スパイダーマン 池上遼一版

悲惨!スパイダーマンの転落人生




こんにちはJ君です。つい最近ですが当サイトでは、スパイダーマン2の日本公開に便乗するように東映版スパイダーマンをご紹介いたしました。しかし、まさか本家がやるとは。さすが資本主義社会です。スパイダーマンDVDボックス・・・税込 47,250円也。さあみんな!少ないボーナスを突っ込んでスパイダーマンと心中だ!(J君はしません)



そんなわけで本家にすっかりお株を奪われてしまい、存在意義の薄れてしまった東映版スパイダーマンのテキスト。しかし、日本にはもう一つのスパイダーマンが存在することはご存じでしょうか?しかも実写ではなくマンガ版。それが本日ご紹介する池上遼一版「スパイダーマン」です。



実は池上遼一バージョンのスパイダーマンが存在するという情報は多くの方からいただいておりました。何故、レビューしないのかと。あんなにツッコミどころのあるスパイダーマンはそうないぞと。遼一を出せ!と。いやいやいやいや、ちょっと待って。そうあせりなさんな。



池上遼一先生といえば男組、サンクチュアリ、クロマティ高校、等々・・・日本を代表する劇画作家。その池上先生が描くスパイダーマンなのだからそれはもう当然ハードボイルド調に決まっています。そう、世に多数あるスパイダーマンの中でも最もダークネスな作品がこの池上遼一版と言えるでしょう。





注)コレは違います



主人公は小森ユウというちょっとさえない高校生。将来科学者を夢見る青年で化学実験室で実験ばかりの日々を送っていました。ある日、ユウは実験室に備え付けの放射能制御装置をいじっていました。その放射能制御装置に触れたクモに刺されてしまうユウ。すると体に異変が・・・・



スタンド並み・・

鉄骨をパンチ一発でひしゃげさせてしまう恐るべきパワー







そして壁を自在に上る能力を身につけたのです。



クモの特殊能力を身につけたユウは、全身タイツとくもの糸を自在に出すことのできる小道具を作成。スパイダーマンとなるのです。放射能制御装置なんてモノがなんで高校にあるのか?という疑問を除いては、アメリカの元祖スパイダーマンの設定と比べてもあまり違和感がありません。




危ないです





スパイダーマンは敵を察知する能力が異常に発達しています。街にはびこる危険人物はスパイダー感覚がしっかりキャッチ!要するに妖怪レーダーみたいなものです。





スパイダー感覚・・・ちょっと夢に出そうな感覚ですよね。



しかし、この池上遼一バージョンのスパイダーマンは他のスパイダーマンを比べても圧倒的に違う点があるのです。それは何か・・・?主人公があまりに可哀想なところです。特にストーリー部分を平井和正先生が手がけるようになってからは、回を重ねるにつれてどんどん悲惨な状況に追い込まれる主人公。最初は胡散臭がられながらも、最終的にマンハッタンのスーパーヒーローになったアメリカ版とは全く対照的なダークネスな展開です。でも、ここを見ている皆さんのようなネット廃人は、そんな池上版スパイダーマンの方がお好みだと思います。(人の不幸は密の味)



最初に倒した敵エレクトロは実は惚れてた女の子ルミちゃんのお兄さんでした。だからルミちゃんはスパイダーマンを超恨んでいます。スパイダーマンのデビュー戦からしていわく付き。スパイダーマンの転落人生はここから始まります。



エレクトロ・・かなりカッコ悪い





たった一人の家族の兄を失ったルミちゃんは水商売に身を落とした後、交通事故で死んでしまいます。

悲惨すぎ



自暴自棄になり悪い友人に影響されまくり、グレまくりの主人公は、マリファナパーティーにまで出席します。まるでどこぞの芸能人の息子のようですね。

乱交中です



ルミちゃんをやっと忘れることができ、次にユウが好きになった女、雪子は実は世間を騒がせている悪党・ニセスパイダーマンの姉でした。自分がニセスパイダーマンの姉だと知った雪子は発狂してしまいます

あーあ・・・





せっかく超能力を手に入れたのにちっとも幸せになれない主人公。それどころか次々に起こる不幸な出来事・・・。スパイダーマンに変身して事件を解決するたびに後悔し、悩み・落ち込んでいく主人公。読んでいてこっちが痛いです




痛々しすぎる





そんな傷心のスパイダーマンは世間からの評価も冷たく、「偽善者だ!」「売名行為だ!」「本当のヒーローならベトナム戦争を終結させてみろなどとなじられます。ベトナム戦争を終わらせろとか無茶苦茶です。ほとんどいじめです




世間も冷たい・・



中盤から後半のストーリーではスパイダーマンの存在感はどんどん薄くなっていきます。何かにつけて言い訳をしては、スパイダーマンに変身しようとしません。



「スパイダーマンのコスチュームを着るのはよそう。変身しているスキにおそってくるかもしれない



いつ変身するんだ・・



なんて横着なヒーローなんだ!ヒーローが変身しているスキのこととか考えてちゃ、もうおしまいです。



そして次第に、ラストシーンのみの登場・・・

回想シーンのみの登場・・・

ついにはスパイダーマンが1回も出てこない話になってしまいます・・・・




完全にチョイ役



要するに全身タイツを着替えても着替えなくても能力は発揮できるのです。むしろ全身タイツの方が目立つ分だけ損。この作品を通して池上先生はそう仰りたいのかもしれませんね。(たぶん違う)



そんな感じで、スパイダーマンの存在感がやたらに薄く、むしろ中の人が大活躍という画期的なスパイダーマン「池上遼一版」いかがだったでしょうか?この夏はスパイダーマン2を観てスカッと爽やかにキめた後、家に帰って池上遼一版を読んでジメっと陰鬱にキめてみるのがオシャレなスパイダーライフですよ。





誰か彼を助けてあげて下さい・・・




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参考) レビュー →    コミックス紹介 →  原作者インタビュー → 

出典) 「スパイダーマン 」 

 平井和正/池上遼一  

 朝日ソノラマ/メディアファクトリー/講談社





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