50円プラスするだけでハンバーグ帝国!孤独のグルメ新作 「日暮里繊維街のハンバーグステーキ」
ええっ?50円でインペリアル化だと!?
こんにちはJ君です。2月17日発売のSPA!に「孤独のグルメ」新作が掲載されました。前回の1月6日発売からわずか1ヶ月での新作発表。嬉しい半面、あまりのペースの早さに戸惑いを感じますがこれは着々と2巻発売への準備が進んでいると解釈してよさそうですね。そしてSPA!を買い忘れたらKindleでも買えるということを最近学習したので精神衛生上安心です。
ところで今回の「孤独のグルメ」を読む前に1つのキーワードを覚えておきましょう。それは「imperial(インペリアル)」。日本語の意味で「帝国」「皇帝」「最上級」などです。帝国ホテルも英語にするとインペリアルホテルですよね。今回は事前にこれを理解しておくと分かりやすいです。インペル、入ってる。
それにしてもSPA!の今回の表紙なんとかならんのか…40代狙い撃ちで殺しにかかってて40代のJ君は非常に買うのに躊躇しました。まあね、40代になると確かに色々体の衰えを感じますけどね正味の話。
念のため「給食のグルメ」ぐらいしか知らないビギナーの皆様のために「孤独のグルメ」を簡単に作品をご説明しておきますと、輸入雑貨屋社長の独身貴族のゴローちゃんこと、井之頭五郎が、定食屋とか居酒屋とかの庶民的なお店で飯を食べつつ、「トンちゃんしばらく入れてない」とか言ったりするハードボイルドなグルメ作品です。全然説明になってない気がするので、詳しくはこちらやこちらをお読みください。
今回の舞台は日暮里繊維街という生地や繊維など衣料関係の問屋が並ぶ町です。繊維街…そういうのもあるんだ。東京住みですが正直知りませんでした。押忍!勉強させていただきます。
さて、早速食べ物屋を物色するゴローちゃんですが、さっそく奇異なお店の看板を目撃します。
画期的だ…
「寿司とパスタ…」
こ…この組み合わせは、あれじゃないの?鰻と梅干とかの食い合せ的なアレ。シェーキーズとかすたみな太郎でもやってないんじゃないかその組み合わせは。個人的には嫌いじゃないけど。
怒涛のツッコミ
「空腹が逆なでされる」「どういう心構えで入店すればいいのか」「胃袋が立ち往生するぞ」「水と油だ」
この意外すぎる組み合わせに対し、マシンガンのようにツッコミを入れるゴローちゃん。何気に入店した時の心構えまでシミュレーションしようとしている姿勢が流石です。嫌なら店に入らなければいいだけなのに、一人飯のプロとしてのプライドが許さないのでしょうか。
まあ繊維街だからね
「うわぁ生地 生地 生地。 舞台衣装 企画、製造、販売って」
散々突っ込んだ挙句、「すしとパスタ」の店は華麗にスルー。繊維街を散策するゴローちゃん。正直寿司とパスタの店に特攻してもらいたかった気持ちもありますが、タイトルから分かる通り「ハンバーグステーキ」ですので残念ながらそれはなさそうです。今回のゴローちゃんはひたすらディフェンス。守りに徹します。
俺は腹が減ってるだけなんだ
「えー、このご婦人方も舞台に立つの」「歌うのか、踊りを踊るのか」
舞台衣装の店に入っていくオバサマ達にもツッコミを入れだすゴローちゃん。いや、まあツッコみたく気持ちはわからなくもないけど、「40代で女子かよ!」みたいなのと同じ心境でしょうか。でもゴローちゃん、とりあえずホント飯食って落ち着いたほうがいいよ。
引きで描かれた外観がスゴい
そして今回チョイスしたお店がこちら。ツタが絡まった…というレベルを逸脱して植物に飲み込まれつつあるジャングルのようなお店です(実食レポはこちら)。すごいビジュアル。こ、これは東京トワイライトゾーン物件じゃないの!?
