第二の野望の王国「獅子たちの荒野」
この世は荒野か・・・なら思い切り駆けめぐろう!獅子のように!
当サイトでは過去に多くのマンガを紹介してまいりましたが、その中でどのマンガが一番面白いか?と問われれば、迷わず「野望の王国」であると断言することができます。「この世を支配するのは金と暴力」をテーマに東大法学部の学生が、天才的頭脳を悪用し、暴力団、宗教、警察、そして日本政府までもを牛耳ろうとするその破天荒で前例のない東大生バイオレンスは、J君の人生観を180度変えてしまうのに十分なインパクトを持っていました。
当サイトで紹介した後、実際に読んで「ああ、やっぱりこの世はカネと暴力なんだ!」 「この世は荒野だ!男なら、野望の一つや二つは持っておかないと!」など、野望の王国を読んで人生観が変わった、目からウロコが落ちたという方々から多数意見を頂きました。はたして日本は一体どうなってしまうんでしょうね?(無責任)
しかしその「野望の王国」を生んだ、「雁屋哲×由起賢二先生」のゴールデンコンビが手掛ける作品がもう一つ存在します。その名も「獅子たちの荒野」。この作品も設定こそ違えど、テーマは「この世を支配するのはカネと暴力」というテーマは全く変わっておらず、野望ファンであれば安心してお読みいただける、全ページ余すところ無くバイオレンスな描写満載の非常に厄介なマンガとなっております。そのテーマを象徴するのが以下のセリフです。
我々は獅子だ!
「我々は獅子だ!荒野に放たれた獅子だ!人の世の荒野を我々の牙で征服するのだ!」
いや・・・さすが美味しんぼを生んだ雁屋先生です。とどまることを知らないバイオレンス思想には感服してしまうばかりです。今日び自分のことを獅子だと言いきれる人はあまりいるものではありません。他にはせいぜい劇団四季の人ぐらいではないでしょうか。(参考:ライオンキング)
さてストーリーを紹介しましょう。この作品の主人公の太刀川剛は、元総理大臣太刀川元造を祖父に持つ名門・太刀川財閥の孫でありながら、暴力と性欲のかたまりのヤクザ者でした。
反抗するために生まれた男・太刀川剛
■第1部:囚人部隊脱出編
連日、暴力事件を起こし警察沙汰となる太刀川剛の根性をたたき直すために、太刀川財閥の重鎮達は自衛隊が秘密裏に設けた囚人部隊、「陸上自衛隊特務戦車大隊」に剛を入れてしまいます。
すごい怖い所みたいです
・・・なんと、「陸上自衛隊特務戦車大隊」とは刑務所と旧帝国陸軍の一番怖ろしいところを集めたような組織。全国から選りすぐりの囚人が集まっている、男塾顔負けのとんでもない部隊なのでした。
そんな怖ろしい組織ですから当然、教官達も鬼のようなヤツらばかりです。
こんな自衛隊嫌すぎ
ナチスかぶれの親衛隊長や
明らかにアメリカかぶれです
腕にドクロの腕章をつけた警察隊長など、危険なヤツらがゴロゴロいます。
そんな地獄の日々を過ごしつつも反抗し続ける剛の前に、尊敬できる囚人部隊の先輩が現れました。その名も高杉雄。囚人部隊の仲間でもひときわカリスマ性をもつこの男の野望はとんでもないモノでした。
俺たち自身の軍隊・・・
「この戦車大隊から除隊し、刑務所から出所したら、外で今度こそ本物の俺たち自身の軍隊を作ろうと誓い合っている」
「おれたち自身の軍隊っ!!」
・・・えらいことになってまいりました。(予想通り)
そして、遂に剛達、高杉一味は反乱を決起、囚人部隊脱出を果たすため、自衛隊本体と全面対決します。最後は自衛隊の機密をソ連に流すと自衛隊上層部を恐喝し、囚人部隊全員がジェット機を使って自衛隊脱出に成功します。
しかし、空港は自衛隊によって封鎖されせっかく脱出した高杉達は着陸できません。しかも自衛隊は戦闘機で追撃に来ます。そこで、とった方法はなんと、
ダイハード2より凄い
高速道路に着陸です。すっごい無茶!!!
