“SMAPタブー”に触れて打ち切り!? 伝説のパロディマンガ『平成義民伝説 代表人』

“SMAPタブー”に触れて打ち切り!? 伝説のパロディマンガ『平成義民伝説 代表人』

ここ数日、世間はすっかりSMAP騒動一色。多くのマスコミにとって、SMAPやその他のジャニタレのスキャンダルを報じることはタブーであるというのは小学生でも知っている一般常識ですが、マンガの世界ではどうだったのでしょうか?

実は、ジャニーズをイジったマンガとしては、90年代にオッサンが美少年たちを次々と手込めにするホモネタを描いた4コママンガの怪作『ジャニーさん』(データハウス)という作品が存在しましたが、残念ながら、これはあまり一般には知られていません。

しかしその後、2002年にメジャー誌である「週刊少年マガジン」(講談社)で、堂々とSMAPをイジリ倒すという、神をも恐れない所業のマンガが連載されました。その名も『平成義民伝説 代表人』

しかしその後、2002年にメジャー誌である「週刊少年マガジン」(講談社)で、堂々とSMAPをイジリ倒すという、神をも恐れない所業のマンガが連載されました。その名も『平成義民伝説 代表人』。『幕張』(ジャンプ・コミックス)、『喧嘩商売』(ヤンマガKCスペシャル)などの代表作を持つ木多康昭先生の作品で、単行本が2巻まで刊行されています。

もともと木多先生は、芸能・時事ネタを絡めたブラックジョークや、漫画界の暴露ネタを披露する作風で、発表される作品はことごとく問題作なのですが、かつて誰も触れることのなかった“SMAPタブー”に触れまくっている、この『平成義民伝説 代表人』こそが、木多作品の中で最もデンジャラスな存在といえます。では、一体どんな作品だったのでしょうか?

作品の冒頭は、こんなプロローグから始まります。

「皆様は覚えているだろうか!!? 今や芸能界の頂点に君臨しているIGARASHIが6人組だったことを!!」
「子供の頃からの夢、宇宙飛行士になるためにトップアイドルを辞めた米良君を!!!」

……どこかで聞いたことがあるエピソードですね。そう、「IGARASHI」は嵐……の兄貴分「SMAP」に、「米良君」は「森君」(め→も、ら→り)と読み替えると、あることに気がつきます。これは、かつてSMAPに所属し、1996年にオートレース選手となるために脱退した6人目のメンバー、森且行の境遇によく似ているのではないかと。本作品はそんな元アイドル森且行……もとい米良勝男(めら・かつお)君が主人公の物語なのです。

ちなみに、国民的アイドルグループ「IGARASHI」の残る5人のメンバーはというと……。

●小紫太郎(こむらさき・たろう)……愛称はコム太君。メンバーNo.1のイケメンで、SMAPでいうとキムタク的な存在です。

●大井健次郎(おおい・けんじろう)……IGARASHIのリーダー。大井→中井→中居……ということで、中居君的ポジションと思われます。

●六角武(ろっかく・たけし)……顔がホームベースのように六角形に角張っているが、性格は「良い人」。もちろん、草なぎ君でしょう。

●菅野隊員(かんの・たいいん)……過去にトラブルを起こして謹慎していたが、復帰した過去を持つ。昔、菅野美穂と付き合っていた稲垣君に相当?

●ドク・サバラス……なぜか、メンバー唯一の外国人名。そういえば香取君が、『ドク』というフジテレビ系ドラマで主演していましたね。


SM◯Pではありません

という感じになっております。この時点で、固有名詞を巧みにカモフラージュしているようで全然隠しきれていない、かなり危険な作品であることはおわかりいただけると思います。

ストーリーはこんな感じです。人気絶頂から一気に転落した「ホタル源氏」のようになりたくないと、「IGARASHI」を脱退し、宇宙飛行士を目指すことになった米良君。「IGARASHI」を辞めたせいで彼女にフラれたりと散々でしたが、いつか見返してやるとばかりに、めげずに宇宙飛行士の訓練を続けます。しかし、ある日の訓練中、テレビをつけるとこんなニュースが……。


なんなのこの展開

「今回、IGARASHIが日本製のスペースシャトルのパイロットに選ばれたことを発表します!!」

なんと、訓練など一切なしで、米良君より先にあっさりスペースシャトルに搭乗する権利を得てしまったIGARASHIメンバー。さらに、インタビューでリーダーの大井君が衝撃の発言。


なかったことに

「米良? もともとIGARASHIは5人組ですが?」

完全に存在をなかったことにされています。

怒り狂った森君……もとい米良君は、SMAP……もといIGARASHIのメンバーが搭乗するスペースシャトルに日本刀を持って忍び込み、ハイジャックならぬスペースジャックを行います。そして、スペースシャトル内は生き残るためにメンバー同士が殺し合う、バトルロワイヤル状態になっていきます。相当ムチャクチャなストーリーですね。


キム◯クがピンチ!

そう、ストーリー自体はハナから破綻しており、いかに作品中にブラックジョークをブチ込むかという一点に注がれたような作品なのです。

「IGARASHIのSはスポーツのSだ!」というセリフがあったり、菅野隊員が不祥事を起こした時の謝罪会見のシーンが描かれたり、六角の顔を引き合いに出して「人は、このような骨格を愛することはできない」って言ってみたり、「元ホタル源氏の星川君」なる人物が登場したり……明らかに、SMAPやジャニーズを小バカにする、センスあふれるパロディが満載です。


草なぎのなぎは弓へんに剪


◯垣メンバー

ただし、単行本2巻以降は「大人の事情」により、IGARASHIメンバーの登場回数が激減。SMAPと全然関係ない芸能ネタやほかの漫画家に対する愚痴(『GTO』藤沢とおる先生の休載が多すぎるとか)、マガジン編集部の暴露ネタだらけのマンガとなり、当初のコンセプトとは完全に別物になってしまいます。

そして、最後は作者の木多先生がなぜか訴訟を起こされ、裁判所に出頭するシーンが描かれます。そして、打ち切り同然で終了してしまうという謎のオチ。まあ、こんな内容の作品ですから、当然といえば当然なのかもしれませんが。

とにかく、ほぼ全編にわたってちりばめられているパロディの元ネタを調べて、ニヤニヤしながら読むというのがこの作品の正しい楽しみ方であり、何よりもマンガ界で唯一、SMAPをバカにした「世界に一つだけのあだ花」であるという意味で、歴史的意義のあるマンガといえるでしょう。

<日刊サイゾー「ザオリク的マンガ読み」>

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引用)
『平成義民伝説 代表人』
本多康昭 / 講談社

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