登場人物全員バカ!?エクストリームすぎる伝説のギャグマンガ「激烈バカ」
なんちゃってー!(カクカクカクカク)
最近、本物の「バカ」ってあまり見なくなったと思いませんか?「アホ」とか「おバカ」はよく見かけるけど、まわりがドン引きするほどのガチな「バカ」は表に出てこない、出さない風潮になってきているのではないでしょうか。もはや肉眼で目視できる本当の「バカ」はこの世から絶滅してしまったのでしょうか?
そんな規制の厳しい現代ですが、表現規制がユルユルだった1980年代から90年代にかけては違いました。さすが俺たちのバブル期、何でもありです。本日ご紹介するのは伝説のギャグマンガ「激烈バカ」。この作品はまさにバカの博覧会。今だったら掲載できないような不謹慎な内容でも堂々とギャグとして掲載されています。
「激烈バカ」通称「激バ」は週刊少年マガジンに1988年から1994年連載されていた不条理ギャグマンガで、作者は斉藤富士夫先生です。とにかく「激烈バカ」ってタイトルが清々しいまでにどストレート。天才バカボン、空手バカ一代、釣りバカ大将など、バカの名を冠するマンガのタイトルは過去に数あれど、これほどはっきりと「バカ」って言い切ってるタイトルはなかなかないのではないでしょうか?
「激烈バカ」の特徴としては、もちろんおバカなギャグもあるのですが、それ以上に下ネタ、不謹慎ネタの比率が高く、クセが強すぎる一点物のバカキャラが多数登場する、まさにバカの見本市のような作品となっています。
■バカ男子・バカ女子のオンパレード
初期の激バは、4コママンガ形式となっており、本作品の主人公となるバカ男子代表の団栗光作(どんぐりこうさく)、そしてバカ女子代表の北野陽子というキャラクターが登場します。
男子バカ代表
女子バカ代表
団栗光作はとにかく熱血バカ。本人の熱血キャラクターが全て裏目に出てバカな結末を生み出すというまさに「激烈バカ」にふさわしい存在。ちなみに光作の親父や弟などもやばいレベルのバカで、お婆ちゃんまでキ●ガイという・・・。とにかく団栗家全体がバカ一家なのです。
熱血バカ野郎
北野陽子は天然キャラでありながらとってもお下品。女子キャラクターのくせに率先してウ●コをはじめとした下ネタを担当するという・・・こいつも真の激烈バカ。
下ネタ大好き女子
初期の4コママンガの時代は正直言ってテンポが悪くてスベり気味というか、良くいえば、4コマでは収まりきれないスケールのギャグをやっていたというか・・・単行本4巻目ぐらいから4コマ形式を捨てて、5コマ、6コマ、見開きストーリーなどなんでもアリのストーリー形式に移行し、ギャグがレベルアップしたように感じます。
この手の4コママンガが途中で4コマを辞めた場合、迷走した挙げ句に失敗するのが常ですが、「激バ」に関していえばこれが成功し、作品としての寿命が伸びたといえます。
■不謹慎ネタ・下ネタのオンパレード
小学生が大好きな鉄板ギャグといえば下ネタですよね。「激烈バカ」でも呆れるくらいの頻度で下ネタがでてきます。ウ●コチ●コマ●コがオールスターで出演状態。
ウ●コネタが大好物
パロディキャラ・はじめの万歩
不謹慎ネタも遠慮なくギャグにしてきます。殺人ネタとかレ●プネタなんかも多くて、通り魔にナイフで刺されて死に際の断末魔で一発ギャグを言うとか・・・それ今だったら絶対笑えないやつなんですけど、大講談社様の超メジャー雑誌週刊少年マガジンでOKだったんだから、とっても大らかな時代といえますよね。
不謹慎ネタ1
不謹慎ネタ2
■なぜか推されまくりのキャラ「なんちゃって野郎」
「激烈バカ」の中でも一番愛されていたキャラクターが、「なんちゃって野郎」というキャラクター。
一般人の姿で、突然スベり気味のボケをかまして周りを唖然とさせた後、「なんちゃってー!」(カクカクカクカク)となるパターンなのですが、登場回数が増えるにつれ、そのカクカクカクカクがどんどんエスカレートしていきます。
ただの奇行兄ちゃん
初期はこんな感じでしたが・・・
1秒間に5回・・・?
段々とカクカクが高速化して
カクカクしてねー
最終的にはなんなんだかよくわからなくなりますが、当時はこんなグッズが出るほど人気だったみたいです。
■その他の人気キャラクター
4コママンガでは定番キャラクターが重要な存在ですよね。一度人気キャラクターを生み出したら、シリーズ化することでネタが生み出せるようになります。「激烈バカ」でも「なんちゃって野郎」以外に定番の愛されバカキャラクターがたくさんいました。いくつかご紹介しましょう。
■スーパードクターYKK
公認パロ?
「激バ」にはちょいちょいマガジン系のパロディキャラが出てきますが、その中ではほぼ準レギュラーな存在なのがスーパードクターYKK。ご存知スーパードクターKのパロです。本物よりドジっ子なのが特徴。スーパードクターなのにドジなのって最悪ですけど。
■南藤準三
貧乏ギャグ担当
作品初期しか出てこなかった気もしますが、貧乏ネタを一手に引き受けるキャラクターで、パンツの代わりにセブンイレブンの袋を履いていたり、食べ物がなくて母ちゃんがゴキブリを食べたりと、笑えるというよりは切なくなります。
■炎のババア
キレッキレのババア
団栗光作のお婆ちゃんですが、さすがバカ一家の長老だけあって一番デンジャラスな存在です。ナイフで心臓を刺されてエクスタシーとか言うなど、下ネタだし不謹慎だしで意味がわかりません。
■欲求ふ・マン
後半の準レギュラー
ストーリーの途中から割り込んできて、相手の本音を見透かして、下心を周囲にバラしてしまうという面倒くさいキャラクター。バラした後、相手にボコられるところまでがお約束です。
■板橋区のひとみちゃん
板橋区といえば根性焼き?
メス犬がしかめっつらで体中に根性焼きをします。本当にそれだけの存在なのですが、なぜか作品後半に行くに従って登場回数がどんどん多くなり、マッチョになっていく愛されワンコです。
・・・というわけで、バカ全面解禁のハイテンションギャグマンガ「激烈バカ」をご紹介しました。連載当時は鼻水垂らしながら爆笑していた記憶がありますが、ひさしぶりに読み直すと結構スベってんなーと感じてしまうあたり、大人になってギャグに対するピュアさがなくなってしまったのかもしれません。自分の中で失われてしまった「バカ」を取り戻すため、まずは腰を1秒間に5回カクカクさせるところから頑張ってみようと思います(絶対ギックリ腰になりそう)。
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出典)「激烈バカ」 斉藤富士夫 / 講談社