ホームレスこそ究極のリア充!? 「今日から俺もホームレス」
日本一ブルーシート出現率の高いマンガ
皆さんが「衣食住」で一番大事なのものはなんでしょうか?それぞれ考えが違うと思いますが、J君は「衣」が一番いらないです。「住」と「食」がありさえすれば、一日中家にひきこもってられますので全裸でも全く生活に支障がありません。まあ、宅配便の受け取り時に通報されるリスクがあるぐらいでしょうか・・・。
しかし、昨今の不況により不幸にして「住」がなくなることを余儀なくされた人々もいます。今回ご紹介するのは 「今日から俺もホームレス」は、いわゆるリーマンショック後の最新ホームレス事情をマンガ化した画期的な実録ホームレスマンガです。今の時代、もしかしたら本当の勝ち組はホームレスなのかもしれない・・・そんな衝撃の内容が紹介されています。
以前当サイトでは、「55歳の地図」「まだ、生きてる・・・」「まだ、生きてる・・・2」などのリストラ⇒ホームレスな人生落伍パターンのマンガをご紹介し、大きな反響をいただきました。また少し前には「ホームレス中学生」なんて本も出版され、映画にもなりました。やはり社会の底辺事情って皆さんどうしても気になってしまうところですよね。
今回ご紹介する 「今日から俺もホームレス」は、ミリオン出版から出版されたムック形式のコミックです。コンビニとかによく売っているペーパーバックの廉価版コミックのやつです。ミリオン出版といえば「実話ナックルズ」とかを出している会社でルポルタージュを得意としており、このマンガも取材にもとづいた実録マンガなのがウリとなっています。ちなみに似たような名前で「メンズナックル」という本も出していますがこっちは若くしてちょいワルな青年たちが「ガイアが俺にもっと輝けと囁いている」とかポエミーなセリフを言う雑誌です。・・・とにかく、本作はフィクションではないリアルな最新ホームレス事情が描かれた稀有なコミックといえます。
ホームレスの楽園があるらしい・・・
早速ご紹介してまいりましょう。最初に出てくるのは以前テレビでも紹介されたことのある湘南ホームレスです。神奈川県湘南海岸の広大な防砂林に百人以上のホームレスが住んでおり、超快適な生活を送っているという噂の通称「通称ホームレスの楽園」です。
勝手に国有林を伐採
ここで紹介されるホームレスの三浦さん(61歳)は段ボールで作った庭付き一戸建てに住み、8年かけて(勝手に)木を伐採して畑を開墾。ジャガイモ、キャベツ、大根などの野菜がとり放題で食うに困らない生活をしていました。ていうかダンボールとはいえ庭付き一戸建てに住んでる時点で全然ホームレスって言わない気がするんですけど・・・。
庭付き一戸建て!
また、釣りが得意なホームレスの水野さん(67歳)は、川ではウナギや鮎を、海ではクロダイやヒラマサを釣って夜はみんなでバーベキュー。余った魚は居酒屋に売れば現金収入もゲット出来るという・・・これまたなんか羨ましい生活をしています。バーベキューってリア充がやるイベントですよね?
ホームレスは猫がお好き!?
しかしホームレスは基本的に身寄りがなく孤独なので、寒くて寂しい冬は猫を抱いて寝るとのことです。この辺はなんか一人暮らしのOLみたいですね。
そんなわけで、いきなりホームレスのイメージを覆すような素敵生活を目の当たりにしたのですが、もっとすごいのがいます。その名も「セレブホームレス」。セレブ・・・だと!?セレブとホームレスって対義語だと思ってたんですけど実は違ったんですね・・・衝撃です。
ちなみにセレブホームレスはホームレスなのに月収が100万円。ナイキのシューズを履き、移動にはタクシーを使うという伝説のホームレスです。月収100万円て・・・なんでホームレスやってるんでしょうか。意味がわかりません。
200円おにぎりはセレブの証
セレブホームレスが目撃された場所には、なんと200円もするコンビニ高級おにぎりを食べた形跡が。確かに一般人に200円のおにぎりは贅沢ですよね。J君もせいぜい160円ぐらいのおにぎりが限度です。・・・間違いない、セレブホームレスは存在した!(ドドーン!!)。
見た目はアレですがセレブです
で、このお方がセレブホームレスの樋口さん(58歳)。教会のすぐ近くで物乞いをすると、信者の方がガッポガッポお金を入れてくれるようです。なるほど、慈悲深い人が集まってるところで物乞いすれば効果抜群ですね。ホームレスのマーケティング力恐るべしです。
意味不明な言動・・・
しかもこのオッサン、「実は物乞いじゃない、ヤクザの会長でビルを持っている」などと主張します。ワケが分かりません。
セレブはタクシー移動が基本
さらに伝説どおり、実際にタクシーで移動したり、なんとアパートも借りたりしていました。まさにセレブ!っていうかやっぱりお前、ホームレスじゃないだろ。
カバチタレとかに出てきそうな家庭
続いて、18歳援助交際ホームレスのお話です。
大家族5人兄弟の長女に生まれたサエコ嬢、母は子供の面倒を全く見ず夜な夜な知らない男を家に連れ込む水商売女。もう絵に描いたような不幸な家庭環境に育った少女なのですが、そんな少女が選んだ道は「家出少女ホームレス」。
この若さでこの家・・・やべえ
私の特製ベッド完成!