奇怪でも怯まないゴロー
まるで廃屋のような奇怪な店…しかし完全に入る気満々のゴローちゃん。寿司とパスタはダメだけど廃屋はオッケーなゴローちゃんアンテナ。長年の経験がなせる技でしょうか。
先客メニューチェック
インパクトありすぎる外観に対し、中は普通に小奇麗な洋食屋であることが判明。そして早速、他の客が食べているハンバーグに目をつけます。まず先客が頼んだメニューをチェックし、お店の売れ線メニューを把握するのがゴローちゃんのすべらない注文テクなのです。
守りのゴロー
「こんな奇妙な店で冒険や挑戦は禁物」
どうやら先客メニューと同じハンバーグステーキに決定した模様です。たしかにハンバーグステーキはどんな店でもハズレが少なそうです。初めての店でディフェンスするならハンバーグを。覚えておきたい豆知識ですね。
確かに気になるハムライス
「ポークライスって」「ハムライスってどういう…?」
注文した直後に他のメニューが気になりだすあるあるを繰り出すゴローちゃん。それにしてもポークライスにハムライス、聞きなれないメニューすぎて想像つきませんね。こういうシンプルすぎてどんなのか想像がつかないミステリアスなメニューってどこのお店にも1つはあるものです。
食い気味ゴロー
「そうそうそう、こういうものが食べたかった!」
「慌てるな 心と胃袋がつんのめってるぞ、俺」
どうやらゴローちゃんのハートにジャストフィットなハンバーグステーキが出てきた模様です。寿司とパスタでは「胃袋が立ち往生する」とか言ってたゴローちゃんでしたが、よかった、ハンバーグにしてほんとによかった、そんな気持ちが伝わってきます。
なんかわかる
「洋食屋のライスって和食屋や定食屋とは別の味がする」
なんかわかる気がします。大きな要因としては、茶碗に盛られるか平皿に盛られるか、お箸で食べるかフォークとナイフで食べるかの違いでしょうか。化学式で割り切れない味の世界です。ご飯とライスの違いといってもいいかもしれません。
スパゲティくん
「この付け合せの具なしスパゲティくんがどういうわけか俺、大好き」
さらにハンバーグに付け合せのスパゲティにも言及。「スパゲティくん」とかもういい歳した大人の発言とは思えないわけですが、ハンバーグのソースと絡ませることが前提となっている付け合せスパゲティって元のハンバーグが美味ければ必然的に美味くなりますよね。実に合理的です。
ハンバーグに卵は重要です
「あ、あの、ハンバーグに卵がのっていなんですが」
ハンバーグステーキにすっかりご満悦のゴローちゃん。しかし、順調かと思われていたお食事タイムに問題が発生します。先客のハンバーグに乗っていたはずの目玉焼きが乗っていません。これは納得いきませんね。そこでマスターにクエスチョンです。すると目玉焼きが載ってるのは「ハンバーグステーキインペリアル」というメニューであることが判明。な、なんていう致命的ミス。
インペリアル化するハンバーグ達
「え?50円でインペリアル化」
そうなのです。ハンバーグステーキとハンバーグステーキインペリアルの差はわずか50円。わずか50円多く出していれば最上級のハンバーグ帝国が眼前に現れていたはずなのです。これは残念すぎますね。インペリアルについての事前のチェックが甘かったと言わざるを得ません。
ハムエッグ、その手があったか!
インペリアル言い過ぎ
「ハハ、あとづけインペリアル」「本家よりインペリアルだぞ」
しかしここでのゴローちゃんの振る舞いは実に冷静沈着でした。ハムエッグを追加オーダーし、ハンバーグに乗せることで後付けインペリアルを実現したのです。あとづけインペリアル、そして本家よりインペリアル…なんかインペリアルという言葉がどんどん軽いものになっていく気がします。「後付け帝国ホテル」ってなんか嫌ですよね。
なんかかわいい
最後にメロンソーダでビシッと締めるゴローちゃん。昔チェリオのメロンソーダにわざとらしいメロン味とかなんとかツッコミを入れていたゴローちゃんが思い出されるわけですが、洋食の後に合うのはメロンソーダですよね。もしくはレスカ。決してコーラではない。
繊維のキツネ…
「繊維のキツネにでもつままれたような午後だな…」
ラストシーンは最近なかった不思議なオチです。うーん、ゴローちゃん何言ってるんだかよく分からない。繊維のキツネってなんだ!?ググっても出てこないぞ!そうか、これが噂のインペリアルなオチか!(噂になってない)
というわけで、今回の孤独のグルメはなんともインペリアルな回でしたね。「ハンバーグをあとづけインペリアル化するたった一つの方法」を実践してくれたゴローちゃんに敬意を表し、みなさんもご家庭でレッツインペリアル!
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出典)「孤独のグルメ」 扶桑社/久住昌之/谷口ジロー
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