ゴン攻めビジネス立て直しマンガ「サクセス・ボーイ」
東京オリンピックがおわりまして、メダル数が史上最高だったし、「ゴン攻め」「ビッタビタ」という謎流行語も生まれる明るいニュースもありましたが、コロナ禍で激しく税金使い倒してこれから日本経済どうやって立て直していくんでしょう?というのも気になるところですよね。
先が見えない時は、ぶっ飛んだ漫画からヒントを得てみるというのが良いかもしれません。今回は中学生がゴン攻めしまくりのアイデアでビジネスを成功させる、ビジネス立て直しマンガ「サクセス・ボーイ」をご紹介いたします。例の男性用整髪料とは全然関係ない感じでお送りします。
あまり皆さんには馴染みがないかもしれませんが、世の中には「ビジネス立て直しマンガ」というジャンルがあるんですね。突如現れた、どこの馬の骨だか分からない主人公が、とんでもないアイデアで潰れそうな会社やお店をバキバキと再興させていくというストーリーのマンガです。
当サイトでご紹介した中だと、ぶっ潰れそうなラブホテルをお化け屋敷仕立てにしたり水族館風にして超人気ホテルに変貌させる「ごくらく王」とか、売上不振のデパ地下をうなぎの匂いを利用して大人気にする「デパ地下!」みたいなマンガがそうです。また、昔マガジンで連載していた「SHOGUN-ショーグン」というマンガでは・・・
明らかに負け組の電気屋・・・
かつての秋葉原電気街で、ショボすぎて一人負けしていた電気屋「電化のヤマクラ」を主人公のあっと驚くアイデアで大人気店にしてしまうという伝説のシーンがありました。
看板だけでNo1へ!
店のショボさはそのままで、ただ看板をデカくしただけ!左右の店の入り口と間違えて客が入ってしまうという奇想天外のアイデアです・・・むしろ詐欺スレスレですよね。
で、今回ご紹介する「サクセス・ボーイ」(もろが卓/牛次郎)も、その類のマンガと考えていただいて差し支えないのですが、なにせ原作者が「スーパーくいしん坊」「プラレス3四郎」でおなじみの牛次郎先生ということで、1980年(昭和55年)に発表されたマンガなのに、出てくるアイデアのぶっ飛び具合、スケール感が段違いです。早速ご紹介してまいりましょう。
変わり者中学生の主人公
主人公は中学生の誠屋商介。遅刻常習犯だし、制服を着ないで私服で登校するし・・・と家族も友達も心配する変わり者の中学生。しかし、実はとんでもない能力を秘めている少年なのでした。中学に登校するかと思ったら素通り、そのままいきなり大企業「誠心商事」のアイデアコンテストに単身乗り込み、自分のアイデアを売り込むという大胆さを見せます。
アイデアを売り込みに企業へ
その「誠心商事」では大量に売れ残っているカセットテープの販売企画アイデアを募集するというコンテストをやっているのでした。この作品、1980年(昭和55年)作品なので、CDすらなくてカセットテープの時代なのです。アイデア自慢の大人たちがプレゼンしては次々脱落していく中、中学生・誠屋商介によるカセットテープの在庫を叩き売るためのビックリドッキリアイデアとは!?
凄いような凄くないようなアイデア
子供が生まれるときの産声を録音しておけば、両親が記念に絶対買ってくれるはず!と言うもの。
ナイスアイディア!たしかに売れるかもしれないけど、大量のカセットテープ在庫を売りさばくほどの数になるんだろうか・・・という細かなツッコミはこの手のマンガではご法度だから注意するように!なんかスゲーことやってるっぽい、という勢いこそが大事なのです。
アイデアマン同士の竜虎の対決
そのアイデアコンテストを勝ち抜いた誠屋商介とそのライバル夢沢満は、見事「誠心商事」の社長に認められ、社長直属の企画社員として迎えられるのですが、そこに待ち受けていた難題とは・・・。
スーパーの覇権争いへ
音羽台町の商店街に隣接する2つのスーパー「スーパー・マルトモ」と誠心商事運営の「セイシン・マーケット」。しかし実態は、やり手の「スーパー・マルトモ」に大きく水をあけられている状態でした。そこで商介達は、セイシンがマルトモに追いつき追い越し、地域No1スーパーになるという重大ミッションを課せられたのです。
客の動線は大事ですね
駐車場でなにかやるっぽい
早速、商店街の人の流れに目をつける商介。夜8時以降は商店街が閉まるため、人の流れがガラッと変わる、ここになにかヒントを得たようです。さらに駐車場の見取り図を使って何やら考えているようです。とんでもないアイデアが生まれる予感・・・
急に金使いまくり
ハプニングスーパー
そして商介のアイデアを元にスーパー前で謎の突貫工事を開始。さらに、「びっくり大ハプニング!」なる、近隣住民を煽りに煽りまくった張り紙が張り出されます。一体何が起こるのか・・・?