18歳という若さでこの貫禄の住まい!渡辺篤史もビックリ!!
しかし住み始めていきなり警察に補導されそうに。さらに持ち金も無くなり、ついに援助交際で生活費を稼ぐことを決意。
セリフが切実すぎる
客にとってもらったラブホに宿泊して生活する毎日です。
これは結構かわいそうなケースだと思うのですが、最後に紹介するのはある意味究極のリア充ホームレスの形です。なんとホームレス同士が恋に落ちて結婚した「ホームレス夫婦」の話です。
リストラホステス
この話のヒロイン(!?)はホステスのサチコ(37歳)です。不況のためお店をリストラされたサチコ。年齢のためか他のお店にも再就職できず、ついにホームレスの聖地、上野公園で生活することに。・・・っていうか、上野公園てホームレスの聖地なんですね。今流行の聖地巡礼とかあるんでしょうか。「らき☆すた」ならぬ、「ほむ☆れす!」みたいな感じで。
無謀すぎるだろ
しかし、野郎ばかりのホームレスの溜まり場に、女性が住むというのはかなり無謀なことです。予想通り、昼間にテントを張るなど世話をしてくれたホームレス達が、その夜サチコに襲いかかります。
予想通りの展開
「やっぱりお礼はしてもらわないとなあ~」「ぐへへ」
ぐへへて。なんというベタな展開!こいつら、完全に違う方のテントも立っています(シモネタ)。サチコ大ピンチ!!
ヒーロー登場!
しかし間一髪。助けてくれる男が登場しました。その男の名は育夫(37歳)。まさにホームレス界のスーパーヒーローですね。その後、何かと助けてくれる育夫に惹かれるサチコ。ついに二人は結ばれることになるのです。しかし!
ホームレス童貞
「女性を抱いたことがないんだ。セックスなんて初めてで・・・。」
なんと、ホームレス界のスーパーヒーローはチェリーボーイだったという予想外の展開。これぞ究極の草食系男子の姿!好感度急上昇です!!しかし、もしサチコと出会わなかったら一生ホームレス童貞だったのか・・・いや、よかったよかった。
究極の婚活
そんなわけで二人はホームレスのまま結婚することに。そしてすでに結婚して5年目を迎えているらしいです。なんとホームレスでも結婚ができる・・・これは衝撃的過ぎますね。世間で流行っている婚活とは一体なんだったのか・・・?根本的なレベルで考えさせられる案件です。もしかしたら究極の婚活はホームレスになることなのかもしれませんね。
その他にも、ト●タの期間工だったおばちゃん達が寮を追い出され、マンガ喫茶や公園のベンチでの生活を余儀なくされる切ない話や、リストラされて全てを失い死にかけていた男がホームレスにおごってもらった牛丼がきっかけで一念発起、IT企業の社長にまで上りつめるというサクセスストーリー。沖縄で寒さしらずのリゾートホームレス生活を送っている沖縄ホームレス男の話等々、読んでいるとまさにタイトル通り「今日から俺もホームレスやるぜ!」と決意してしまいかねない逸品です。
そんな「今日から俺もホームレス」ですが、家族や同僚の前で読んでいるとわりと本気で心配されるので読むときはくれぐれもご注意を!
ちなみにもうひとつの底辺事情である闇金融の世界を描いた実録マンガ「ザ・闇金融道」をこちらでレビューしています。「借りぐらしの闇エッティ」な話が満載ですのでよろしかったらこちらもあわせて読んでみてくださいね。
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出典)「今日から俺はホームレス」 ミリオン出版 /大洋図書
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