クズの見本市マンガ「連ちゃんパパ」と「実録 あだち充物語」 その意外な接点とは?

クズの見本市マンガ「連ちゃんパパ」と「実録 あだち充物語」 その意外な接点とは?

全国が緊急事態宣言による外出自粛の真っ只中の2020年5月、1990年代の単行本化すらされていなかった、とあるマンガが突如ネット上でブレイクしました。そのマンガの名は「連ちゃんパパ」。ファミリー感あふれるほのぼのした絵柄でありながら、登場人物がほぼ全員クズ。清々しいぐらいに胸糞悪い読後感が評判の作品です。

ステイホーム中の僕らの前に突如として現れた、パチンコによって堕ちていく底辺ファミリーの物語は、先が見えずに不安でモヤモヤしていた僕らにとって、「ああ、こんな悲惨な奴らもいるんだな、俺はまだ大丈夫だ」・・・とホッとさせてくれた、癒やしの時間を与えてくれた作品だったのです。

本日はこの「連ちゃんパパ」を紹介しつつ、「連ちゃんパパ」と意外な接点を持っていたあだち充先生の若き頃を描いたマンガ「実録 あだち充物語」を一緒にご紹介してみたいと思います。

 

■登場人物みんなクズの「連ちゃんパパ」

「連ちゃんパパ」は、ありま猛先生が1994年から1997年にかけて「パチプロ7」で連載していた作品。単行本化はされておりませんが、現在は電子書籍としてマンガ図書館Zで無料で読めたり、AmazonのKindle Unlimitedで読めたりします。あまりの人気でマンガ図書館Zのサーバーが落ちるほどだったとか・・・

 


ほのぼのファミリーマンガだと思ったら・・・

「連ちゃんパパ」のストーリーを紹介しましょう。主人公・日之本進は高校教師。妻の雅子と息子の浩司の3人家族で、ごく普通の円満な家庭に思われていたのですが、ある日、妻の雅子が書置きを残して失踪。その直後、コワモテの借金取りによる恐ろしい取り立てが始まりました。実は、雅子は地元では有名なパチンコ依存症の主婦で、進の知らないところで300万円もの借金をしており、家族を捨てて他の男と夜逃げしてしまったのです。まさかの妻先行クズ設定。

 


パチンコ狂いで男を作って失踪した母ちゃん

進は息子の浩司を引き連れて失踪した雅子を探すため、教師を辞めて全国行脚の旅に出ます。ここまでなら失踪した妻を探す甲斐甲斐しい夫の物語と言えそうですが、進自身もパチンコ依存症に陥り、収拾のつかないクズキャラクターへと変貌していきます。さらにこのマンガではその他のゲスト的な登場人物もことごとくクズで、当初一番の悪人だと思われていた借金取りが、相対的に一番いい人に見えてしまうという現象が起きています。

 


父ちゃんもパチンコにハマって次第にクズに

というわけで、どこを切ってもクズだらけの「連ちゃんパパ」の中から、J君が選ぶ珠玉のクズエピソード「ベスト5」をご紹介したいと思います。

 

□第5位 出産費用をパチンコにつぎ込むクズ夫


出産費用をパチンコにつぎ込むクズ夫

失踪後、いろいろな男をとっかえひっかえだった雅子は、進と再開した時には浮気相手との子を妊娠していました。それもなかなかアレなんですが、すでに働かずにパチプロになると決めていた進は、雅子が出産費用を貯めているのに目をつけ、「増やしてやるよ」とパチンコ代をせびります。「増やしてやるよ」って言ってる奴が本当に増やした試しはありませんよね。

 

□第4位 働く気ゼロの生活保護申請


働く意思がストロングゼロ

元教師だったとは思えないほど、全く働く気ゼロの進。生活保護の存在があることに気づいてしまいます。働こうと思えば働ける、十分な健康体なわけですが「オレが働きたくないの、まだわかんないのか」というやたらと前向きなクズ台詞が読者をもれなく胸糞な気分にさせてくれます。

 

