知られざるマタギの世界 マンガ「マタギ列伝」 レビュー

知られざるマタギの世界 マンガ「マタギ列伝」 レビュー











熊の生息地域に看板を立てておけ!俺出没注意と!!

こんにちはJ君です。皆様は「マタギ」ってご存知でしょうか?なんとなく森の中で毛皮のベストを着て、ライフルで熊を狩っている猟師というイメージが持っているのではないでしょうか?実際J君もそうでした。



しかし、マタギとはそんなイメージだけでは語りつくせない、もっと壮絶かつ壮大、孤高の美学を持ったロマン溢れる男の世界なのです。そんなマタギの世界をディープに紹介したマンガが存在します。その名も「マタギ列伝」。これを読めば貴方もマタギ博士です。


「マタギ列伝」の作者は矢口高雄先生です。最近実写版映画にもなった「釣りキチ三平」が代表作ですね。釣りとマタギ・・・自然界での闘いを描いているという意味では通じるものがあります。



東北地方の伝統です





「マタギ列伝」はその名の通り、東北地方伝統の狩猟集団であるマタギの中でも特に凄腕のマタギ達を描いたマンガなのですが、この作品を読む上で重要な「マタギ用語」をまずここでご紹介しておきましょう。



マタギ用語満載



・シロビレ(銃)

・イタズ(熊)

・シカリ(マタギの長)

・サンペ(心臓)

・ケポカイ(解体)




・・・これがマタギ用語です。現代語とはぜんぜん違いますね。

作品中このマタギ用語が普通にバンバン出てきますので、頭に入れておかないとサッパリ分からなくなります。壊れるほどに愛しても1/3も伝わってきません。





「野いちご」のフォントもすごい



最初に紹介されるマタギは「野いちご落としの三四郎」と呼ばれる凄腕の銃のテクを持ったマタギです。「野いちご落とし」と呼ばれるゆえんはなんと、150尺(約45.5m)離れて野いちごの実を壊さず付け根から打ち落とすことができるという・・・たぶん相当すごいんだけど、例えが「野いちご」なので微妙に分かりづらいあたりがマタギクオリティです。



ちなみにこの「野いちご落とし」ができるほどの技術を会得したのは



ドングリで秘密特訓



ドングリの実を糸で結んで一斉に様々の方向に振り、それに向けて素早く照準を合わせるという日々の秘密特訓のたまものによるものなのでした。「ドングリ」なので分かりづらいですがたぶんすごい特訓です。



しかし、「野いちご落とし」に込められた本当の意味はもっと悲しいものだったのです。実は熊は春になると、子熊をつれて野いちごの沢山ある場所に行き、子熊が夢中で野いちごをほおばっている最中に母熊は子熊を捨ててどこかに消えてしまうのです。これが熊の親離れ儀式「野いちご落とし」なのです。





野いちご落としとは・・・



悲しい親離れの儀式です



ドドーン

三四郎も三歳の時に親に捨てられ、今のシカリにマタギとして育てられて生きてきたという悲しき過去があり「野いちご落とし」の三四郎といわれているという・・・なんと、「野いちご落とし」がダブルミーニングだったのです。深いですね。でも例えが「野いちご」なせいで微妙に分かりづらいあたりがマタギ(以下略)





まさに俺出没注意



三四郎は事実上の本作の主人公で、中盤・後半以降はこの三四郎の話がほとんどメインです。銃が使えないと思ったら、その場で木の枝とナイフで長槍を作って熊を刺してしまうという技術も持っています。とにかく熊が最も恐れる男、「俺出没注意度」星5つぐらいのスーパーマタギといっていいでしょう。





二人目に紹介されるマタギは「音無し佐市」

鉄砲の暴発により右耳を失い、右側からの音が一切聞こえなくなった佐市は、しばらくの間、銃が全く的に当たらない大スランプに陥ります。







無音の世界を極めたマタギ



しかし、ある日悟りを開き、自ら左耳も塞いで全く無音の状態で狩りを行うことでスランプを脱出したのでした。以来「音無し佐市」といわれているマタギです。「俺出没注意度」は星3つぐらいです。





三人目のスーパーマタギは「念入り子之吉」

子之吉は目の前に獲物がいても自信がない時は絶対に撃たない、しかし一度引き金を引いたら必ず一発で獲物を仕留めるという超慎重派マタギです。





役人に無理難題を言われます



そんな子之吉がある日、宴会の席で酔っぱらった役人と口論になり、鉄砲の弾キズを全く付けることなく熊を撃って、無傷の毛皮をプレゼントするという賭けをしてしまいます。









子宮貫通クマー







しかし無傷で熊を倒すのは普通のマタギでは不可能しかし、子之吉はなんと熊の真下に回り込み子宮を射抜くという、クマを二つの意味で逝かせてしまう誰も思いつかなかった凄いテクで不可能を可能にしてしまったのです。





