで5階の低層階に住み、高層階の住人に「タワマンに住む意味ない」とディスられるところまでは同じパターンですが・・・

 

何やってるのかわからないマダム
 

主人公は、なぜか最上階に住む謎のマダムに気に入られます。そして、怪しいビジネスを持ちかけられるのです。それは・・・

 

マダムの胡散臭さがMAX
 

友人たちを高級エスコートクラブに紹介してほしいというもの。いよいよきな臭い話になってまいりましたが、タワマンのローンを返済するために少しでもお金が欲しい主人公。結婚式や同窓会で友人・知人を勧誘しまくって、大儲けします。高層階住民をビビらせられるほどすっかり贅沢ができるようになったのですが、ここからが転落の始まりだったのです。

 

最後はホラーEND
 

主人公が紹介していたエスコートクラブの実態は予想通り、高級売春クラブでした。紹介した友人に騙されたと逆恨みを買った主人公は、ナイフでメッタ刺しに・・・タワーマンションが一転ホラーマンションに!というすごい漫画でした。

  

■タワマンに住むってそんなに凄いことですか?

 

凄いかどうかは自分で考えろ!
 

だいぶお腹いっぱいになってきたと思いますがまだ続きます。
続いてご紹介するのは、「タワマンに住むってそんなに凄いことですか?」という作品。なぜ読者にそれを問いかけるんだ・・・と言いたくなるタイトルです。知らんがな。

 

インスタでタワマンアピール
 

タワマンからの景色をインスタに投稿してマウントを取ってくる主婦が主人公です。タワマンを購入したとたんにイキりだす主人公。さっきもありましたね。

やはりローンか・・・
 

やっぱり旦那さんが無茶なローンを組まされてため息をついております。マウント取りたい妻をよそにローンに苦しむ夫・・・これも「タワ漫」にありがちな構図です。

 

思いっきり見下してます
 

偶然にも近所のクリーニング屋で働いている同級生、マリエを見つける主人公。バツイチ子持ちでパートを掛け持ちする苦労人のマリエにタワマンの景観を見せつけつつ、思いっきり見下してマウントを取ります。

 

階の違いはレベルの違い
 

さらにマリエが帰った後は、自分の娘に、友達じゃなくただの知り合いだと説明。めちゃくちゃ性格悪いな・・・。しかしこの嫌な感じ、もうおわかりと思いますが、主人公転落までの前フリとなっております。

 

エンジョイ!タワマンライフ
 

最上階に住むモデルとお近づきになってはインスタ投稿、高級ランチを食べてはインスタ投稿、さらに同級生のマリエを家政婦として雇い、家事や育児まで人任せにしてタワマンセレブを満喫。このように調子に乗れば乗るほど、オチでの落差が凄いのもタワ漫の醍醐味と言えましょう。

 

落差が凄い
 

最後は旦那に三行半を突きつけられた上、家政婦だったマリエに妻の座を奪われ、自分はビル清掃業をやるハメになるという転落ラストシーンでした。実に分かりやすい展開!

  

■凶!~タワマン女が占いで全財産失うまで~

 

でた!上質な暮らし
 

続きましてご紹介するのはタワマンと占いの華麗なるコラボが実現されたマンガ「凶!~タワマン女が占いで全財産失うまで~」です。これもタイトルの時点でオチが分かっちゃう親切設計ですね!

 

一国一城の主感
 

主人公は仕事をバリバリこなすキャリアウーマン。コツコツ貯めて、独身ながら念願のタワマンを購入します。そう、今までのタワ漫の主人公とは意識の高さが違うのです。

 

専業主婦こそ至高
 

そんな感じなので合コンにうつつを抜かす、キャピキャピした同僚たちを見下し、自分は働きもせず旦那の稼ぎで悠々自適のタワマン生活をおくる高層階の奥様達に対してもギンギンの敵意を持っています。

 

占いが運命を変える
 

敵が多く、人間関係に悩みはじめる主人公は、ふとしたきっかけで占い師に相談し、その通りにしたところ何もかもが上手く行きはじめます。しかし・・・実はそれは転落の始まりでした。会社内での不倫にハマり相手の奥さんに訴訟を起こされたり、仮想通貨に手を出し大損、最後は二束三文でせっかくのタワマンを売りに出すハメに。占いさえ信じなければこんな事にならなかったのに・・・という、占いのせいで人生が転落したマンガでした。タワマンは別に悪くない、とばっちりもいいところです。

  

