地球のみんな!オラにカロリーを分けてくれ!
こんにちはJ君です。近年はやれスローフードだ、低インシュリンダイエットだと現代人の食生活はヘルシー志向、低カロリー志向へと向かいつつあります。これは実に嘆かわしい傾向だと思いますね。とりわけセレブという人種はグルメであることが必須条件。昼夜を問わず美食を追求するセレブにとって、カロリーなど気にしている暇はないはずだというのに!
そんなすっかり日和った、秩序のない現代にキン肉ドライバーを食らわせるべく一人(というか二人)の漫画家が立ち上がりました。その名は「ゆでたまご」。本日はキン肉マンでおなじみゆでたまご先生の渾身のグルメマンガ「グルマンくん」をご紹介いたします。
ゆでたまご先生の代表作は「キン肉マン」「闘将!拉麺男」「キン肉マン2世」といった一連の作品のほかにいわゆるゆでたまご打ち切り三部作といわれる「ゆうれい小僧がやってきた!」「スクラップ三太夫」「蹴撃手マモル」が存在します。いずれも妖怪・ロボット警察・ムエタイという斬新な素材を扱いながら、なぜか最終的には超人モノとなってしまうという「ゆでイズム」溢れる作品群でした。
「スクラップ三太夫」「蹴撃手マモル」と立て続けにジャンプでの連載が打ち切られ、文字通りスクラップ寸前となったゆでたまご先生が求めた新天地、それは角川書店発行の「月刊少年エース」でした。そこで生まれたのが、先生初のグルメマンガとなる「グルマンくん」だったのです。
ゆでたまご先生とグルメ、一見意外な取り合わせに思えますが、実はそうでもなく、ゆでたまご先生は吉野家から名前入り丼を進呈されるほどのグルメであることは、トリビアで取り上げられた有名な話ですし、なんといってもペンネームが「ゆでたまご」です。食材を冠したペンネーム・・・これはただの偶然ではないでしょう。(ただの偶然です)
さて、壮大なゆでたまご語りはこのぐらいとしまして、早速作品のご紹介と参りましょう。グルマンくんの詳細については全話レビューという神をも怖れぬ行為を行っているDOOM帝国さんが有名ですのでそちらにお任せするとしまして、当サイトでは、事実上グルマンくんの全エッセンスが集約されている伝説の第一話を中心にご紹介していきたいと思います。
主人公の食井カンロ通称「グルマンくん」は有名な陶芸家で日本一のグルマン食井カン太に幼い頃からグルマンとしての英才教育を受けて育ちました。なぜか「美味しんぼ」の設定に酷似していますがたぶんわざとです。
グルマンの英才教育とは、フカヒレスープのうぶ湯で体を洗われ、眠るときはベッドのスプリングがわりに北京ダックを敷き詰め、黒豚の腸詰めソーセージを筋肉養成ギブスとし・・・ってこの時点で発想がすでに超人チック。打ち切りに向かって一抹の不安を感じさせますね。
さてそんな天才少年グルマンのカンロ君の通う飯盛小学校では、なんと毎週水曜日に弁当コンテストを行っているのです。弁当コンテストの名はダテではなく非常にレベルの高いものが出品されます。
まずはJリーグラモス弁当。(レシピはこちら)
なぜ弁当でラモスを表現する必要があるのか理解に苦しみますが、とにかくすごい再現度です。
次の弁当はもっとすごい。ナウなカップルよ集まっておいで。横浜みなとみらい21ミートパイ!(レシピはこちら)
ナウなカップルというか、集まってくるのはきっとバカップルだけの気もしなくはないですが、とにかく恐ろしいまでのレベルの高さ。TVチャンピオンだったらこの時点で優勝できそうです。きっと中村ゆうじのパントマイムが止まらないことでしょう。
しかしこの二つの弁当は、所詮雑魚キャラの出してきたもの。いわば前座です。真の優勝候補たちの弁当の発表がこれから始まります。グルマンくんの最大のライバルで弁当コンテスト優勝の最右翼、銀座のフランス料理の名店モキシムの御曹司、味本魚菜くんの弁当です。
子供達のヒーローウルトラライダー!(レシピはこちら)
なんと、全て食べ物でできたヒーローが登場。ものすごい技術です。
頭部のオマールエビの刺さり具合・・・相当な技術の持ち主に違いありません。
また、カラータイマーとしてわざわざ取り付けられたマグロの目玉。生臭いので弁当に入れないで欲しい食材No1です。
さすが優勝候補。他の生徒達の評判も上々です。
「土台は世界三大珍味のひとつ、ガチョウの肝臓フォアグラだわ!」
「これ、安く見つもっても100万円はかかってるわ!」
・・・・ついでにカロリーの方も100万キロぐらいありそうですが。
それにしても御曹司とはいえ、一回の弁当に100万円ものコストをかける味本魚菜。(一般家庭だったら即破産です。)相手にとって不足はありません。果たして主人公のグルマンくんはどんな弁当で仕掛けてくるのでしょうか?
