「トラウマ飯」がヤバい!異色のグルメマンガ・・・清野とおる「ゴハンスキー」レビュー
「コケ寿司」ってなんだ!?
「孤独のグルメ2巻」フィーバーもようやっと落ち着いてきた頃でしょうか。1巻と違って発売直後からバカ売れしてしまったせいか、ゴローちゃんの性格が変わってしまった、おしゃべりになりすぎた、など手厳しいレビューも散見されます。確かにおっしゃるとおり、そういう部分は否定できません。でもね、なにせ18年経ってるマンガです。ご長寿マンガで主人公のキャラが初期と変わってしまっているマンガは少なくありません。両さんも山岡さんもキン肉スグルも最初の頃と比べたらみんな別人ですよ。でもね、それも含めて愛したいじゃないですか。これは変化じゃなくて進化、エボリューションなのですよ。
話がそれましたが、「孤独のグルメ2巻」とほぼ同時期、同じ扶桑社から清野とおる先生の初のグルメマンガ「ゴハンスキー」が発売されています。こちらはなんと「トラウマ飯」がバンバン出てくるという・・・もはや孤独とかそういうレベルではすまされない、異色すぎるグルメマンガだったのです。
「ゴハンスキー」は、清野先生の代表作「ウヒョッ!東京都北区赤羽」や「そのおこだわり、俺にもくれよ!!」と同じテイストながら、食べ物にまつわるエピソードに特化したエッセイマンガです。以前から清野先生のマンガでは「別に大した食い物じゃないのに妙に美味そう」に描写されている現象を確認していたので、多分グルメマンガとは相性が良いんじゃないかと思っておりましたが、ついに出たか!という感じです。
ポテサラ棒倒し
たとえば「そのおこだわり、俺にもくれよ!!」では、ポテトサラダに異常にこだわる男が出てきます。自宅にオッサンばっかり集めてポテサラ棒倒し大会を開催する件なんか、どう考えても狂気を帯びてるんですけど、読み終わると何故かポテサラが無性に食いたくなるんですよ。
ポテサラうまそう・・・
こんな感じの若干タガの外れたグルメエッセイが「ゴハンスキー」では25話も収録されています。
早速ご紹介していきましょう。
「ダイソーの安ワイン」の話では、まさかのダイソー安ワインがやたらに旨い、という話。
以前に飲んだ4000円の赤ワインより美味かったというんだから尋常じゃないです。ダイソー恐るべし・・・どんなスゴ腕バイヤーがワイン仕入れてるんでしょうか。
まじかよダイソー行ってくる
さらに、100円で買ったダイソーのツマミ類がどれも本格的な味で美味いという。ダイソーで買った酒とツマミで十分酒宴が成立してしまうという衝撃。
地鶏の味ってどんなの?
ダイソー飲みは十分イケる!という結論に至っています。これを読んじゃうとダイソー飲み、やってみたくならないですか?J君はなりましたよ。しかし残念ながらダイソーワインは実験販売だったらしくもう売ってないとか・・・。
「100円ローソンの干しほたるいか」の話では、何気なく100円で買ったツマミ「干しほたるいか」がやたらと本格的な味だった、という話。それにしてもダイソーといい、100円グルメの話が多いな・・・。
まさかの美味さ
イカの内臓の風味が広がって、買い占めたくなるほどの美味さとか。たかが100円の干物のぶんざいで・・・これは気になりますね。
100円とは思えないクオリティ
というわけで気になりすぎたのでJ君が実際に近所の100円ローソンで買ってみましたよ。
100ロー限定です
パッと見は地味です
コレです。ビジュアル的には地味なのですが、食べてみると・・・うわっ!スゲー濃い!!
最初は普通のスルメじゃん・・・という味なのですが、すぐに普通のスルメとは明らかに違う濃厚で複雑な、ちょっと苦味のある味わいが追いかけてきます。これはワタの味?なのか。これは確かに旨い。一袋瞬殺しました。ちなみに作品中でも紹介されているのですが、ライターで炙るとさらに香ばしさが加わって絶品です。ただし食べた後に塩分で喉がカラッカラになるので、チューハイとかビールとかドリンク類は必須ですね。
この「干しほたるいか」、ローソンストア100での限定販売らしいのですが、最近そのローソンストア100が恐ろしい勢いで閉店しまくっており、J君の近所にあったローソン100も4件あったのに今は1件を残すのみです。近くにローソン100がある人は、極上のツマミを激安で手に入れるラストチャンスかもしれません。
続いて「そこは寿司屋かラーメン屋か」という話。
なんと、練馬区のK駅で寿司屋とラーメン屋が合体しているという謎の店を発見。
店構えは完全に寿司屋なのに、のれんには「中華そば」と書かれており、おしながきも寿司メニューとラーメンのメニューが半々・・・。
B級スポットの香りがスゴい
これはグルメならずともB級スポットマニアには気になりすぎる物件ですよね。
このお店では、大将はすでに寿司は握っておらず、刺し身系の一品料理とラーメンがメインとのこと。スゲー組み合わせだな。
お漏らしオヤジが夢中になる美味さ
ここでアクシデンツ、店に入ってきた酔っぱらいオヤジが、股間をお漏らしでビショビショにしながらラーメンをオーダー。股間を抑えながら怒涛の勢いでうまそうにラーメンをかっこむというシーンを目撃。お漏らしもそっちのけで食べたいほどのラーメン、これはものすごく美味いのではないか!いやが上にも期待は高まりますね!