時限爆弾みたいな
びっくり大ハプニング当日、変わっていたのは駐車場一面に引かれた人工芝だけでした。しかし商介のコールで第一スイッチが入れられると・・・
突貫工事してたのはこれでした
人工芝がめくれて線路が登場!これは、ま、まさか・・・
無駄にSLなところがポイント
発想が豪快すぎてヤバい
そのまさかです。なんとSLが登場。しかも貨車に自動販売機を満載しています。これこそが、人件費を全くかけずに深夜営業を可能にする商介のアイデア「セイシン・メカニック・マーケット」なのであります!!この発想のイカレ具合。さすが昭和のマンガですね!
サービスエリアみたい
めちゃくちゃ手間掛かりそう
自動販売機とはいえ深夜スーパーですから、食品、日用雑貨が買えるのはもちろんのことですが、目玉商品はなんといっても「セイシン自動ぼくじょう」で、新鮮なミルクが絞り放題!!ていうか、これは自動なの?めちゃくちゃ人手が掛かってそうな気がするんですが。
展開が早すぎる
そんな感じで、商介のアイデアにより夜中の客層を一気に取り込んだセイシン・マーケットは大躍進。しかし当然ながら、ライバルの「スーパー・マルトモ」も黙っていません。なんと、いきなり店を大改装すべくビルをぶっ壊し始めます。もはや改装じゃなくて解体レベルです。どうやら「スーパー・マルトモ」もだいぶイカれた経営者のようです。
住民の買い物どうすんの・・・
さらに、さらに「スーパー・マルトモ」のビル大改築に呼応するように商介達の「セイシン・マーケット」も即座に対抗してビル改築工事へ。意地の張り合いでだけで急に金使いすぎだろ・・・令和よ、これがバブル経済だ!ちなみにスーパーが両方とも突然休業したら、地元住民は買い物に困る気がするんですが、そういう細かい指摘はノーセンキューです。とにかく勢いが大事!!
ついにリニューアル
スーパー全体が回転寿司状態
改装工事が先に完了した「スーパー・マルトモ」が先行してお披露目開始。まるでデパートのようなビルに、フロア全体に敷き詰められた動く歩道。これはラクチンですね。楽すぎて事故りそうですが・・・。
これにより一気に形勢は逆転。さらに、マルトモはまだとっておきの隠し玉を持っていることを匂わせています。
屋上がアスレチック公園
ついに商介プロデュースのセイシン・マーケットも改装が完了。なんど、屋上に自然公園、アスレチック、釣り堀などのレジャー施設をとりいれました。街のスーパーマーケットなのにどんどんデパート化していきますね。この過剰な感じ・・・バブル経済回しまくっています。ちなみにこの屋上レジャー施設には・・・
牧場好きすぎだろ
牧場もあります。牧場大好きすぎだろ・・・。
そんなこんなで逆転に次ぐ逆転で目まぐるしい展開のスーパー大戦争ですが、ついに「スーパー・マルトモ」が伝家の宝刀を抜くときがきました。その伝家の宝刀とは、「青いマルトモカード」。なんかどこかのデパートの赤いカードのパクリみたいな名前ですが、実に先進的な仕組みです。
デビットカードみたいな仕組み
なんとインターネットが存在しない時代にキャッシュレス決済を実現します。「プラレス3四郎」を生んだ牛次郎先生ならではのハイテク発想ですね。
子供でもキャッシュレス可能
コンピュータを使って銀行からダイレクト引き落とし・・・さすがにこんなスゲー仕組みはセイシン・マーケットでは対抗不可能。しかしこのままでは負けてしまう、絶体絶命の窮地に立たされた商介が考え出したアイデアは・・・!?
マッドマックスみたいな展開
スーパーいらないじゃん・・・
なんと、近所の団地に巨大コンボイトラックで来襲。トラック内で直接商品を販売してしまうというものです。もはやスーパーに行く必要すらないという。じゃあなんでスーパー改築したし・・・。
ラスボス感でてます
こんな感じで、息もつけないほどの急展開に次ぐ急展開のスーパー大戦争をしている中、音羽台に最強のチェーン店グループ「西京スーパー」が進出することに。西京グループを率いるスーパーの帝王・大館功次を相手に、商介はどうやってサクセスするのか・・・!?気になる方は是非作品をごらんください。
というわけで、日本経済復興のヒントになるかもしれないしならないかもしれない、ぶっ飛び系ビジネス立て直しマンガ「サクセス・ボーイ」をご紹介してみました。近所に巨大コンボイ乗り付けられたら自分は逃げだしそうですけど、とにかく昔のマンガは発想のスケールが倫理観を逸脱するレベルで凄いなと思った次第です。育毛でもビジネスでもサクセスしたい諸兄にとっておきのおすすめ作品です。
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出典)
『サクセス・ボーイ』 もろが卓/牛次郎/双葉社/グループ・ゼロ
『SHOGUN-ショーグン』所十三/史村翔/講談社