世界一のお山エベレスト登頂チキンライスだー!
えーと、さっきからずっと疑問に思ってたんですが、それを言っては元も子もないと思ってずっと抑えてたんですが、やはり言わせてください。これ弁当なのか?
ま、それはさておき、優勝候補の本命であるグルマンくんのエベレスト登頂チキンライス。なんだか味本魚菜のウルトラライダーには一歩及ばない気がします。意外と期待はずれだったなと思った方、あなたはまだゆでたまごを分かっていない!
さあ、登山者たち、頂上を目指せ!
ああっとー!(中略)
おおっとー!(中略)
「このチキンライスの中央部にはガスバーナーが仕掛けてあるんだ!」
普通にガスバーナーを学校に持ち込んでいる小学生。よく考えたら恐ろしい話ですね。
そんなわけでただのチキンライスがオムライスに豪快に変身したために、見事グルマンくんの優勝となりました(レシピはこちら)。ところで、先生は食べ物をおもちゃにしてはいけないって小学校の時教わらなかったんでしょうか?
しかし、エスカレート一方の弁当コンテストに疑問を投げかける生徒がおりました。弁当のおかずが梅干しかない貧乏生徒の与輪木(よわき)くん。
「ボクみたいに質素な弁当しか持ってこれない子もいることを忘れないでね。」
なんとも胸に突き刺さるセリフです。
さて、次の週の水曜日、例によって弁当コンテストの日です。前回グルマンくんに惜敗した味本魚菜は前代未聞の超ド級弁当でリベンジです。
「ジャンボジェット機が入ってきた!」
「うわ、このジェット機お肉でできているわ・・・」
「これぞ肉の王様兵庫県の但馬牛霜降りロースのステーキで作ったボーイング747だー!」
「おお!バターライスの空港に着陸するぞ!」
「これで完成,、関西国際空港弁当ーーーーっ!」
ツッコミどころは山ほどありますけど・・・ここでツッコんだら負けかなと思ってる。そして・・・
「あ、ジェット機に切れ目が・・・」
「そしてステーキどんぶりに変身ーーーー!」
ステーキどんぶりっていってますけど、どう見てもウ○コにしか見えないのはJ君だけでしょうか?(レシピはこちら)
対するグルマンくん、今回のテーマは与輪木くんの言葉に打たれ、みんなで楽しめる弁当にチャレンジ。
「ボクの弁当はこれさ!」
なんと、大鍋に昆布が敷いてあるだけの弁当。実はこの鍋に生徒のみんなの弁当を投げ入れることを要求。一体何を考えているというのか?
「5年3組友情ぞうすいのできあがり!!」
っていうか、ぞうすいって弁当なんでしょうか?(しかも中身は他人の弁当)
そんなわけで弁当(?)に友情を盛り込んだ画期的なアイデアでまたしてもグルマンくんが勝利したのでした。
第1話だけで、このボリューム。その後も押し寿司で地層や化石を再現した「化石発掘洋風押し寿司」(レシピはこちら)など、とどまることを知らない超絶グルマンが次々と展開されていきます。おそるべしゆでたまご。だれか先生に「弁当」の定義を教えてあげて下さい。
というわけで、ゆでたまご先生が放つ異色の高カロリーマンガ「グルマンくん」いかがだったでしょうか?こちらではご紹介できませんでしたが、後半はお約束の超人オリンピック的展開もあり、最後まで目が離せません。
ヘルシー度ゼロのこのマンガこそ、現代人の軟弱になりきった食生活に対する一つの回答だと考えます。低脂肪、低カロリー、低コレステロール・・・そんなものはクソ食らえ!そんな先生の熱いメッセージをシカトしつつJ君は今日もダイエットに励もうと思います。
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参考) レビュー → ■
出典)「グルマンくん」 ゆでたまご/角川書店