□第3位 息子の担任を襲うパパ


息子の担任の処女を奪うパパ

クズ両親に振り回され続ける本作品最大の被害者、息子の浩司ですが、遂にその悲惨な境遇を小学校の担任(処女)に知られることとなります。こんなクズ父親には任せておけないとばかりに、浩司を預かることにした担任の先生。実に責任感溢れる行動だったのですが、家まで乗り込んできた進が仮病を使うなどで同情を誘い、心配させたスキになし崩しで担任をヤッてしまいます。うーんクズオブクズとはまさにこのこと。

 

□第2位 世にもゲスい借金の取り立て


ゲスい借金の取り立て

パチプロでは生計が立てられない進は、借金取りの取り立てを手伝うバイトをすることになるのですが、そこで意外な才能を発揮します。子供のいる債務者を集中的に狙い、親ではなく子供を徹底的に狙い撃ち、子供が学校でいじめられるのを見かねた親が金を返済する・・・という算段です。しかし、結果として客をガス自殺に追い込んでしまうのでした。元教師とは思えないほどのゲスさですね。

 

□第1位 保険金殺人を画策する妻


旦那を保険金目当てに殺そうとして失敗した妻

パチンコをやめられず借金がかさんでいく進に対し、借金取りと雅子が共謀して、保険金殺人を計画。しかし頭めがけてゴルフボールが飛んできたり、海に落ちてサメに食われそうになったりするも運よく回避する進。さらにフィリピンのカジノで一発当てた進は借金を返済してしまいます。何という悪運の強さ。そして、五体満足でフィリピンから戻ってきた夫を出迎える雅子のシーンです。「ニコッ」ていう笑顔が怖すぎる。

 


実は人情派の借金取り

ちなみ本作品の裏の主役とも言える借金取り。えげつない金利と情け容赦のない取り立てをしつつも、浩司の悲惨な境遇が自分の子供の頃に似ているということで、随所で日之本一家が立ち直るための手助けしてあげていたのでした。本作の良心は借金取りだったのです。

 

■「連ちゃんパパ」のモデルとなった人物が登場する「あだち充物語」


あだち先生の若い頃、インパクトがすごい

 

ここからは「実録 あだち充物語」をご紹介します。いやいや、どう考えても「みゆき」「タッチ」「H2」のあだち充先生と接点がなさすぎだろ、と誰もが思いますよね。実は、キーパーソンはあだち充先生の兄・あだち勉先生(故人)でした。


売れっ子漫画家の弟とダメ兄貴

 

ねとらぼによるタイムリーすぎるありま猛先生のインタビューによれば、ありま先生の最初のマンガの師匠は、あだち充先生の兄であり、マネージャーでもあったあだち勉先生だったとのこと。そして「連ちゃんパパ」の主人公・日之本進は女好き、ギャンブル好きで破天荒な人生だったあだち勉先生がモデルになっているのだそうです。

そして、そのあだち勉先生の唯一とも言える代表作が「実録 あだち充物語」だったのです。


赤塚不二夫先生のチーフアシなどをやっていたそうです

 

「実録 あだち充物語」は兄・あだち勉目線で描いたあだち充先生の伝記的作品で、若かりし頃のあだち充先生の苦労話なども描かれているのですが、弟より売れなかった自分の境遇だったり、「天才・あだち充はワシが育てた」的な自慢話を自虐的なギャグテイストで描かれていて、むしろあだち勉先生自身がメインのマンガとなっています。


あだち充はワシが育てた


弟による反論

 

あだち充先生によれば、兄の最大の功績は自分をマンガの世界に呼び込んだことだそうで、それ以降は・・・のようです。たしかに「連ちゃんパパ」に出てきそうな感じの人だったのかもしれません。


兄貴の悪影響がすごい

 

あだち充先生もお兄さんの影響によりパチンコにハマっていたようで、パチンコに関するエピソードも出てきます。ありま先生も勉先生の影響によりパチンコ依存症になったとインタビューで言ってましたし、本当にパチンコって恐ろしいものなのですね。

作品の最後にあだちプロのスタッフたちがあだち勉先生の人物評を口々に言うシーンが有るのですが、これがまた酷くて笑っちゃいます。もちろん自虐ギャグの一環なわけですが、マンガ界における裏レジェンドのような存在だったということなのでしょうね。


メチャクチャな言われよう

 

■■■
引用)
『連ちゃんパパ』 ありま猛 / 秋水社
『実録 あだち充物語』 あだち勉 / 小学館

タイトルとURLをコピーしました