エッチな妄想がヒントに



ちなみに熊の子宮を撃つというそのヒントは、奥さんとの夜のエッチにあったのでした。「俺出没注意度」はいろんな意味で星4つぐらいですね。





その他にも、目の前にいても熊が気付かないぐらい完全に木と同化してしまうという「木化け」の術という忍者みたいな技を使う名人マタギの銀次さんという人が出てきます。



最強秘技「木化け」



プレデターみたい



三四郎はこの銀次の「木化け」を習得するために弟子入りするのですが、その修行がもの凄く苛酷なものでした。熊を欺いて木になりすますには、いついかなる状況でも何とも思わない平常心が必要なのですが・・・





これも修行です



なんと、エッチを目の前で見せつけられても何とも思わない特訓です。いやー苛酷だ。苛酷すぎる。





無茶な修行すぎ



「木化けの特訓はもうはじまっている!!これもその一つじゃ」

・・・決して、おっさんの変な趣味ではありません。一流のマタギになるための重要な修行のひとつですので誤解の無いようお願いします。





マタギになるための修行といえばもう一つすごいのがありました。それはマタギ見習いの「コマタギ」が一人前のマタギになるための儀式です。





こ、これは・・・



露出させたチ●チ●を自分でもんで最大級に大きくし、そこに火のついた薪をぶら下げるという・・・





膨張係数・・・



「膨張係数が問題さ」

膨張係数って何だよ・・・で、当然こうなります。





これはつらい



・・・どんな罰ゲームより苛酷なマタギの儀式。J君はこの時点でマタギになるのを完全に諦めました。



そんな感じで知られざる凄いマタギエピソードがわんさか出てくるのですが、マタギは個人だけではなくて「巻き狩り」というチームプレイで熊を追い込むこともあります。ちょっとここでご紹介してみましょう。具体的に熊の追い込み方が見れるマンガなんてめったに無いですよ。






フォーメーションマタギ



マタギのフォーメーションはこんな感じになっています。サッカーみたいにちゃんとオフェンスラインとディフェンスラインがあります。そして、シカリ(マタギの長)が木を叩く合図と共に熊の追い込み開始です。



リーダーが木を鳴らして



銃声で脅します



「ホウリャッ脅し鉄砲だーっ!!」





掛け声はホウリャーッです



「ホウ、ホウリャーッ!!」「ホウリャーッ」





びっくりだクマー



逃げまどう熊。こんな感じで狙撃手のところに追い込んでいくのです。・・・いやー実に勉強になりますね。でも役に立てる機会は全くなさそうですけど。



さらに作品中盤、主人公の三四郎が雪山で遭難し、鷹匠の十兵衛さんに助けられたのがきっかけで、鷹匠修行をも開始します。鷹匠っていうのは鷹を自在に操ってウサギなどの狩りをする猟師です。っていうかどんどん話がディープになっていきますね。





鷹匠カッコよすぎ







鷹匠スゲー。





ムツゴロウさん並



鷹匠修行も超苛酷です。なんと、鷹をてなずけようとする最中に鷹によって右目をえぐられてしまう三四郎。鷹匠・・・命懸けすぎ。しかし、修行の末ついに鷹を手なずけます。





鷹匠+マタギ=最強



マタギと鷹匠のハイブリッドとなった三四郎・・・まさに最強の猟師へと進化しました。



というわけで、男子なら一度は憧れる真の漢のジョブ「マタギ」の世界をご紹介してまいりましたが、「ホウリャーッ」って言いながらクマを追い込んでみたい方や、「俺が操れない鷹はソフトバンクだけだ!」とかいいながら肩に鷹を乗せて颯爽と歩いてみたいという肉食系男子な方には、この「マタギ列伝」を是非ご一読いただきたいです。



ちなみにマタギの世界を描いたマンガとしてはこの「マタギ列伝」の他に「邂逅の森 新約マタギ伝」という作品もありますので、両方読んで知られざるマタギワールドにどっぷりはまってみるのも一興です。両方読めばたぶん町で一番のマタギ博士になれると思いますよ。



J君もとりあえず、お笑い芸人くじら「マタギ スターシリーズ」「鷹匠 スターシリーズ」の動画でも見て、イメージトレーニングだけはしておこうと思います。



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出典) マタギ列伝 矢口高雄/講談社

参考) Amazon →   

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