あれ・・・?
そのラーメン、美味かったかというと・・・そうでもなかった模様です。まあ寿司屋だしね(寿司やってないけど)。作品中ではあえて店名を出してないのですが、実は「練馬区のK駅」ってかなり場所が限定されてしまいます。調べようと思えばすぐに分かってしまいますので、決して「練馬区 寿司ラーメン」とかで検索しないように!!
「立ち飲み日高のススメ」の話では、埼玉県の大宮界隈に多数出店している中華そばチェーン日高屋による立ち飲み業態の店「立ち飲み日高」が紹介されています。日高屋は知ってましたが、立ち飲み日高なんて知りませんでした。
立ち飲み日高なんてあるんだ!
酒好き主婦OLのKさんのナビゲートにより立ち飲み日高の独特のシステムが明らかになります。
これは斬新
なんとタッチペンによる注文システム。店員をいちいち呼ばなくていいのです。これはいいですね。この方式なら「いかんな、タイミングがズレてる」状態になることはなさそう。コミュ障のJ君にはピッタリです。
ナンパか!
一人で飲んでると、ペンを渡してきて「好きなの頼んでいいよ」って言ってくれるナイスなおっちゃん「ペンフレンド」の存在もイカしてます。小洒落たバーで「あちらのお客様からです」ってやるよりもずっとクール!
東京都北区王子にあります
というわけで「ふらっとJYAMAO」のお時間がやってまいりました。行ってきましたよ。「立ち飲み日高」。本拠地である大宮はJ君には遠すぎるので、数少ない都内の店舗「立ち飲み日高 王子店」に行ってまいりました。火曜日でしたがめっちゃ混んでます。大盛況です。そしてもちろんお客さんは全員立ってます。
メニューとタッチペン
注文するをタッチして確定
これが謎のタッチペンオーダーシステム。なるほどこれは面白いです。何より気を使わなくていい。イイですこれ。
見た目がすでに美味そう
右がかしら、左がせせり
おすすめメニューのもつ煮込み(200円)と焼き鳥のかしら焼き(塩)とせせり焼き(塩)を頼んでみました。もう中華とか全く関係なくガチの居酒屋メニューとなっており、唐揚げとかアジフライとか一部のメニューを除いて日高屋の面影はありません。
煮込みは期待通りな原寸大の美味さで、200円はコスパ良すぎ。カシラは歯ごたえ、付け合せの辛味噌も申し分なく、埼玉県東松山市の名物B級グルメと寸分たがわぬクオリティ。これが東京で食べれるとは素晴らしい。
作品中にも出てきた竹輪天
調子に乗って、竹輪の天ぷら(190円)も頼んでみました。揚げたてで外側がサクサク。コレもイイ!なにより190円とは思えないボリューム感。明らかに頼みすぎました。いやあ、これは再訪したい。許されるなら全メニュータッチペンしたい勢いでした。
その他、本作品では「トラウマ飯」に代表されるかなりヤバいグルメエピソードも収録されており、これぞ清野とおる作品の醍醐味と言えなくもないのですが、どれもこれも酷すぎる。
暴力保育園
園児に容赦なく暴力を振るう暴力保育園での恐るべき給食体験。幼少期にこんな目にあったら文字通りトラウマだわ・・・。
次々人が倒れるお好み焼き屋
一番隅の席に座った客が次々ブッ倒れるという恐るべきお好み焼き屋の話。毒ガスでも出てんのか!
恐怖のドングリ拾い
父親に頼まれて神社に椎の実を拾いに行ったら、変質者のオンパレードだった話。保育園の話しといい、清野先生は幼少期からすごい体験してんな・・・。
まさかの正体は単行本で!
そして、超気になる謎のメニュー「コケ寿司」、本当にコケが乗っている寿司なのか?それとも何かのメタファーなのか?気になりすぎる「コケ寿司」そのまさかの正体は・・・是非単行本をご確認ください。
というわけで、激安グルメからトラウマグルメまで取りそろえた異色なグルメマンガ「ゴハンスキー」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか?25話もあるので読み応えは十分ですよ。皆さんもきっと一つぐらいは抱えている「食にまつわるトラウマ」を、これを読んで開放してみるのがいいんじゃないでしょうか。
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出典)「ゴハンスキー」 清野とおる/扶桑社
【告知】日刊サイゾーで「ザオリク的マンガ読み」という連載をやってます!
【告知】4/24 BLACK徒然草本 第二弾!「このマンガ 恐るべし…!!」が清野とおる先生の表紙で発売されました!読んでね!!