さすが雁屋先生・・・。初っ端からスケール感が普通のマンガと段違いです。
■第2部:暴力団乗っ取り計画編
さてその後、自衛隊の囚人部隊を脱出し、寺に身を隠していた剛と高杉コンビは、密かに己の野望達成に向かって計画を練っていました。
手始めに西多摩市を乗っ取ることを企んだ剛と高杉。市長選の間近、なんと有力候補2名を半殺し。市長選出馬不可能にしてしまいます(酷すぎ)。そして、剛と高杉が脅し、意のままに操れる新人の村岡候補を新市長として当選させました。
政治だって暴力で解決
しかし、西多摩市の利権を巡って今度は西多摩市を牛耳る暴力団、東門会との対決が待っていました。そこに登場したのは東門会の若頭「剣田豹」
こんなのいないよ・・・
ヤクザというより海賊王みたいですね。
はじめは、剛と高杉を抹殺するためにやって来た剣田豹ですが、高杉の野望に共感し、東門会を利用して、日本を牛耳る計画に参加します。しかし、東門会を乗っ取るには、事実上の支配者、鮫倉副会長を倒さなければなりません。その鮫倉副会長とは
醜すぎて逆に尊敬します
はい凄いルックスですね。醜悪という言葉を絵にしたらこんな感じになりそうです。
この後頭部は確信犯だろ!
ちなみに後頭部の形も放送コードギリギリです。(ギリギリでアウト側)
やっぱり殺されました
結局こんな感じで鮫倉は殺されてしまい、剛達は東門会の支配に成功するのです。
■第3部:Z委員会との全面対決編
関東有数の広域暴力団、東門会を乗っ取り、ついに巨大な暴力組織を意のままに操ることにできるようになった剛と高杉。しかし、経済と政治と暴力で事実上日本を支配している裏の国家組織が剛と高杉目の前に立ちはだかりました。その名もZ委員会。
Z委員会・・・なんだか某通信教育みたいな名前ですが、確かに聞いたことありません。知られざりすぎです。そういえば、第1部の囚人部隊も自衛隊の裏組織でした。どうやら雁屋先生は相当な裏組織大好きっ子のようです。
剛の祖父はドーベルマンに殺られます
Z委員会は、東門会の鮫倉を裏で操り東門会の乗っ取りを計画していました、また政治・経済を支配するために、剛の一族である太刀川家も剛以外皆殺しにしていたのでした。そのため、剛と高杉に先に東門会を乗っ取られたことを知ると、Z委員会は恐るべき刺客を差し向けます。その男はZ委員会の暴力を一手に引き受ける男、頼刃一郎。
若ゴルゴ
ゴルゴ風キャラキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
実はゴルゴ風キャラは「野望の王国」でも登場しました。川崎署の警察署長・柿崎という男です。お得意のセリフは
「日本は警察国家だ!警察こそは日本最大の暴力機構だ!」
怖ろしい男です・・・。
それはともかく、「雁屋×由起」マンガでゴルゴ風のキャラが出てきたということは、すなわち「最凶キャラ」の登場を意味します。そう、この「獅子たちの荒野」ではまさしく頼刃一郎こそが最凶キャラ。
とりあえず、手始めに剛と高杉に従っている東門会系の組長達を速攻で惨殺します。
さらに身を隠していた剛のフィアンセを拉致して・・・
いいのかなあ・・・こんなシーン描いて
田嶋陽子先生が激怒しそうなヒドイ目にあわせたりします。
そしてついに剛・高杉達とZ委員会の壮絶な抗争が始まります。その後の展開も詳しくは話せませんが、
犬使いババア
こんなキャラや・・・
アンドレ看護婦
こんなキャラまで出てきて、まるで濃いキャラの博覧会になっております。この後の壮絶すぎる展開はとてもこの場でご紹介しきれませんので、是非とも復刻版のコミックスをご覧ください。
というわけで、「野望の王国」と並び称される日本が誇る超バイオレンス劇画「獅子たちの荒野」をご紹介いたしました。皆さんもこの作品を読んで野望に目覚め、放たれた獅子のように荒野を駆けめぐってみてはいかがでしょうか?覚醒された暁には、くれぐれもJ君の近くには駆けめぐってこないようにお願い申しあげます。近寄ったら通報します。
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参考)レビュー → ■
Amazon → 獅子たちの荒野
出典) 「獅子たちの荒野・完全版」 日本文芸社/雁屋哲/由起賢二