■おちたらおわり

 
すえのぶ先生のいじめ描写はガチ
 

最後にご紹介するのは、タワ漫の中で別格ともいえる作品。すえのぶけいこ先生の「おちたらおわり」です。すえのぶ先生の代表作「ライフ」は壮絶なイジメを受ける女子高生を描いたマンガでしたが、そのエッセンスをそのままタワマンのカーストの世界に持ち込んでいますので、この先背筋が凍るほどの怖い展開が待っていることは確定済みです。

 

おなじみの階数付き相関図
 

なんとタワマンに特化したマンガで単行本7巻まで出ているだけでなく、現在もまだ連載中なのですからまさにタワ漫界の絶対王者とも言える存在です。主人公、月島明日海は新築マンション「魅惑のトリプルタワー キャナルタワー羽浪」のフォレストタワー1911号室に入居する1児の母。旦那ともラブラブな幸せ一家です。

 

住んでるタワーにも格差が
 

「月島さんもベイタワー?」「うちはフォレストなんですよ」
こんな感じで、住民同士のタワマントークも弾み、マンション内で保育園のママ友もでき・・・これからのタワマンライフは夢が広がるばかりと思っていたところに現れたのは・・・

 

女帝の証・50階
 

キャナルタワー羽浪の中でも最もランクの高い「コアタワー」の最上階50回に住む、ザ・勝ち組のセレブオブセレブ

 

ニコッが怖い
 

ファッション業界の有名人、イメージコンサルタントの間宮孔美子でした。同じマンションに有名人が住んでいるということで、ざわめき立つママ友達、なんとか自分だけお近づきになりたいというママ友同士の牽制も始まる中、一人だけ真っ青な顔をしていたのが主人公の明日海でした。

 

最上階に棲む悪魔
 

「私の心を殺した悪魔」
そう、明日海は中学時代に孔美子による壮絶なイジメを受け、人と話すことができなくなるほどのトラウマを負っていたのです。その悪魔のような女が、同じタワマンの最上階に住んでいたのでした。めちゃくちゃヤバい設定じゃないですかこれは。

 

着々と追い詰められる主人公
 

孔美子の恐ろしいところは、外面がいいため他のママ友には至って評判がよく、本人は直接手を下さない形で、ママ友たちのコミュニティを利用ながら明日海を追い込んでいくところなのです。さっそく子供同士の関係を利用して明日海をママ友コミュニティから仲間外れにしようとします。

 

執念深すぎるだろ
 

そして、本当に恐ろしいのはこのセリフ。
「ここで会ったのは偶然だってあなたは言ったけど、偶然じゃないとしたらどう思う?」
まさか・・・まさか地位も名誉もあるセレブが、中学の同級生を追い込むためだけに、同じタワマンの最上階を購入したというのかっ・・・!?まさに戦慄するシーンです。

 

タワマン内不倫もあるあるです
 

メインの明日海VS孔美子の他にも、ママ友が別のママ友のイケメン旦那を誘惑したり、子供のアレルギーがきっかけでママ同士の中がギスギスしたり、夫がハメられて会社を左遷させられたりと場外乱闘も多めで、タワマン内にありとあらゆるネガティブな人間関係を盛り込んだかのようなストーリーとなっています。さすが別格タワ漫ですね!

というわけで、長々とタワーマンション漫画こと「タワ漫」の世界をご紹介してまいりました。当然のことながらこれらの作品はすべてフィクションでございまして、現実にはこのようなブラックタワマンは存在しない・・・と思いたいです。住んだことがないので分かりませんが。

 

こんな人は実在しません
 

繰り返しますがこれらの漫画のようなタワマンは決して存在しないので、安心してタワマンをお買い求めくださいね。たとえ最上階に黒髪オカッパのセレブが住んでいたとしても「3階の豚が!」などと汚らしい言葉を言うはずがないのです。

 

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出典)
「おばさんタワマン地獄」 小野拓実 / ぶんか社
「港区港南タワマン35階~3階の私は、カースト最下層!?~」 六畳間 / ぶんか社
「タワマン下剋上」 冨田はじめ / 西島ユタカ / PsycheLoss
「タワマンへようこそ~最上階に憧れ地に落ちた女~」 矢光いるる / SMART GATE Inc.
「タワマンに住むってそんなに凄いことですか?」 上野すばる / 川端みどり / 川菜亜子 / 笠倉出版社
「凶!~タワマン女が占いで全財産失うまで~」 和田海里 / 小学館
「おちたらおわり」 すえのぶけいこ / 講談社


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